直井裕太なおい・ゆうた
ライター。尊敬する文化人は杉作J太郎。目標とするファウンダーは近藤社長。LINEより微信。生活費の支払いは人民元という国境を越えるヒモおじさん。ガチ中華はブームじゃなくって、主食です。
これまでは専門店での販売が中心で購入も買い取りもハードルが高めだった中古スマホ。しかし、最近ではキャリアや大手家電量販店など、これまでは新品オンリーだった業種も続々と中古市場に参入してユーザー的に利用しやすくなっているという。そんな中古スマホの賢い利用方法を紹介です!
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最近、テレビや各種SNSには中古スマホの広告がしばしば入り、商店街やショッピングモールにも「スマホ買い取ります!」というお店が乱立中。調査会社のMM総研の発表によると、今年度の中古スマホの販売台数は300万台超えと予測され、6年連続で過去最高を更新する見通しだという。
端末のシェア的には新品のiPhoneシリーズやシャープのAQUOS senseシリーズ、Google Pixelシリーズに続く勢いの中古スマホが伸びている理由、そして絶対に失敗しない買い方、売り方をITジャーナリストの法林岳之(ほうりん・たかゆき)さんに解説してもらいます!
――近年の中古スマホ市場の盛り上がりにはどのような理由が考えられますか?
法林 現在、新型のiPhone 16の定価は12万4800円から。端末の高価格化が進み、自分のメイン端末や子供用として中古スマホを選ぶユーザーが増えてきました。
そして、格安SIMことMVNOの普及で、現在では月額1000円台で20GB前後のデータ通信容量を利用でき、サブ端末を持ちやすい環境が整っています。若いユーザーはカメラ専用端末を持ったり、SNSやゲームのアカウントを端末ごとに使い分けて利用することも多く、世代を問わず中古スマホの需要が高まっています。
――現在、オススメの中古スマホは?
法林 やはりiPhoneシリーズですね。日常的なアプリだけでなく、3Dゲームもストレスなく楽しめる性能、そしてiOSのアップデートが継続され、長期間使えるという利点から、2021年発売のiPhone 13シリーズ、22年発売の14シリーズが中古スマホの主力といえます。
価格面では4万円台から販売されるiPhone 13シリーズのほうが安い。しかし、14シリーズからは防水、ディスプレーなどの耐衝撃性能が見直され、メイン端末としてより長く利用するなら14シリーズのほうをオススメします。
ただ、14シリーズはAppleの現行モデルであり、キャリアやサブブランドでも取り扱い中です。MNPキャンペーンなどでは新品の14シリーズがかなり安くなる場合もあるので、購入時はそのタイミングで中古価格と比較するのが良いでしょう。
――では、Android端末のオススメモデルは?
法林 Google Pixelシリーズですね。例えば、中古で4万円台から買えるGoogle Pixel 7aならOSのアップデートは26年5月まで行なわれ、セキュリティアップデートは28年5月まで対応。つまり3年以上は安心して使えます。
一般的なアプリの利用で動作に不満を感じることはなく、写真や動画などでGoogle独自のAI機能を利用できるのも特徴です。
――シャープのAQUOS senseシリーズも中古ショップでよく見かけますが、こちらの特徴は?
法林 カメラやAI性能が突出しているモデルではありません。小型軽量かつ防塵防水でとにかく頑丈、そして中古価格がこなれているのが特徴です。
例えば、21年発売のAQUOS sense 6なら1万円台から販売されています。頑丈な端末なので、外装がボロボロの1万円以下の中古でも動作面は問題なく、サブ端末として活用できますね。
――ところで、若い人たちがSNSの裏垢専用機としてサブ端末を活用するのはわかりますが、おじさん世代にはどういったサブ端末の活用シーンがあるのでしょうか?
法林 例えば、クルマやバイクのナビ専用として利用したり、お風呂での読書・動画専用としても活用できます。いくら防水といっても20万円前後の最新iPhoneをお風呂に持ち込むのは気が引けますからね(笑)。
そのような用途なら、中古ショップで〝Cランク〟として販売される外装ボロボロの端末で十分です。AQUOS senseシリーズやサムスンのGalaxy Aシリーズなどのキャリアモデルは防塵防水の頑丈な本体で、中古も低価格で買いやすくなっています。
――ここからは使用中のスマホを売りに出すときの注意点もチェックしていきましょう。どのような端末のリセールが高いのでしょうか?
法林 現状、中古市場で人気のiPhoneとPixelの最新シリーズがやはりリセールが高いですね。そして、AQUOS senseシリーズにも注目です。
AQUOS senseシリーズは性能的にはミドルクラスの端末と位置づけられており、定価6万円台とiPhoneやPixelと比べ安くなっています。しかし、AQUOS senseシリーズは法人需要が多いことから、下取り金額が高いのが特徴です。
買い取り査定時の端末のコンディション面で注意したいのは本体のキズ。背面ガラスやアルミパーツなどの外装のキズは数百円程度のマイナスですが、ディスプレーやカメラレンズだと数千円マイナスとなることが多い。なので、新品購入時から買い取りを考えるなら、ガラスフィルムは必須アイテムとなりますね。
――また、買い取りに出す場合に端末の初期化は超基本! これらの注意点は?
法林 iPhoneのiOSの場合は「探す」機能をオフにすること。これは初期化を行なう前に設定する必要があります。探す機能がオンの場合は「盗難品の恐れがある」として買い取り対象外となるので要注意です。
――Android端末の注意点は?
法林 タッチ決済機能である『おサイフケータイ』アプリのメモリ領域を完全に削除することです。端末初期化では削除できず、ここが残っている場合は買い取り不可。
ただ問題がありまして、「モバイルSuica」「iD」「QUICPay」「楽天Edy」などサービスによって削除方法が異なり、一括で削除することができないのです。なので【おサイフケータイ ***(サービス名) メモリ領域削除】と検索して、ひとつずつ削除するしかありません。
――これはほかに有能な削除方法はないのですか?
法林 唯一、ドコモ端末の場合はドコモショップのデータ削除用端末「DOCOPY」で一括削除が行なえます。その他のキャリアでは一括削除を頼むと有料の修理扱いとなる場合もあり、自分で削除していくしかないのが現状です。
――スマホを買い取りに出す場合、どのようなショップが正解なのでしょうか? 駅前や商店街にあるショップよりも大手家電量販店やリユースチェーン、老舗中古店のほうが査定額は高い印象があります。
法林 大手家電量販店やリユースチェーンは個人向け販売だけでなく、法人向け販売や海外輸出も行なっています。それもあって高額買い取りを実現できています。
また、宅配での買い取り査定にも対応しており、業者によってはマイナンバーカードで本人認証を行なえば、取引も簡単かつスムーズです。
ただ、時期や店舗によって査定額やキャンペーンの有無にバラツキがありますので、まずはネットでそれぞれの業者の参考査定額をチェックしましょう。
――今後、中古スマホ市場の課題点などは?
法林 現在のスマホOSは、探す機能やおサイフケータイのように解除や削除が必要な項目が増え続ける傾向にあります。しかし、現状では「スマホ内のマイナンバーカード情報はどう削除するのが正解なのか?」といった本格的な論議もありません。
こういった部分を疎かにすると、中古スマホ市場は専用の削除端末を保有するメーカーやキャリアだけしか参入できなくなる可能性もあります。なので、政府主導で新たな中古スマホの売買ガイドラインを作る必要があるのではと考えています。
――中古スマホの売買でとにかく重要なのは各種個人情報系の完全削除。こちらだけは絶対に忘れずに!
ライター。尊敬する文化人は杉作J太郎。目標とするファウンダーは近藤社長。LINEより微信。生活費の支払いは人民元という国境を越えるヒモおじさん。ガチ中華はブームじゃなくって、主食です。