変わらない若々しさで女優として活躍する中山忍さん 変わらない若々しさで女優として活躍する中山忍さん

あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』

第25回のゲストで女優・歌手の木の実ナナさんからご紹介いただいたのは女優の中山忍さん。

実姉の中山美穂さんがアイドル・女優として人気絶頂時に自身も15歳でデビュー、アイドル誌の表紙を飾る活躍だったが、20代からは映画やドラマにシフトし、数々の作品に出演。

女優としての地歩を固め、今が一番楽しいと語るが、そこに至る葛藤、大きすぎた姉の存在とはーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)

―木の実ナナさんからのご紹介ということで。「忍ちゃん、母さんはいつも応援してますからね」というメッセージをいただきました。

中山 はい、このお話をいただいてから、私もナナさんにメールして。そしたら「受けてくれて本当にありがとう」的な返信をもらいました。

―そんなやりとりをしてもらったんですね。ナナさんが以前『たけしくん、ハイ!』というビートたけしさんの自伝的作品のドラマ化で初めてお母さん役をやられた話をしていただいて。その時、たけし役を演じた小磯勝弥さんとはいまだにプライベートでも親子関係が続いてるそうなんですが。

中山 そうなんですか。私も親子の役をもう10何年、『万引きGメン・二階堂雪』っていうシリーズでやらせていただいて。

―それでやっぱり娘になっちゃった?(笑) 素顔も下町気質の素敵な女性で本当に面倒見がよさそうですもんね。

中山 その通りですね。なんか、ナナさんがフルパワーで元気すぎるから、逆に大丈夫かなって心配したりもして、ついて歩くみたいな(笑)。

―なんかわかります(笑)。お酒もすごい大好きで、地元のお祭りや趣味のダイビングでわいわい酒盛りされるそうで。やっぱりお酒もご一緒したり?

中山 でも私がお酒飲めないんで…。地方ロケに一緒に行って、じゃあご飯一緒に行きましょうみたいな感じはありますけど。

―なるほど。それもある意味、イメージ通りですね。お酒飲まなさそうな…。

中山 弱いんです。飲むと寒くなっちゃうんですよ。姉(中山美穂)も飲めなかったんだけど、30歳くらいになったら飲めるようになったって聞いて。あ、そうなんだって、その年齢になった頃、ちょっと練習してみたんですけど、全然。よくよく姉の周りの人に話を聞くと「いや、お姉ちゃんは昔から飲めてた」って(笑)。

―実は強くなっただけだったみたいな?(笑)

中山 でも、うちは両親と弟もいて、飲めるのは姉だけなんですよ。フランス行って、ワインがスゴい好きになったとか言ってましたし。

―では残念ながらワイングラス片手に姉妹で語らうっていうのはないんですね。

中山 ないですね(笑)。私もお酒の場とかは全然イヤじゃないんですけど、飲まないほうが楽しくいられるんで。

―僕なんかも酒飲みなので、飲まない女性がいると冷静にこっちを見られてるのかなとかちょっと怖いですけど(苦笑)。

中山 あ、そうですか? 大丈夫ですよ、酔っぱらってるんだなって思うだけなんで大丈夫です(笑)。

「『DUNK』はもうないんですよね…」

―微笑ましく見てる感じですか(笑)。でも本当、お変わりなくというか…10代でデビューした当時と印象が全然変わりませんよね。

中山 たぶん今、髪型が似てるからだと思います(笑)。なんか、友達が昔のアイドルをやってた頃の10代の写真を送ってきたりとかして。あれ、今と同じだなみたいな…。

―確かに髪型でも10代の雰囲気が戻ってるような若々しい感じで。ちなみに当時『週刊プレイボーイ』でもグラビアに出てもらってますが、何か撮影の思い出とかは。

中山 覚えてないんですよ、ごめんなさい(笑)。なんとなく、楽しかったなとかはあるんですけど。あの時こうだったって言われると、あれ、そうだったかな?って。

―やっぱり忙しすぎて、いろんな撮影があってごっちゃになってたり? 今でもネットで検索すると『DUNK』とか『BOMB!』とかの画像もすごく出てきますし。

中山 すごい出てたと思います。毎月出させてもらってた感じで。懐かしいですね。『DUNK』はもうないんですよね…。

―うちでいうと『duet』はまだあるんですけど。両方とも集英社で『Myojyo』とか『Seventeen』の流れですね。撮影で会社のある神保町にもよく足を運んだのでは。

中山 たぶん…行ったんだと思うんですよね。学校帰りによく行ったような…それも20年以上前の話なのでふわっとしてる感じですよね(笑)。

―おぼろな記憶に(苦笑)。じゃあグラビアだと水着の撮影も当たり前ですけど、そういう抵抗感はなかった? 以前、ゲストで出ていただいた三田寛子さんは、肌をさらすのがイヤでずっと事務所に反抗してたって話もされてましたが。

中山 グラビア自体が嫌だっていうのはなかったんですけど、よく横位置っていうのがあるじゃないですか、あれがどうも自分でイヤだったみたいで。

―見開きページで多いですよね。横にワイドに見せて、浜辺に寝そべるとか。いかにもグラビアポーズっていう(笑)。

中山 なんでこんな横にならなきゃいけないんだろうみたいなことはよく言ってたと思います。でも昔はすごい人見知りで、自己主張できないタイプだし。これはいいとか、これはイヤとかも言えないんだけど、イヤだって思う気持ちはあるんで黙って抵抗するみたいな。あんまりよくなかったですね(笑)。

―海辺で寝そべって、いかにも扇情的な媚(こ)びたポーズを撮らされて無表情になってたり?

中山 うん、不機嫌な顔してたと思いますよ。でも撮影自体が嫌いだったわけではなくて、いろんなところに連れて行っていただいたり楽しいなって。ただ、あの横位置だけがどうもイヤだった(苦笑)。

「お姉ちゃんが遠いところに行ってしまった」

―無理矢理やらされてる感っていうかね。では自分で昔のグラビアを見返したりすることもない?

中山 ほぼないですね。さっき言ったみたいに、たまに友達が送ってくるのはあって。この間も、体操着着て身体測定してるみたいな…15、16歳くらいの写真だと思うんですけど、面白半分で送ってくるんですよ。ちょっと前だったらすごいイヤだったかもしれないですけど、まぁ今となってはもう微笑ましいみたいな。

―そもそも、お姉ちゃんが先に芸能界で仕事をされていたことで声をかけられたそうですが。周りに背中を押されたのか、自分でも興味はあったのか。

中山 興味はあったけど、逆に遠い世界だと思ってたんですよ。ある日、突然、お姉ちゃんが家からいなくなって、TVつけたら出てるみたいな感覚で。お姉ちゃんが遠いところに行ってしまった、だからそこは遠い場所なんだみたいなイメージで。

でも、姉が初めて海外に撮影しに行くって時に、じゃあ家族で空港に見送りに行こうってなって。そこで「いくつなの?」「部活何やってるの?」とか聞いてくる変なおじさんがいて(笑)。それがディレクターの方で強面(こわもて)の監督さんだったんですけど、そこから回り回ってドラマに出てみませんかってお話がきたんですね。

その時も誰も反対しなかったというか…中学生だから、受験終わって高校からでいいんじゃないかみたいな話になって。実際、芸能活動を始めるのはそれからなんですけど。

―ご両親含めて意外に寛容というか、お姉ちゃんがやって大変なのも見てるけど、チャレンジしてみたらという?

中山 やりたいんだったらやってみたらって感じで。で、これまた私も全然覚えてなかったんですけど、この間、姉に会った時に「でも忍はその時期にこう枕を抱えて私の部屋に来て『誘われてるけどどうしよう、私にできるかな』っていうような可愛らしいことを言った」って。それで興味があるんだったらやってみればって言われたらしいんですよね。

―そこで初めて自分にもチャンスがあるんだ、試したいって気持ちが…。

中山 そうですね。やっぱりきらびやかというか、キラキラしてて楽しそうだなっていう。実際にどれだけ大変かとかキツいかってわからないから、ちょっと好奇心のほうが…。

―普通にそういう女のコの憧れとして気持ちはあったんですね。

中山 あったんですねぇ。なんか特別、嫌悪感みたいなものも全くなく、本当に普通の女のコが芸能界に憧れるみたいな。

「なんか鬱屈してる…この人は」

―それで実際に入ってみて、グラビアに歌手デビューもして、イメージの違いや向き不向きみたいなのも感じたりは?

中山 お仕事は別に嫌いじゃなかったんですよ。歌もすごい歌詞覚えられなかったし、振りも間違えるし、全然センスなかったんですけど(笑)、本人としては楽しくやってたんです。でも、だんだん年齢を重ねて、プロとしてどうなんだろうって思った時に、歌だったらあのコのほうが上手いしとか。あら?って思うようになって。

そのうち、バラエティにも出してもらったり。でも一番面白いなって思った…というか、一番厳しい現場だったのがやっぱり女優さんのお仕事だったんです。厳しかったけど、でもやりがいがあったというか。

―魅力を感じて、これが自分のやり続けるべきこと、みたいな?

中山 なんか、歌とかバラエティだと間違えちゃっても許されちゃうというか、できないなりに頑張ってるからいいよねって許してもらえてたようなところもあって。

それが女優さんになると、できるまでやれ!みたいな。泣いても、泣くと目が腫(は)れるから泣くなって怒られるし、そこでメイクさんとかに直してもらいながら「頑張って」とか優しくされて、また泣いて…で、また怒られて、みたいな。

―歌手でありアイドル的な扱いで若いうちは甘やかされていたものが、お芝居の世界は厳しさもありつつ、辛くても本気でぶつかれると。

中山 だから今思うのは、例えばそのグラビアでも横位置がイヤだったとか…小さなことですよね。でも、バラエティとかに出ても、コントで水をいっぱいかけられちゃうのがイヤだとか。なんか、そう感じてしまうことは多々あって…。

―なんでこんなやりたくないことも…とか。正直、ジレンマや違和感が募っていた?

中山 そう、でも言えなかったから…内にどんどん引きこもっていってしまってたのが割と10代後半くらいで。その頃、今のマネージャーに出会ったんですけど、なんか最初、すぐやめたいと思ったんですって…私があんまり喋らないから(苦笑)。はいといいえとそうですねしか言わないんで、もうイヤになっちゃってたらしくて。

前に担当してたコは朗(ほが)らかにきゃっきゃ一緒にやってたのに、なんか鬱屈(うっくつ)してる…この人はなんだろうみたいな。

―結構さらっと話してましたが、そこまでだったんですか…。

中山 はい。それでもいろいろ話をしていくうちに彼女が聞いてくれたんですよね、何がイヤかを言ってみなよみたいな。それが20歳前くらいの時で、年齢的には大人じゃないですか? でも上手い具合に自分の気持ちを言えなかった10代があって…。

そこで、イヤなら言っていいんだよって言ってくれたんで「あ、いいんだ」って。でも、その代わりにこれだったらできるっていう、案も一緒に出しなさいと。

―吐き出せなくて辛かったのが、ようやく前に進めるような導きをもらった?

中山 そうですね。そこでちょうどお芝居にも出会って。自分じゃないけど、演じる役の感情を表に出して表現していくっていうのがすごく合ってたというか、面白かったんです。

『刑事貴族3』って水谷豊さんが主演で、地井武男さんがいて、松方弘樹さん、寺脇康文さんがいて。3から初登場で一緒の彦摩呂さんもいて…そういう教えてくれる先輩方にも出会えたので。役者として必要な本当に基本的なことだったんですけど、そこで教わったなって。

「姉とかでも、悪者になっちゃったり」

―15歳くらいでお姉ちゃんのきっかけもあってこの世界に入って、でも自分は何がしたいんだろう、何ができるのかって考えるちょうど過渡期でもあったんでしょうね。

中山 あ、そうですね。20歳そこそこの時期で、それだったら歌もバラエティも1回お休みして、女優としてやっていけるように頑張っていこうってマネージャーも言ってくれて。やらせてもらったから現在があるって感じだと思います。

だから私にとってはすごくよかったんですけど。ただ、やっぱり周りにいた大人にとっては面白くないことだったかもしれないですね。

―自分でこれやりたい、あれは違うとか自己主張するのはまだ早いし、生意気だみたいな?

中山 それまで全然なかったのが急に言い出したから、うちの姉とかでもなんか入れ知恵したんじゃないかとか。実際、悪者になっちゃったりもあって…。

マネージャー そこで、中途半端にバラエティや歌をやっても決していいものにならない、それで世に出ることがよくないんじゃないかってことを会社にも伝えたわけです。でも、じゃあやりたいようにやらせなさいってところもあるけれど、それであなたたちのお給料もなくなったらどうするの?と言われれば、悩むところは確かにありました。

―まぁ現実的な話、それがわがままなのか甘やかしなのかっていうシビアな判断もあるでしょうしね。

マネージャー でもそれが決して甘やかしではない、本人がこれでやっていきたいって決めたんだったら、それをどう、もっと成長させていくかが大切じゃないかって話をして。レコードももう1枚出さないかって言われてたけれどもやめる、バラエティもゲストで呼ばれたけれども、そういう営業もやめようと。

バラエティーで水をびしゃーってかけられて、下着が透けちゃうみたいな…それでもう泣いちゃうわけですよ。他の女のコたちみたいにきゃっきゃできないんで、泣きそうな顔になっちゃって。決してこれは面白くはないだろうってことで、だったらもうアイドル誌の取材も水着もやめましょうと。

―そこで覚悟を決めたわけですね。これでやっていけないならと。

マネージャー そうですね。で、『刑事貴族』に出て、いろんな2時間サスペンスに出るようになり、映画に出るようになり、声のかけられ方が変わってきて。TV局へ行っても喜ばれるんですよ。「じゃあこういうのあるからやってみないか?」って。

そこで例えばドラマの撮影を2週間ガッツリやる中で、今までの営業やるギャラとも全然違うわけで。でも、それもきちんと提示するようにして、20歳の女のコに。これだとこれしかもらえないんだよって。それもひっくるめて女優になっていくのだろうと。

―そういう自覚も促して、責任を持たせたんですね。

中山 その自覚っていうのはすごく…自分でも芽生えるようになったと思います。

●この続きは次週、7月17日(日)12時に配信予定!  今、自身が考える結婚観とは…。

(撮影/塔下智士)

●中山忍 1973年1月18日、東京都生まれ。1988年、ドラマ『オトコだろッ!』で女優デビュー。93年に『ゴジラvsメガゴジラ』、95年に『ガメラ~大怪獣空中決戦~』(ヨコハマ映画祭助演女優賞、ブルーリボン賞最優秀助演女優賞、日本アカデミー賞優秀助演女優賞)に出演。ゴジラ映画とガメラ映画の双方に出演した初の女優となる。現在、舞台『梅と桜と木瓜の花』(7月11日~30日)に出演。武田鉄矢、中村玉緒、柴田理恵と共演、3人が扮する個性豊かなお婆さんトリオが繰り出す笑いと涙の珍道中は必見!