最近はモバイル扇風機や電気カミソリにまで搭載されるほど超定番端子となったUSB Type-C。今月発売されたiPhone 15シリーズにはUSB-Cの名称でこの端子が搭載され、これまで以上に快適度がアップ。そんなUSB-Cを超速解説です!
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■USB-Cは細分化されたバージョンに要注意!
9月22日に発売されたiPhone 15シリーズで、最も注目されたのが、USB-C(USB Type-C)端子の採用。こちらは、長らくiPhoneの充電やデータ転送、そして動画撮影用のジンバルや録音機器など各種ガジェットの接続に利用されてきたLightning端子に代わり新採用された端子だ。
USB-Cをなぜこのタイミングで採用したのか? そしてUSB-Cの注意点などを、最新家電の情報を発信するWEBマガジン『Beyond magazine』のプロデューサー、滝田勝紀(たきた・まさき)さんに解説してもらいますっ!
――AppleはなぜLightning端子にこだわっっていたのでしょうか?
滝田 やはりライセンス料でしょうね。iPhone用の充電器やケーブルなど、Lightning関連製品のパッケージには【Apple認証品】や【MFi認証品】とプリントされています。
これはメーカーがAppleとの間にライセンス契約を結んで販売許可を受けた製品になり、Appleに対して売り上げの一部を支払っているのです。
一方、USB-Cはライセンス料が発生しません。なので、ライセンス収益の激減が懸念され、なかなかUSB-CをiPhoneに採用できなかったのでしょうね。
――では、iPhone 15からUSB-Cの搭載に踏み切った要因とは?
滝田 EU(欧州連合)では昨年の10月に、スマホをはじめとする充電可能な機器にはUSB-Cの搭載を義務づける法案が可決されました。これは端子を統一することで、ユーザーによけいな出費をさせないのが目的です。
これにより2024年の12月からEUではLightningが〝違法端子〟となり、USB-C端子を搭載することでEUの規制に対応したのです。
――今月13日にiPhone 15シリーズが発表されると、SNSでは【USB-C】が即トレンド入り。でも、ネガティブな意見が多かったようですけど......!?
滝田 USB-Cの採用が遅すぎたことが理由でしょう。Apple以外のスマホメーカーが5年以上前からUSB-Cを採用する中、【みんなうれしい USB-C。】と大アピールしたので、「いまさら、いけしゃあしゃあと!」とツッコミが殺到していました。
さらに、ツッコミ要素となったのが、USB-Cのバージョン問題です。
――USB-Cにバージョンなんてあるんですか?
滝田 USB-Cには充電やデータ転送速度、映像や音声の出力品質が異なるさまざまなバージョンが存在しています。
今回、iPhone 15に採用されたのは、近年のAndroid端末ではあまり採用されない旧バージョンの「USB 2.0」仕様とされています。これ、性能的にはLightning端子とそれほど変わらないんですよね。
その一方、15 Proはバージョン「3.0」が採用され、一般ユーザーが混乱してしまうUSBのバージョン問題が発生しています。
――新商品なのに、それは残念ポイント!
滝田 はい。バージョン「2.0」でもポジティブにとらえると、これまでのLightning端子対応の機器をそのまま使えるメリットもあります。
例えば、これまでiPhoneの充電に使用してきた20Wクラスの急速充電器やモバイルバッテリーなら、別途ケーブルを用意すれば、充電速度もそのまま利用できます。
その一方、Android端末では、すでに120Wで超急速充電に対応したモデルも販売されており、それもあってツッコミ対象となってしまいました。
――なら、ケーブルとか買うときの注意点などは?
滝田 充電メインなら、アマゾンベーシックやアンカーの製品で十分です。皆さん経験あると思いますがAppleの純正ケーブルは強度がなく、端子の根元から断線しがち。なので、純正より他社ケーブルがオススメですね。
――では、USB-C採用によるオススメ機能は?
滝田 iPhone 15シリーズから他端末への給電です。iPhone 15シリーズのUSB-Cから、AirPodsシリーズ、Apple Watchシリーズ、さらにUSB PDに対応した小型機器への充電が可能になりました。
そしてiPhone 15シリーズのUSB-Cから、テレビや各種モニターに接続するだけで画面出力が簡単に行なえます。ただし、高解像度ディスプレーに出力するにはUSBのバージョン「3.1」以上のケーブルが必要になります。
iPhone 15シリーズに付属するケーブルはバージョン「2.0」仕様なので、バージョン「3.1」対応のケーブルの購入が必要です。
――思いのほか、USB-Cはバージョンが細分化されているんですね。
滝田 はい。普段の持ち歩き用ケーブルは、格安で丈夫なアマゾンやアンカー製品。そして画面出力には3000円クラスの高級ケーブルがオススメです。
また、過去モデルのiPhoneで使用していたLightning端子対応のガジェットを、iPhone 15シリーズで利用するには、変換アダプタが必要になります。これは、相性問題からApple純正一択ですね。ただ、お値段が4780円で、それもブーイングでした。
iPhone 15シリーズは、いっそのこと〝端子レス〟にしてくれたほうがUSBのバージョン問題で混乱することなく正解だったかもです(笑)。
――今後はメーカー各社からiPhone 15シリーズのUSB-C対応アイテムが大量リリース予定。これらの購入時は、ケーブルなどのUSBバージョンのチェックも忘れずに!