問いかけると自然な言葉で回答を返してくれる対話型AI「ChatGPT」が話題を呼んで、はや半年。後を追うように、実用的な無料AIツールが続々登場している。実際どこまで使えるのか!?
AIツールに詳しい識者にリストアップしてもらったものを、デジタルツールに苦手意識がある『週刊プレイボーイ』本誌ライターが手当たり次第使って検証してみた!
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■指示文なしで文章を作成!
今回、実際に使ってみたツールは10個。いずれもAIツールに詳しい「ナギ-AI活用術×図解」さんに選んでもらったもので、基本無料だが利用回数の制限があるものが多く、そのほとんどは有料版が存在する。
最初に使用したのが「Notion AI」だ。これはメモやプロジェクト管理、スケジュール管理などができる多機能ツール「Notion」上で使えるAI機能で、文章の作成・添削・要約から、アイデア出しを手伝ってくれる。
ChatGPTにも似た機能がいくつか存在するが、Notion AIは機能が細かく指示できるボタンが用意されているのが特徴。「シンプルな表現に書き換える」「スペルと文法を修正する」「文章を改善する」など、すでにメニューが用意されており、ChatGPTよりも操作が直感的で簡単な点に魅力を感じた。作成されたコンテンツもすぐに人と共有したりできるのが強みだ。
ただ、あくまでこれはNotion内の機能なので、普段からNotionを使っていないとやや不便に感じるかもしれない。
そこで試してみたのが文章作成ツール「Catchy」。キャッチコピーや広告のタイトル、記事の見出しや本文をはじめ、「商品説明文」「Instagramの投稿文」など、用途を細かく選べるのが特徴で、Notion AIよりもさらに文章作成に特化している。
作成する前に文章の雰囲気を「丁寧・カジュアル・大胆」の3種類から選べるなど、かゆいところに手が届く仕様になっており、ChatGPTのように指示文を考える必要がない。
実際に仕事に使えそうなのが、「短文を長文にする」という機能。例えば、「AIツールを使いこなすのは難しい。」と書き、文章のトーンを指定する。
すると「AIツールを使いこなすのは難しいと言われていますが、それは確かに挑戦的な課題です。AIツールは、人工知能を活用してデータを解析し、予測や意思決定を行うためのツールです。しかし、......」と、ものの数秒で200字程度の文が返ってくる。
出てきたのは冗長な文だったが、「まったく文章が浮かんでこない......」なんてときに、たたき台として利用できることがあるかも。
■PDF要約ツールで仕事の能率アップ!
ChatGPTではできない作業の代表例が、動画の生成だろう。その中でもすごいと感じたのが、「Runw Gen-2」だ。
これは静止画から動画を作り出すもので、操作も画像を取り込んでから「生成」ボタンを押すだけ。すると2、3分ほどで、その画像に映り込んだ人物や風景が動く動画が完成。これ、試してみるだけでも面白い!
飲み会の写真を取り込んでみると、参加者がぬるっと動き出して驚いた(ただ、手前に写ってた友達が突然別人に変化して怖かった)。基となる画像がなくても文で指示すれば動画を生成してくれるので、企画プレゼンの際などにイメージを共有するのに使えそう。
続いて、Webサイトを作ってくれるAI「10Web」。作成したいサイトの種類(仕事用なのか、自己紹介用なのかなど)、自分の職業、サイト内の文体......などを入力すれば、3分ほどで完成。別途サーバーを契約すれば、ホームページの完成だ。
ただ、無料で作れるのは、あくまでも超初歩的なページでしかない。生成されるページの表記もほとんどが英語だし、編集をするには有料プラン(月20ドルから)への加入が必要になるので、本格的にサイトを作ろうと思うと無料で完結させるのは難しいかも。
一方、「これは使える」と感心したのが、PDFファイル要約ツール「ChatPDF」だ。これはChatGPTを開発した会社が提供しているサービスで、PDFをアップロードすれば要約をしてくれたり、内容についての質問に答えたりしてくれる。
仕事柄、プレスリリースのPDFを読むことが多いのだが、これのおかげでかなり能率がアップした。たとえPDFファイルが英文だったとしても、日本語で回答を得ることが可能。なので英語論文なんかもぐっと身近になる。
実際に100ページ近くある論文を「1000文字程度で簡潔にまとめて」と頼んだら、バッチリ対応してくれた。無料版では月に120ページまでだが、十分使えそう!
「ただ、要約したものが本当に正確なのかはわからないので、ざっくりと要旨を理解した後に自分で目を通す作業は必要でしょう」(ナギさん)
■無制限に使える無料ツールも!
無料なのに無制限で使える、太っ腹なサービスもいくつかあった。ひとつ目は、対話型のAI検索エンジン「Perplexity」だ。ChatGPTも似た機能はあるが、根拠となる最新のソースを表示してくれるのが最大の違い。ChatGPTは検索結果が最新状況を反映していないことがあるが、その弱点を克服しているのだ。
実際に利用してみると、ログインしなくても使えるところに好感を持った。ほかのAIツールによくある、新規登録の作業が不要なのだ。サイトは英語表記なので身構える人もいるかもしれないが、日本語で質問すれば回答は日本語で返ってくる。
試しに自分の名前を打ち込んでみたところ、しっかりと正しい情報が返ってきた。その上、自分が執筆した記事のリンクも併せて提示。なかなかデキる。
「アドバイスや、他人の意見が欲しいときにはChatGPT、事実を求めたいときにはPerplexityと使い分けるのがオススメです」(ナギさん)
ふたつ目の太っ腹ツールは、オンライン会議やウェビナーなどの自動書き起こしをしてくれる「tl;dv」。Zoomでオンライン会議を行なった後、「発言者別の書き起こし」「議事録作成」「重要箇所の時間のメモ」などの面倒な作業を経験した人も多いだろう。それをすべて解決するのがtl;dvだ。
自分もこのツールに出合って以来、会議の要約を任せ、その後議事録全文で要約箇所に間違いがないかを確認するという作業がルーティン化できた。書き起こしの時間がゼロになったのは非常にありがたい。
ただ、こちらも操作画面が英語なので、抵抗を覚える人はいるかも(徐々に日本語対応が進んではいる)。なお、Perplexityとtl;dvにも有料プランは存在し、機能が拡充されたりAIの質が向上したりする。
試してみた所感としては、ChatGPTのようにさまざまな機能を持ち、無料でもある程度使える万能ツールは多くない印象だった。また、使い方を覚えるには時間がかかるので、何個も併用するのは現実的ではない。自分の肌に合うツールを見つけて、じっくりやり方を覚えていくスタイルがいいだろう。
まだまだ試験的な段階のツールも多かったので、ここからさらに機能や日本語対応が充実することを期待したい!