『週刊少年ジャンプ』50周年、そしてテレビ東京『ドラマ24』の第50弾特別企画として放送されるドラマ『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』が1月12日(金、深夜0時12分~)スタート。
このドラマで主演を務めるのが、自身も少年ジャンプの大ファンだという俳優の伊藤淳史さん。そんな伊藤さんと『キン肉マン』の原作者である、ゆでたまご・嶋田隆司先生との対談が実現!
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―劇中には週プレNEWSで連載中の『キン肉マン』のネタも登場するそうですけど…?
伊藤 はい。嶋田先生、申し訳ありませんでしたっ!
嶋田 エ―――!? 何を謝ってるんですか(笑)。
伊藤 実は、劇中で嶋田先生を演じさせてもらいまして、ひょっとしたら失礼だったのではないかと。
嶋田 有名な俳優さんに自分を演じてもらえるなんて、むしろ光栄ですよ!
伊藤 実は嶋田先生だけでなく、中井(義則)先生(作画担当)役も演じています。
嶋田 相棒もですか! 僕と相棒だとどちらが演じやすかったですか?
伊藤 中井先生は落ち着いてるイメージです。一方、嶋田先生は明るい、テンション高め。台本にも嶋田先生の台詞には語尾に“!”が多めでした(笑)。
嶋田 それ、正解です! 僕らを演じるって、一体どんな役作りをしたんですか?
伊藤 事前に映像や写真を拝見させていただきまして、それを参考にしつつ役作りをしました。
嶋田 僕の映像なんかあったかなぁ~。
伊藤 TVに出演された時のものがありました。その雰囲気を参考にしつつ、昔の少年ジャンプやコミックスに掲載された写真から衣装を選んでもらいました。
嶋田 最近の漫画家は素顔をメディアに出さないけど、僕らの時代は「漫画家も顔を売らなきゃダメ!」というのがあって、結構、露出してましたね。
超人募集ハガキで床が抜けかけた!?
伊藤 どのような感じで誌面に登場するんですか?
嶋田 例えば、動物園に行ってライオンの前で変顔するとかですよ。
伊藤 えええ(笑)!
嶋田 芸人さんでもやりませんよ。でも、先輩の車田正美先生も月島へ行って、もんじゃ焼きを変顔でドカ食いしてるんです。先輩もやっているのに、僕らが「できません!」は通用しませんからね。
伊藤 では、露出するのは苦手だったんですね?
嶋田 僕なんかは元々、出るのが好きだったんですけどね(笑)。電車で移動してる時とか、いまだに声をかけられると嬉しいですよ。こうしてファンとのつながりができて、『キン肉マン』の「キャラクター超人募集」も盛り上がったのもあると思いますね。
伊藤 今回のドラマではキン肉マンの「超人募集」が誕生したエピソードを入れさせてもらってます。ファンからするとの自分の超人が作品へ登場して、先生からメッセージももらえる。これは本当に画期的だと思いました。
嶋田 超人を募集することよりも、とにかくファンとの交流がほしかったんですよ。昔は、今みたいにSNSなんてありませんでしたから、編集部にファンレターがいっぱい届いて、それに対して全部返事を書いていたんですね。それを見た初代担当編集の中野(和雄)さんが「それじゃ、マンガ描く時間ないだろ」といって始めたのが「超人募集」だったんです。
伊藤 新しい超人を考案するのが大変だったからではないんですね(笑)。
嶋田 そのつもりでもあったんですが、「超人募集」を始めてから、さらに忙しくなりました。週5日、マンガの仕事をやって残りは「超人募集」のセレクトをしてましたからね。
伊藤 超人をセレクトするだけでも大変ですよね?
嶋田 毎週、何万通と届いてましたからね。ものすごい時間がかかります。指の脂がハガキに吸い取られて、ひどいヒビ割れになるほどですよ! しかも、ハガキがダンボール何箱にもなって、床が抜けかけましたから(笑)。
伊藤 マンガみたいですね! 現在でも「超人募集」は続けられているのですか?
嶋田 やってます。30、40代のファンが多いですね。「なんか子どもが描いた超人みたいやなぁ~」と思ったら、【43歳、会社員】とかね(笑)。
ファンとの繋がりで育てられる!
伊藤 ファンは良い意味で、いつまでも子どもの感覚を持っているんですね。
嶋田 【仕事でストレスあっても、超人を考えてると忘れられます】という意見が多いですね。そう感じて、ファンが楽しんでくれているのは本当に嬉しいですよ。
―俳優さんって、ファンとのつながりはあるのですか?
伊藤 俳優の場合は、舞台やイベントをやらないとほとんどないと思います。ただ、自分が視聴者からどのように評価されているのか?…それがすごい気になってた時期はありましたね。
嶋田 ネットで評価をチェックしたり?
伊藤 ありましたね(笑)。でも、今は「面白いものを作る」ということに集中して仕事をするようにしています。
嶋田 そのほうが楽しいですよ。とはいえ、僕なんか「ゆで、最近つまんねーぞ!」と子どもにどつかれたことありましたよ(笑)。
伊藤 え!?
嶋田 スランプだった時期に通りすがりの子どもからね。
伊藤 周りの評価という意味では、僕の場合、学生時代の友人ですね。「おまえの新作、1話で見るの止めたわ!」って正直に言ってくれます(笑)。
嶋田 そのコメントになんて返すんですか?
伊藤 「ま、見る見ないは個人の自由だからな」と強気に返しますけど、内心すっごい凹(へこ)んでますね(笑)。
嶋田 僕らなんか、ファンから『ゆで、整合性ゼロ』って言われますからね(笑)。でも、そういう厳しい意見こそ貴重だし、僕らは良いファンに恵まれてるなと思いますよ。「超人募集」の本来の目的であった、ファンとのつながりができているわけですから。
●後編⇒話題のドラマ『オー・マイ・ジャンプ!』には出てこない? 主演・伊藤淳史がゆでたまごに聞く「少年ジャンプと創作の裏話」
(取材・文/直井裕太 撮影/榊智朗)
★伊藤淳史(いとう・あつし) 1983年生まれ、千葉県出身。1986年に子役として俳優デビュー。『とんねるずのみなさんのおかげです』の「仮面ノリダー」ではチビノリダーとして、お茶の間の人気者に。その後、主人公を演じたドラマ『電車男』は空前のブームを起こした。『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』では主役の月山浩史役を務める
●テレビ東京系 ドラマ24 第50弾特別企画『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』(1月12日より毎週金曜深夜0時12分放映) 創刊50周年を迎える『週刊少年ジャンプ』。数々の名作漫画を輩出してきたその裏には、漫画家・編集者が心血を注いだ壮絶なドラマがあった。『週刊少年ジャンプ』を愛する人間が集まる秘密クラブに迷い込んだ主人公・月山浩史(伊藤淳史)。ジャンプ作品の誕生秘話に触れていく中、現代社会に生きる人々すべてに通じる苦悩を乗り越えていくーー。公式サイト 公式Twitter(@oh_my_jump)もチェック!
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