iPhoneでバッテリーの省エネ機能となるのが「低電力モード」。こちらは【設定→バッテリー→低電力モード】から設定することが可能 iPhoneでバッテリーの省エネ機能となるのが「低電力モード」。こちらは【設定→バッテリー→低電力モード】から設定することが可能

近年、災害発生時のトピックスとなるのが、スマホのバッテリー残量とその充電に関する問題。スマホのバッテリーを少しでも長持ちさせるためにはどのようなテクニックがあるのか? 平時から心がけたいスマホバッテリーの最適解を紹介です!

■災害前から準備したいスマホ設定とは?

1月1日に発生した能登半島地震。この影響による停電でスマホや各種ガジェットの充電はかなり困難な状況。そこで注目されるのがバッテリーの節約術だ。スマホ本体の設定から、日常から災害時にも役立つモバイルバッテリーのスペックなど、ITジャーナリストの三上洋さんに解説してもらいます!

――非常時にスマホのバッテリーを長持ちさせるためにやるべきことは?

三上 まずは低電力設定です。iPhoneでは「低電力モード」と呼ばれ、多くのAndroidスマホでも「バッテリーセーバー」という機能から低電力設定が可能です。どちらもディスプレーの表示が暗く設定され、アプリの更新や写真・動画のクラウドへの同期、5G回線の接続制限などを行なうことでバッテリーを長持ちさせる機能になります。

iPhoneの低電力モードは、ホーム画面から各種機能を設定できる「コントロールセンター」にも追加することが可能。こちらに追加すると、表示される【電池アイコン】をタッチすることでも省電力モードのオンオフが可能。迷うことなく設定できるのがポイントです! iPhoneの低電力モードは、ホーム画面から各種機能を設定できる「コントロールセンター」にも追加することが可能。こちらに追加すると、表示される【電池アイコン】をタッチすることでも省電力モードのオンオフが可能。迷うことなく設定できるのがポイントです!

――スマホの利用で最もバッテリーを消費する行為とは?

三上 どのスマホでもゲームや動画視聴などは大きくバッテリーを消費しますから、充電のめどが立たない災害時ではこれらの使用を控えましょう。そして一般的な用途だと、通知を受信してディスプレーに表示させることが最もバッテリーを消費します。

なので、低電力モードの設定後は、さらにディスプレーの輝度を暗くすること。電波の不安定な場所では「機内モード」に設定し、"1時間に1回電源を入れて電波状況を確認する"といったルーティンを決めて運用する。特に圏内・圏外が微妙な場所での通信はバッテリー消費がより激しくなりますので、これもマストです。

そして、アプリの通知は必要最低限に設定してください。

メーカーによって名称は異なるが、Androidスマホにもバッテリーの省エネ機能が搭載されている。多くは【設定→バッテリー】から設定でき、通常の低電力から超低電力まで用意され、iPhone以上にユーザーが細かく設定できるのが特徴。設定方法がわからない場合は、【端末名 省電力】で検索しましょう! メーカーによって名称は異なるが、Androidスマホにもバッテリーの省エネ機能が搭載されている。多くは【設定→バッテリー】から設定でき、通常の低電力から超低電力まで用意され、iPhone以上にユーザーが細かく設定できるのが特徴。設定方法がわからない場合は、【端末名 省電力】で検索しましょう!

――確かに、日常でスマホを利用しているとゲームのアップデートから新動画配信のお知らせ、さらに各種クーポン情報などなど。メッセージ系のアプリ以外でも通知ラッシュのときがあります。

三上 その通知ごとに通信が発生し、ディスプレーに表示もされます。バッテリー消費が無駄に増えるのでアプリの通知管理はとても重要です。アプリのインストール時の通知設定そのままというユーザーが多く、これはスマホの設定から即見直してください。

iPhoneは【設定→通知】から任意のアプリを選択して、その通知のオンオフが可能。Androidスマホも多くが【設定→通知】から個別アプリの通知を管理できる iPhoneは【設定→通知】から任意のアプリを選択して、その通知のオンオフが可能。Androidスマホも多くが【設定→通知】から個別アプリの通知を管理できる

――停電時の電力供給で定番となっているモバイルバッテリー。これはどのようなスペックの製品を選ぶべきでしょうか?

三上 バッテリーの容量が1万~2万mAhですと、一般的なスマホを3回以上充電できます。災害時に電力が復旧するまで3日間がめどになりますから、その期間をしのげるのがこの容量です。それと重要なのがバッテリーの出力性能です。

これは30W以上の製品ならスマホだけでなくタブレットやノートパソコンの充電にも利用できます。購入検討時は大手ECなどで【モバイルバッテリー 1万mAh以上 30W以上】と検索して、電気用品安全法である【PSE規格】をクリアした製品を選ぶのが確実です。

最新スマホの多くは有機ELディスプレーが採用されており、これらは「ダークモード」を利用することでディスプレーの電力消費を抑えることが可能。もちろん、ディスプレー輝度は極力暗く設定するのも基本です! 最新スマホの多くは有機ELディスプレーが採用されており、これらは「ダークモード」を利用することでディスプレーの電力消費を抑えることが可能。もちろん、ディスプレー輝度は極力暗く設定するのも基本です!

――キャンプ用途でポータブル電源も人気ですが、これの災害時での活用術は?

三上 ポータブル電源は暖房、調理家電にも利用でき、災害時にメリットが大きい製品です。しかし、人気の大容量モデルは本体重量が30㎏を超えるものが多く、災害時にこれを持ち歩くのは現実的ではありません。

"ポータブル電源をクルマに積みっぱなしにできる"という環境があるなら、災害用に用意しておくと活用できるシーンが多いでしょう。

その一方、マストなアイテムといえるのがシガーソケット充電器です。これはクルマのシガーソケットに挿して利用する製品で、エンジンが稼働する状態ならスマホの充電が可能です。

――最近はスマホとスマートウオッチを併用している方も多いです。こちらはどのようなスペックの製品を選ぶのが正解ですか?

三上 スマートウオッチ単体である程度の機能が利用できることが重要です。例えば、ウオッチ側で通知を受け取ることのできる製品なら、スマホのディスプレーを表示することなく通知とその内容をチェックでき、スマホのバッテリー節約につながります。

最近は1万円以下のスマートバンドでもLINEの簡易的な返信に対応しており、これらの製品は本体バッテリーも1週間以上持ちます。このような製品だと災害時のスマホのバッテリー節約に有効です。

――ほかにバッテリーを節約するのに必要なものは?

三上 ラジオです。ラジオは災害に強く、SNSのような"ニセ被災情報"もありません。ラジオで災害情報を収集しつつ、ピンポイントの被災状況、避難所情報などをSNSから入手するという使い分けを行なうことで、スマホのバッテリーも節約できます。

災害時でも比較的入手容易な単3電池で稼働するモデルを選ぶのがよいでしょう。1日に数時間程度の聴取でも1ヵ月は使えます。

――このほか、災害前から準備できることなどありますか?

三上 災害時はスマホの電波そのものが停波することがあります。このような場合は災害用の無料Wi-Fiの「00000JAPAN」やスターリンクなどの衛星通信に頼るしかありません。なので、通話手段はLINEなどアプリの通話機能を利用するのが基本となることを覚えておきましょう。

災害時に開放される無料のWi-Fiサービス・00000JAPANファイブゼロジャパン。スマホのWi-Fiをオンにして表示される【00000JAPAN】を選択するだけで、パスワード入力や追加アプリなど必要なく利用可能。YouTubeでその利用方法が公開されている 災害時に開放される無料のWi-Fiサービス・00000JAPANファイブゼロジャパン。スマホのWi-Fiをオンにして表示される【00000JAPAN】を選択するだけで、パスワード入力や追加アプリなど必要なく利用可能。YouTubeでその利用方法が公開されている

そして、キャリアやLINEが提供している災害時の安否確認サービスもあります。現在、最も普及しているのは「LINE安否確認」で、これは災害時にアプリのホーム画面から利用できます。LINEの友達に対して、ユーザーの安否情報を簡単に発信できるサービスなので今から使い方を確認しておくことを強くオススメします。

――LINE安否確認は設定も簡単なので、即チェックしましょう!

LINEが提供する災害時の安否確認サービス。災害時、アプリのホームから設定ができるのがポイント LINEが提供する災害時の安否確認サービス。災害時、アプリのホームから設定ができるのがポイント

LINEが提供する災害時の安否確認サービス。災害時、アプリのホームから設定ができるのがポイント LINEが提供する災害時の安否確認サービス。災害時、アプリのホームから設定ができるのがポイント