あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』。
第41回のゲストでタレント・女優のMEGUMIさんからご紹介いただいたのはタレント・女優の坂下千里子さん。
『王様のブランチ』にブランチリポーター(ブラン娘)として出演すると、バラエティでもそのオープンで明るいキャラが一躍、人気に。08年の結婚・出産後も活動の場を広げ、情報番組のコメンテーターからキャスターまでマルチな活躍。
変わらぬ若さと好奇心旺盛なバイタリティーを持つ、その素顔とはーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)
―MEGUMIさんからの御紹介ということで。メッセージがですね、「またあのお寿司屋さんに行こうよ」って。
坂下 あはっ(笑)。こっちのセリフだわ、はい。私もあそこで会いたいです(笑)。
―お互い忙しいし、なかなかタイミングが合わないとのことでしたが…。
坂下 そうですね。仲良いお友達はグループで6人かな。みんなのお誕生日月とかで2ヵ月に1回は必ず会うみたいな感じなんですけど、メグちゃんは舞台もやって、地方公演なんかもあるので。
ここ最近、そのお寿司屋さんに久しぶりに行きましたね。それも秋田から駆けつけてくれて。たぶん、私たちに会うっていうより、そのお寿司屋さん前提で来たと思うんですけど(笑)。でも「よく来たね!」っていうぐらい秋田から最終に乗って来ましたね。
―そういうグループがあるんですね。では結構、つきあいも長くなって?
坂下 もう、長いですねぇ。お互い結婚する前からなので、20年弱ぐらい。だって、メグちゃんがまだがんがんグラビアやってる時ですから。私、よく怒ってたんですよ。なんか、彼女もまだ20代前半で、“神の子”KID(山本徳郁)の試合観に行くのを誘ってもらって。
そしたら待ち合わせで、ものすごい露出してキャミソール1枚みたいな感じで、胸をこんなぶるんぶるんさせて来て(笑)。その時に「ちょっとMEGUMI!」って。人がいないところに行って、「あんたこれ、自分の商売道具なんだから隠しなさい!」って。
―商売道具(笑)。人前で簡単に見せるんじゃないよ、みたいな。
坂下 そう、「簡単に出しちゃダメだよ、普段も大事にしなきゃ!」って、1回怒ったことあったんですけど。「先輩、私、露出狂なんすよ」って言うから、「もう、それじゃしょうがないな」って(笑)。
―あははは。彼女自身、「あの頃は何も考えてなくてイケイケで、結構、図に乗ってましたから」って言ってましたけど。
坂下 でもメグちゃんはいつもね、すごい大人びてて、すごく冷静な…なんだけど、ダイナマイトボディの持ち主でしたから。そうやってね、向こうから走って来て、ぶるんぶるんいってるもんだから、もう危なっかしくて(笑)。「あなたのは宝だから、ちゃんとしまいなさい」ってのを教えましたけど。
―「宝だから」っていいですね(笑)。そこは年上目線として、お姉さんになるわけですね。
坂下 でも普段は同級生ぐらいの気持ちで。最近はその誕生日の会とかで会っても、メグちゃんは20代後半ぐらいから、もうホントに落ち着いちゃってて。ピチピチ感もなく、逆になんでこんなどっしりいつも構えてるの?って、すごい思うんですけど。
―妙に老成したような?(笑)
坂下 そう。老け出してっていうのとも違うんだけど。昔はいつも「あざぁーす」とか「えぃっす、先輩、えぃーす!」みたいな感じの挨拶だし、もう他のコならはっ倒す感じだったけど(笑)。MEGUMIだから許せるみたいなところもすごいあって。
「いまだにTVで滑ったら落ち込むんですよ」
―岡山のヤンキーか!みたいな(笑)。でも、坂下さんは京都出身でタイプも違うところで、自分にないものを持ってるのも惹かれ合ったんですかね?
坂下 あー、そうかな。ああいう女のコが同級生にいたら、すごい気になっちゃうタイプかもしれない。なんか、ほっとけないみたいな感じで。私、先輩後輩でもご飯行くとか、そんなあんまりなくて。意外と女性タレントって、そんな芸人さんみたいな関係はないんですよ。
メグちゃんはなんだろうな…若い時から、なんか一緒につるんでましたね。うーん、こうやって冷静になって考えると、何があるのかわかんない(笑)。
―彼女自身、年上とつきあうほうがラクだって。バラエティでもおっさんキャラとか言われてましたが、オヤジ相手だと自分を出せるって話で。おっさん要素、あるんですか?
坂下 私ですか? 全くないですよ! どこにあるっていうんですか!?
―あははは、いや失礼しました。
坂下 MEGUMIはね、あのコ自身がおっさんですけど、でも美意識高いし。なんか、すごい刺激になるんですよね。大変な思いして仕事して「あっ、でもメグちゃんはあの時にあの舞台でこんなことやったんだな」とか思うと、自分も頑張れる材料になるというか。すごい頑張り屋なんですよ、もうホントに。
―プロ根性というか、意識高いですよね。自分のやりたいことを書き出して、常に周りに「こういうことやりたいから」とか「今年の目標は」って伝えて。「事業計画」って言ってましたけど。
坂下 あっ、それも全部言ってました? ホントにそういうコなんですよ。仕事に対しての意識もすごい高いし、そういう刺激を後輩からもらって「私も今年やるわ!」みたいな感じで奮い立たせてもらうんですね。
一緒に舞台とか観に行って、「うわ、すごいめっちゃよかった、この舞台」とかって何気ない会話しても、「先輩、私、悔しいっすわ」って。感想が全然違うんです。私は“THEバラエティ”って感じのお仕事してて、メグちゃんはやっぱ女優目線で「この役をこの女優さんがやってて悔しい。私もこういうふうにやりたい」とか。
だから、そういうのが結構忘れられなくて。ちょっとずつ仕事の流れをそっちにシフトしていきたいっていうのも聞いてたけど、若い頃からバラエティを一緒にやってて、「あっ、そっちいくのかぁ」って、やっぱ寂しいですよ。でも、その道のほうが合ってると思うし。応援してますけどね。
―出産前後にそういう意識に変わったと仰ってましたが。そういうのも目の当たりにして彼女の歴史を見てきているわけですね。
坂下 見てますね。子供産んだ後にも、やっぱ旦那さんもすごい有名な方だからバラエティもしんどいし、引き出しをどんどん開けていかなきゃいけないって。「先輩はどうしてるんすか?」とか聞かれて、私は別にみんなが興味持つ旦那でもないからって(笑)。
―いやいや(笑)。
坂下 でも、メグちゃんね、お芝居上手いんですよ。1回共演したことがあるんですけど、感性がホント…舞台とかも段階を経て観てますけど、最近のでも楽屋に挨拶に行って、女優の風格出てるし。「メグ、すごくなってんな」っていうのはすごい肌で感じちゃいましたね。
もうなんか、「置いてかれてるわ」ってすごい思いますけど、私は基本的にバラエティとかTVが大好きだから。でもゆくゆくは絶対、舞台のほうが強いと思うんですけどね(笑)。この歳になって、「私は今40で気づいたけど、MEGUMIは30で気づいたんだ、賢いなぁ」って悔しさはあります。
で、「悔しい」とか言いたいけど、私もいまだにTVで滑ったら落ち込むんですよ(笑)。意外と3日間ぐらいは引きずって。ただ3日経つと、不思議なことにふわーっと忘れちゃうの…。あれ、なんでかわかんない。でも、3日間はみんなが思ってる以上に落ち込んでるんです。
「ホントに流れ流れてって感じですね」
―(笑)。とはいえ、次から次へと仕事をこなして、ひとつのことを引きずっていられないのでは?
坂下 そう、だから次の仕事でまぁまぁ上手く行った時にカバーできて忘れられてるのか。3日経つと、「なんであんなことで悩んでたんだろう」「なんであそこで?」とかすごいあります。
―僕も酔っぱらいの失敗はそれぐらいな感じです(苦笑)。
坂下 3日間ですか? 一緒ですね(笑)。
―でも、そんな失敗をするのも自分のキャラだし、みたいに受け入れられてるのかなと。デビュー当初は素の天然で気づかないことがたくさんあったでしょうけど、続けてるうちに「何をしても私だから」と…。
坂下 いや、全然! そりゃ、滑ったら「あー…」って引きずりますよ~。…でも年を重ねるにつれて、仕事内容も徐々に変化するじゃないですか? やっぱり結婚して出産したら、朝の番組の仕事が多くなったりとか。あと、子供を産んだことがきっかけで、なんか自分も世の中についてすごく知りたくなったりとかして。
「経済ってどうやって動いてるんだろう」とか「池上(彰)さんって、なんでこんなに全部知ってんの?」とか、知らなかったことに対して、すごい興味が出てきて。自分が出てなくても見るようになると、自然とその番組からお声かけてもらったりとかで、今までこの芸能界を渡ってきたような気がするんですけど。だから私、ホントに流れ流れてって感じですね。
―そういうスパイラルというか巡り合わせがね。NHKの『これでわかった!世界のいま』なんか、まさに国際報道を扱う情報バラエティに起用されて。「えっ、こんなのもやるの?」っていう。
坂下 そうそう。だから、あれも最初はEテレの英語番組(『おとなの基礎英語』)がまずきっかけだと思うんですけど。普通はみんな1年間学んで英語理解しました、卒業っていうふうに旅立っていくんだけど、Eテレ始まって以来の留年っていう。「いい意味で留年だよ」って言われたんですけど(笑)、1年でみんなマスターできてたのができなくて、2年目があったんですね。
で、めでたく留年させてもらって、それきっかけかな。私もいろんなことに興味が湧いてきたっていうのはすごいありますね。結局、3年やらせてもらって、3年目が始まる頭に「今年で卒業してください」ってプロデューサーに言われたんですけど(笑)。
―まぁ、中学でも高校でも3年がひと区切りですから(笑)。
坂下 そうなんです! 全く同じことを「ちりちゃん、中学でも高校でも3年でみんな卒業するんで」って、始まる前に言われて。ちょっと傷つきましたけど(笑)。「はい、もうわかりました」って。
―あははは。でも、もちろんそれは好評だから留年させてもらえたわけですから。
坂下 なんか、表彰してもらったりはしましたね。Eテレの割に数字がよかったみたいで。そうそう、テキストも本がめっちゃ売れたんです! 私、なんにも関わってないんですけど(笑)。関わってないからこそ売れたのかも?
「選挙特番に呼ばれた時が一番ビビりました」
―(笑)。それが国際情勢番組に繋がってね。キャスター挑戦に当初はネガティブな反響もあったかもしれないけど…。
坂下 うん、たぶんそうですね。ただのバラエティタレントがわかんのかよ?みたいな。
―だけど、いつの間にか受け入れさせるタイプですよね。
坂下 受け入れてもらってますかね? でも今、3年目入ったんで、自分の中では1年間、生放送で週1回できたらOKと思ってたんですけど、それだけやらせてもらうことになって。なんでですかね? 自分ではわかんない(笑)。
―このトークは毎回、テーマもなく、ホントに雑談というか茶飲み話の体でやらせていただいてますが。ある意味、今日のポイントはそこですかね…。
坂下 ここ?
―なぜ坂下千里子はこうやってウケてきたのかという(笑)。自己分析は?
坂下 いや…時代に乗ってるとも思わないし…なんかでも、「うわ、なんでこんな面白いこと興味なかったんだろう」って、すごいニュースとか興味あるんですよ。20代30代では、まずなかったなと思って。30代の後半からなんですけど。
で、元々、基本的に政治は好きなんですね、変な話。…あっ、立候補するとかそういうのは全然ないですよ! たぶん、誰も期待してないって、もちろんわかりますけど。
―あははは。正直、全くイメージにはなかったです(笑)。
坂下 ごめんなさい! 先走っちゃった…。イメージないですよね、政治好きって言っても…。
―逆に、言ったことによって意欲あるんじゃ?みたいに取られるかも(笑)。
坂下 もう、絶対ない。それは絶対ダメ! なんですけど、小ちゃい時から、選挙の日って家族みんなで行って、そのまま流れで夜ご飯食べにいくっていう“選挙の日あるある”が、うちもそうだったんで。なんか、好きだったんですよね。で、両親が「誰投票した?」とか言い合わない、あの変な緊張感みたいなのも好きで。それを今、私も自分の家族で子供達も投票所に連れてってやるんですよ。
そういうきっかけもあって、すごい好きなんですけど。私、一番びっくりしたのは選挙特番? あれに呼ばれた時が一番ビビりました。私が選挙放送に出ていいんだ!?みたいな。隣に峰竜太さんがいて、宮崎美子さんがいて、私が座ってて…その横に池上(彰)さん、途中でその横に安倍総理とか。だから、「すごい…5番目に安倍総理の近くにいる!」って。
―テレ東の選挙特番ですかね。あれはバラエティ要素も入って話題になりましたよね。坂下さんの抜擢もありな感じで(笑)。
坂下 そう(笑)。ちょっとショーみたいな感じ。で、池上さんが政治家の方に「そこまで聞いていいんですか?」ってくらい、いろんなことを結構踏み込んだりとかする時にワクワクしちゃって。
―そのワクワクしてる様子が目に浮かびます(笑)。ワイドショーなんかにコメンテーターで出ても、興味ある表情や好奇心がわかりやすいですよね。人の話をすごい聞いてるというか。
坂下 顔に出ちゃう(笑)。だからそれが抑えきれないんです。たぶん、そういうワクワクが好きなんですね。ハラハラしたいんですよ、TVで。
●語っていいとも! 第41回ゲスト・坂下千里子「芸能界入りの動機は…フラれた人を見返そうと思って(笑)」
●坂下千里子 1976年4月19日生まれ、京都府県出身。1994年、『第2回 アルペンTVCMイメージガール・オーディション』でグランプリとなり芸能界デビュー。その後、『王様のブランチ』にブランチリポーター(ブラン娘)として出演。以後、バラエティ番組に多数出演し活躍の場を広げている。2015年4月からは『これでわかった!世界のいま』にキャスターとしてレギュラー出演中。私生活では2008年に結婚、現在は二児の母としての顔も持つ。
(撮影/塔下智士)