世界的にブレイクしたアパレルの激安EC「SHEIN(シーイン)」は日本でも定番化。そんな中、アメリカやEUで大人気なのが、同じく中国発の新興ECである「Temu(ティームー)」だ。日本ではまだまだ知られていない、爆安ECの使い方やオススメ商品を紹介です!
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■お宝探し感覚で楽しめる爆安EC
今年7月、爆安路線でアメリカやEUを席巻中の中国発EC「Temu」が日本でローンチ。中国発のECといえば、日本でも一昨年に「SHEIN」が若い女性を中心に大ブレイク。
こちらはアパレルやコスメが中心のECでしたが、Temuは日用品からアダルトグッズまでフルラインナップ、かつ異次元の低価格っぷり。つまり、男性にも大活用できるのが魅力。
TemuはどんなECで、どのように利用するのが正解なのか? 徹底チェックしますっ!
――まずは中国経済、企業に精通するジャーナリストの高口康太さんにお聞きします。そもそもTemuってどんな企業なんですか?
高口 Temuの母体は、中国のEC「拼多多」です。拼多多はここ数年で急激にシェアを拡大し、現在ではアリババグループに続く、中国国内2位のECに成長しています。
――そんな拼多多の販売スタイルとは?
高口 〝安かろう悪かろう〟です(笑)。
――アウトじゃん!
高口 悪かろうといっても、詐欺的な行為はなく、中国のユーザーたちは「まー、デザインがApple似だし、1年使えればOK」と、悪かろうの部分を理解した上で購入しています。
中国のECはアリババやJDグループのような〝ユーザーがハイブランドを爆買い!〟というイメージがありますが、これは都市部の富裕層がやっていることで、地方の庶民にはあまり関係のない話でした。
そんな地方のユーザーに着目したのが拼多多の創業者、黄峥です。彼は、中小のOEM企業が自社製品を直接ユーザーへ販売できるシステムを構築し、爆安価格を実現。これらはSNSでつながったユーザー同士が団体購入することで、より低価格になります。
さらに、中国EC最大手のアリババグループでは取り扱い不可のそっくり商品や粗悪品も積極的に販売。このスタイルが地方のユーザーにハマり、シェアを急拡大しました。
その一方、これまでそっくり商品には見向きもしなかった都市部の富裕層も、それらを購入して「iPhone 15(偽物です)、買いました(1800円)」といった感じでSNSでバズらせるという楽しみ方をしています。
――では、Temuがアメリカでバズった理由は?
高口 強力なローンチキャンペーンです。日本と同じように90%オフや送料無料キャンペーンを行ない、そこで購入したユーザーには次々と◯千円オフクーポンが配布されます。
中国から発送するため商品到着には1週間ほどかかりますが、配達予定日を過ぎた場合はキャッシュバックもある。これはキャンペーンで獲得したユーザーを、確実にリピーターにする戦略です。
これで昨年9月のアメリカでのローンチから1年もかからず、Amazon、SHEINと並ぶ〝アメリカの3大EC〟にまで成長したのです。
――ただ、いくら爆安でも、失敗ばかりだと無駄が多すぎ。海外ユーザーたちは、どんな買い方をしているのですか?
高口 〝OEM特定〟です。大手メーカーの人気商品と同等の製品をそのOEMメーカーが多数販売しており、それらを見つけるのが最もお得度の高い買い物とされています。大手メーカーのロゴは入っていませんが、性能的には変わりませんから。なので、中国にはOEM商品を特定する掲示板があるほどです。
――それは賢い買い物! では最新家電やクルマの長期レビューを行なうWebマガジン『Beyond magazine』の滝田勝紀プロデューサーは、Temuのどんな商品に注目ですか?
滝田 まずは定番のワイヤレスのイヤホンやスピーカーですね。中国大手メーカーの商品が1500円以下で販売されています。
ただ、スマホやワイヤレスイヤホンなど、ブルートゥースやWi-Fiで通信を行なう機器を日本国内で使用するには、日本の「技術基準適合証明」を取得している必要があります。未取得の機器を日本国内で通電するのは違法です! なので、技術基準適合証明の有無をメーカーの公式HPから確認してください!!
――先ほどのOEM特定や技術基準適合証明など、定番ガジェットは意外とユーザーの目利きが試されますね。お手軽に買えるオススメ商品は?
滝田 今だとネッククーラーですね。国内メーカーだと8000円前後しますが、Temuでは2000円以下。しかも、カラーディスプレーやLED発光機能まで装備しています(笑)。この手の商品は国内メーカー品であっても、どれを購入しても性能的に大差なく、出オチ感あるほうが面白いですよね。
あとは工具やカー用品。日本だと1万円前後する本格的な電動工具セットがTemuだと3000円前後。ペンチやニッパーは1本数十円。
そしてカー用品は、車内用の収納グッズやクッション、車載掃除機まで数百円からあり、7インチの車載モニターが5000円前後。リアシートで子供に動画を見せるなら、これで十分ですって!
――家電のプロ目線で、絶対に買ってはいけない製品はありますか?
滝田 自宅やクルマのエアコン、そして浄水器や空気清浄機の〝互換フィルター〟です。Temuにもメーカー純正品の半値以下で互換品がありますが、正直言って効果ゼロです。
私は、国内に流通する各種互換フィルターの評価試験を行ないましたが、素材が別物でメーカー純正品と同等の集塵(しゅうじん)効果はありません。ほとんどが中国製造で〝形だけ同じ〟という粗悪品です。
あとは、クルマの保安部品も要注意です。サイドミラーやLEDライト、ホーンなども数百円から販売されていますが、これらが日本の車検に適合するのかまったく不明です!
――互換フィルターと、クルマの保安部品はアウト確定! 今度は本誌連載『【平成レトロ】博物館』でおなじみの山下メロさんにも聞いてみます。Temuで発見した平成レトロな商品はありましたか?
山下 【90年代】で検索するとサングラスはマトリックス風や『Zガンダム』のクワトロ大尉風(LED装備)など、日本では見かけなくなったデザインの商品が出てきました。
あと、平成レトロ時代に大ブームとなった数十種類のゲームが遊べるミニゲーム機。これは400種類のゲームが遊べるマシンに進化していました。ちなみに、本体デザインは往年のGB風です(笑)。
――いかにも中華な商品! 続いて今回の企画でイラストを担当してくれた、石原まこちん先生の推し商品は?
石原 アダルトグッズです。
――は?
石原 日本のAVでも見たことないボンデージ衣装、バイブ、そして超ハイテクオナホなどなど。謎のアダルトグッズが販売されていました。
――これ、どんなワードで検索したんですか?
石原 【セックス】です。
――中学生の検索ワードかよ! では最後に滝田さんにお聞きします。一般的なユーザーはTemuをどう活用するのが正解ですかね?
滝田 大手メーカーのOEM製品は別として、やはり中国の中小メーカーの製品クオリティはそれなりです。なので〝物より思い出〟を重視して使い倒す(笑)。また、YouTubeには海外ユーザーの〝Temuで買ってみた〟動画が多数ありますので、そのチェックもオススメです!