こちらは長渕が2009年に発表したシングル『卒業』のジャケットを完全再現。パロディへのただならぬ情熱を感じます! 

名古屋に長渕剛に激似の新人が!? 

そのアーティストはTakuya Nagabuchi。ファンの間では超有名でなんと単独ライブでは700人を動員したという。そこで、編集部イチの長渕マニアである記者が2015年の暮れも押し迫る12月29日、名古屋の老舗ライブハウス、ハートランドスタジオで行なわれた単独ライブ“THANK YOU NIGHT 2015”に駆けつけた。

前回のライブリポートに続き、後編ではTakuya Nagabuchi本人と、活動の応援団長を務めるマネージャー的存在の竹島宏仁氏に独占インタビュー!

―お疲れ様です! ウィッグからハーモニカから衣装まで完全再現ですね。

Takuya Nagabuchi以下、Takuya) 剛さんのファンって鉄道ファンじゃないですけど、いろんな部類のファンがいるんですよ。歌やギターが好きな人はもちろん、衣装が好きだとか役者としての剛さんのセリフが好きだとか。だからどれも手を抜けないんです。

―今回の衣装の白シャツに黒スラックスや水色の衣装も何かを再現したと?

Takuya  はい。白シャツ&黒スラックスはライブアルバム「長渕剛LIVE」を、水色のは83年の「SUPER LIVE IN西武球場」の衣装ですね。ギターやハーモニカもライブ映像などを元に本物に近いものを取り寄せているんですよ。

―すごいコダワリようですね。

Takuya  実はTakuya Nagabuchiとして活動開始したのは2014年からで、その前までは「佐藤拓矢」として活動をしてたのですが鳴かず飛ばずで…。元々、剛さんが大好きでコピーもやりたかったから、歌い方から衣装まですべて忠実に再現したライブをやって音楽活動に区切りをつけようと思っていたんです。

―それが2014年10月13日に670人を動員したという伝説のライブ?

Takuya はい。そのライブでは70年代後半から80年代中期のフォークアイドル時代から後のロックバンド期、そして90年代のドラマ『しゃぼん玉』時代のカリスマボイス期など4つの時代をガッツリ5時間、歌いきりました。

竹島 Takuyaの何がスゴいって4つの時代、全部の歌い方から素振りまでが似てる一流の偽物だってこと。我々、ファンは“憑依(ひょうい)芸”と呼んでます(笑)。

フルで歌わなければ剛さんの歌の良さは伝わらない

Takuya Nagabuchi(右)と応援団長の竹島さん(左)。「ストライプのシャツは『STAY DREAM』ツアーの衣装でEP盤『ろくなもんじゃねえ』のジャケットで剛さんが着てた衣装を意識してます」とTakuya。私服までこだわるマジっぷり!!

そもそも、そこまで細部にこだわるのはナゼなんですかね。

Takuya 佐藤拓矢で活動してた頃から、誰かこのくらい本物に近い偽物を見せてくれないものかと思ってたんですよ。自分にとって「STAY DREAM」や「LISENCE」 の頃の剛さんが楽曲や演出、生き様が最も好きなので。

―誰もやってくんないなら、自分がやったる!と。

Takuya はい。2014年10月のライブをこだわり抜いてやり切れたら、もうそれで音楽活動から離れても悔いはないと思ってたので。

竹島 いやいやオレらファンがそこで終わらせねえって。いずれTakuyaの名を世に知らしめ、最終的に佐藤拓矢として武道館を目指すって決めたんだ!

Takuya その計画、初めて聞きました(笑)。

―竹島さんがそこまで惚れ込んでるのはなぜですか。

竹島 最初の衝撃はTakuyaの憑依芸だったものの、オレは今や佐藤拓矢としての音楽センスに惚れてるから。佐藤拓矢オリジナル曲のファンだし、彼の歌は人の涙腺を緩ませる力がある。今ではコイツを男にするのがオレの夢だから。

―そもそもTakuyaさんが長渕を好きになったキッカケは?

Takuya 幼稚園の頃、母親が録画してた『とんぼ』を何気なく見た瞬間から、理屈じゃなくて「この人は正義のヒーローだ」と衝撃が走ったんです!

―確かに、演じた主人公の英二は“正義のヤクザ”でしたけども。4歳で??

Takuya そこからはドラマの最終回のセリフや演技を完コピしたり、妹をツネ(哀川翔が演じた子分の常吉)に見立てて蹴ったりして(笑)。

―とんでもない子供ですね。でも同級生で長渕好きなんていないでしょう?

Takuya そうですね。同級生はビジュアル系バンドとかにハマってる中、自分は12歳で剛さんの曲はギターで全部弾けてたし、14歳で全校生徒の前で剛さんを歌ったりして我が道をいってました。

奥様の長渕悦子さんからは「応援していますよ」と

オリジナルのTシャツを着てライブで盛り上がるマダムたち。山梨県や奈良県など遠方から訪れるファンも多い。「元々、剛ファンだったけど今ではTakuya君の大ファンですよ」とは静岡県からライブ参戦した41歳の女性。

―それでカラオケ番組や「のど自慢」に出たりは?

Takuya やはりイメージを崩したくないから、自分や引き連れてるバンドによる演奏で歌う機会があるならいいんですが、カラオケともなると、もう剛さんの世界を壊してしまいますからね。

―長渕は曲を短縮するのを何より嫌いますもんね。紅白歌合戦のベルリンの壁からの生中継で3曲フルで歌い大御所歌手が怒ったというのは有名な話です。

Takuya はい。フルで歌わなければ剛さんの歌の良さは伝わらない。僕もその剛さんの意志を引き継ぎ、お笑いに走るようなこともしたくないんです。

―あー、リトル清原さんあたりと一緒に清原引退式を再現とか、TV業界の人とかがわかりやすく想像しがちな構図ですよねぇ。

Takuya リトル清原さんとはイベントで共演させていただいた時に「Takuyaの長渕の完成度に衝撃を受けた」とのお言葉をいただいています。

竹島 実は長渕好き芸人として有名な方とかもTakuyaのライブには来ていただいてるんですよ。彼らプロの芸人さんからも「Takuya君の歌は似すぎて笑いにならないんだよな」と言われましたね(笑)。

―ちなみに、Takuya Nagabuchiとしての活動はご本人の公認なんですか?

Takuya いえ、ご本人にはまだお会いしてないですが奥様の長渕悦子さんとはあるライブ会場でお会いした時、僕のことをご存知で「応援していますよ」とお声をかけていただきました。

―最後に、2月3日に去年8月の富士山オールナイトライブDVDが発売されますが、あの夜はTakuyaさんにとってどんな夜でしたか。

Takuya 桜島オールナイトを経てからの約10年間の剛さんのライブのあり方をまざまざと叩きつけられたエネルギッシュなライブだったし、これからも剛さんの背中を追いかけたいと確信できた。

富士山では歌わなかったけど、今日のアンコールで僕が歌った「時代は僕らに雨を降らしてる」の歌詞が妙にしっくりきて。そろそろ僕らが窓を叩く番だぜ!と。

*  *  *

まさに究極の長渕ファンであり、本人ですら昔のままの声や歌い方を再現できないのでは?という過去のレパートリーまでも歌い上げる一流の偽物、Takuya Nagabuchi。今年は関東や東北地方もライブで回る予定だそうなので、あの頃の長渕を見たいアニキは会場へGO! マジでスゲーですよっ。

(取材・文/河合桃子)

【ライブ情報】●TAKUYA NAGABUCHI SPEIAL LIVE 20161月30日開場19時、開演19時半 滋賀Cafe&Bar SKY JOKER(彦根市戸賀町143Can’s夢工場Part1 2F)●Takuya Nagabuchi LIVE in FUKUOKA~待ち合わせの交差点~3月4日開場19:00、開演19:30 糸島フォークカフェカンドレ(福岡県糸島市高田4-26-21)近況は「Takuya Nagabuchi OFFICIAL WEBサイト」にて https://www.facebook.com/Takuya-Nagabuchi-636460426399626/ライブのダイジェスト映像もチェック! https://m.youtube.com/watch?v=LOOHceAWLwE