「全日本スナック連盟」会長でもあり、ますます幅広い活躍で人気の浅草キッド・玉袋筋太郎さん

あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』

前回、大鶴義丹さんからご紹介いただいた第15回ゲストは芸人の玉袋筋太郎さん。

長年、多才な活躍をされる中、「全日本スナック連盟」会長でもあるということで酒呑みの話がディープに展開。さらに、市井のカッコいいおやじ論にまで話は及んだが、最後に紹介していただくお友達はーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)

―ちなみに今日もこの後は飲みに出かけるわけですよね。

玉袋 今日ね、若手がいるからね、久々、飯でも食って一杯っていう感じなんだろうね。一杯が二杯になっちゃったりするんだけどね。あぶねーあぶねー(笑)。

―本当にいろんなところで活動を目にするんですが、僕が今、新宿区に住んでまして。地下鉄とかに置いてあるタウン誌でも玉袋さんが地元のスナックを紹介してるコーナーがあるんですよね。ご自分も新宿育ちっていう縁もあるんでしょうけど。

玉袋 あれはまだ1年とかですね。(新宿の)新しいお店開拓できたら行きますよ。ママさんの人生聞いてるのやっぱ面白いしね。

―でもほんと先の話にも出ましたが、我々ぐらいの世代が伝えるというか残す役割がありますよね。年齢的には僕が玉袋さんより1コ上で、今となっては知られなくなっちゃってる丙午(ひのえうま)世代というやつなんですが。

玉袋 はいはい。クラスひとつ少ないみたいなね。

―ええ、出生数が極端に少なくて。それで特別に見られたりしたんですけど、逆に下の世代にちょっとしたやっかみもあって。反動でいっぱい生まれて、ものすごい競争も激しかっただろうし。昭和42年世代って、野球だと清原・桑田のKKとか、サッカーだと三浦カズに中山ゴンとか…ビッグネームが育っててトンデモないというか、羨ましさもありつつ…。

玉袋 あ~。いやいやいやいや、あと伊集院(光)、ピエール瀧、松村邦洋。で、西村賢太ね…。

―はははは、でもそういう42年生まれの打たれ強さとか競争心っていうのもずっとあったんじゃないですか? 生き抜いてきた感じが。

玉袋 どうなんですかね。そりゃ60年代、70年代とかそれぞれね、学園紛争があったりとか、その年代のジェネレーションの人たちでもあるんでしょうけど。俺たち80年代は空白だとか言われてるけど、80年だって相当面白いと思いますけどね。

―今となっては、音楽でもアイドルでも80年代がまたクローズアップされてますしね。

玉袋 最高じゃないですか。俺は楽しかったですね、80年代で。

「48ぐらいで同窓会とかやっちゃダメだよ」

―それで90年代に突入するまで、いわゆるバブル期を経験して。

玉袋 バブルは経験できなかったんですけどね~。本当のあぶくだったんですけど、俺らは。弾けてますから、もう(笑)。だからそれを取り返そうとしてるわけじゃないですか、今。

だって当時バブルで遊んでるヤツとかさ、すぐもうソアラ買っちゃうとか、ベンツの560のブーメランウイング付けちゃうバカとかいたんだけどさ。そいつらに「待ってろよ、この野郎!」つって。楽しみを先にとっちゃったらね、後は苦しみしかねーぞって。こっちはずっと苦しんでたわけでさ。

―あの狂乱時代にイケイケでぶっとばしてたやつらに、俺が今一番楽しんでるのを見せつけてやると(笑)。

玉袋 そうそう。まあどっちがね、不良だつったら、俺のほうが不良なんだけどさ、今考えりゃ。すげー悪い学校だったし。でも俺は全然そっちに行かなかったしね。で、中学時代のやつとか会わねーようにしてるんだけど、なんかね、そいつらの話聞くとそんなとこに収まっちゃったのか~とかさ。自分が偉いわけじゃないですよ。でもなんか狭いなと思っちゃったりするんですよね。

―たまに昔の同級生に会うと、良し悪しは別として、こんなに違うものになっちゃうのかっていうのはありますね。

玉袋 そうそうそう。そっちはそっちで幸せにやってるんだったらいいんですけどね。どっちが上とか下じゃないしさ。けど、全然違うんだなって。でさ、なんか俺の小学校時代の思い出話を書いた小説(『新宿スペースインベーダー』)があるんですけど、それをきっかけにね、同窓会が始まったらしくて。もう小学校なくなっちゃったし、中学校もなくなっちゃってみんなバラバラなんだけど。

―そうなんですね。なんかイイ話のような…。

玉袋 いや、俺の本がきっかけなのに、俺を呼ばねーとかね(苦笑)。ま、俺もいかねーし。なんかさ、48ぐらいで同窓会とかやっちゃダメだよ。60とかそういうのじゃないとさ、うん。なんかさ、まだ生々しいじゃん?

「おまえも来いよ」って後で言われて、来いよって俺がきっかけじゃねーかって思ってるんだけど。だから行かねーって決めてるの。ぜってー行かねー!

―はははは、そこは子供っぽいような(笑)。でも僕もどっちかっていうと全然変わってない、大人げない感じで。アカンなーって思うことが多いんですけどね、飲み方にしても。

玉袋 へへへへ(笑)。あ~もう本当そうですよ。

「年上の人を喜ばせる能力が非常に低いよね」

―でもそこで昭和から平成生きてきて、自分達の世代がブリッジになるしかないという話にまたなるんですが。下の世代みたいにクールにはなれないし。

玉袋 なれない!

―IT世代にもなれないし。すごく隙間なんだけども、大事なつなぎ目の世代なんじゃないかと思ってるんですけどね。

玉袋 なれないしさ~。本当にそうですよ。だから最初言ったように文化とかね、バトンタッチする役になったんだなって思いますよ。使命ですよね。

―スナックもそうですし。そうやって残していくものを…。

玉袋 うん、なんかこう、マニュアル文化じゃないものとかね。不便なんですけど、そりゃもうハイブリッドのほうがいいんだけど、そうじゃないんだよっていうさ。プリウスじゃなくてリッター5キロの車だっていいんだよってね、感じなんだよな。

―人もみんなね、きれいになりすぎちゃって。泥臭さというか、それこそお●んこって言っちゃう、おかしなおっちゃんがいてもいいし(笑)。道徳的にばかり偏向しても面白くないぞ、歌舞伎町もそんな浄化されてどうするんだとか…。

玉袋 ははははは! そういうことなんですよ、ええ(笑)。なーんにもニオイを消していくから、ほんと漂白されちゃうから。やだよねー。シミが残ってるほうがさ、汚れがねーとさ、やっぱ。

―“男は顔が履歴書”って名言もありましたが、年取れば取るほどシミもシワも増えて、それが味わいのある顔になるかどうかってのはありますよね。

玉袋 いやほんと。だからね、アンチ“アンチエイジング”なんで、僕。年取りたくて仕方ないんですよ。ほんと、ガキの頃から早くおじさんになりたいと思ってたから。

―その先に僕は、クソじじいって言われたいってのがあるんですけど(笑)。近所のガキに悪態つかれて「このクソガキ~!」って追いかけ回すとか。

玉袋 いいですね~。最高ですよね。

―そうなるのが一番難しい気もしますけど(笑)。

玉袋 うん、でもなんか、さっき言った八百屋のおじちゃんなんてのも(前回記事参照)、俺の年代がしっぽ振ってくるのは嬉しいんじゃないのかなって思うんですよ。もちろん、お互い喜ばせ合いだけどさ。なんかまぁ、こういうのってあんま言いたくないんだけど、今の若い人達とかね、そういうちょっと喜ばせるとかさ、年上の人を喜ばせる能力が非常に低いよね。低下してる。

次回のお友達は“限りなくフリーダム”な…!

―確かに、あんまりものを聞いてこないし、語りかけてこないってのはありますよね。自分なんか、あれも聞きたい、どんどん話しかけてって感じでしたが。こっちから振らないと、向こうからはなかなかこない。

玉袋 ほんとそう。だからもったいないよね、せっかくアンテナがあるのにさ。なぜWikipediaに頼っちゃうのかとか。wiki世代というか、スクールナビ世代というか。…って言いながら、このインタビューもネットなんですけどね、コレ(笑)。

―そうなんですけど(笑)。だからこそ、皆さんにそれを伝えていただいて。おまえら、どうなんだ!と。

玉袋 そうですよね。やらなきゃいけないね、コレは。

―というわけで、だいぶお話しさせていただいて。そろそろお時間が…。

玉袋 僕が紹介する人も、うん、なんつーんだろうな、人生の限定解除っていうかね、それに近い人ですよ。限りなくフリーダム! いやほんと、きよし師匠は面白いわ。

―ビートきよしさん、友達で呼んじゃっていいんでしょうか(汗)。ある意味、一方の大御所ですから恐ろしいんですが…。

玉袋 いや、大丈夫! すっげー笑っちゃう。まんまだから。

―そうですか? それこそ、何をどう聞いても奥が深そうな…。

玉袋 深いですよ、そこはね、うん。深い部分と浅い部分のね…なんだよ随分、遠浅だなってとこもあるし。そこがまたいいんですよね。

でも、自由に生きてる感じするんですよ、きよし師匠見ると。それでツービートじゃないですか。あれだけ長いキャリアがあって、まだふたりで出てるって。それやっぱ、殿もきよしさんじゃないとダメだって所があるんですよ、絶対。

―近くで見てたら尚更、不思議な関係なんですかね。その距離感が。

玉袋 まだプライベートでゴルフ行ったりしてますからね。…いやでも、さっきの八百屋のおじちゃんとか鳶(とび)の頭とか以外で、この業界でそういう感覚を味わわせてくれるのが、きよし師匠ですよ。いやいや、もうほんとにイイ!

―では是非行かせていただきます(笑)。とりあえず、僕も飲めるうちは飲み尽くしたいと思っているので、玉袋さんともどこかのスナックでバッタリお会いできればと。で、ナマズもご一緒させてもらいたいとこですが(笑)。

玉袋 ははは(笑)。そりゃ夏になったらウェルカムですよ。是非遊びに来てください。もう最高ですから!

「バタンキューがいいでしょうね、うん」

―ありがとうございます! 実は玉袋さんのブログを読ませていただいて。最後に必ず出てくる“バタンキュー!”って言葉が今更ながら好きになりました。

玉袋 バタンキューですね(笑)。でも小っちゃい頃からバタンキューじゃないですか。親が使ってた言葉ですよ、バタンキューって。

―でも最近聞かないじゃないですか、誰も言わなくなっちゃって(笑)。最後にバタンキューってなるほど一所懸命生きる1日ってすごくいいなと思って。働いて遊んで。

玉袋 ははははは! グロッキー、バタンキューね。

―それこそ人生も最後どういう死に方するかわかんないですけど、バタンキューって終われたら収まりどころがいいような気がしますけど。

玉袋 バタンキューがいいでしょうね、うん。

―是非、流行らせましょう(笑)。では今日もバタンキューということで…あ、最後に何かきよし師匠にメッセージはありますか?

玉袋 う~んとねー…なんだろう…。総理大臣になっていただきたい、と。

―(笑)。それでまたどういう言葉が返ってくるのか想像もつかないんですけど。

玉袋 とにかく日本を変えていただきたい、ビートきよし総理に。へへへ(笑)。

―了解です。ではお伝えさせていただきます! 

第16回は1月24日(日)配信予定! ゲストは芸人のビートきよしさんです。

●玉袋筋太郎1967年6月22日生まれ、東京都出身。1986年にビートたけしに弟子入りし、翌年お笑いコンビ浅草キッドを結成。90年にテレビ朝日『飛び出せ笑い のニュースター』に出場し、10週連続で勝ち抜き、5代目チャンピオンに輝く。自ら立ち上げた一般社団法人「全日本スナック連盟」会長でもあり、スナック という地域の社交場に玉袋が突撃訪問する『玉袋筋太郎のナイトスナッカーズ・リターンズ』がJ:COMテレビにて放映中。また店長となり、スナックの選び 方、楽しみ方を教わりながら一緒にお酒を酌み交わす「スナック玉ちゃん」も隔月で開催。現在、TBSラジオ『たまむすび』、TOKYO MX『人生酒場~ 唄は夜につれママにつれ~』『バラいろダンディ』などにレギュラー出演中

(撮影/塔下智士)