藤井聡太六段の活躍でにわかに沸く将棋界を筆頭にここ数年、「おじさんたちの趣味」だと思われがちだった将棋・囲碁・麻雀の分野に美人棋士が続々登場。
前回配信した女流棋士・竹俣 紅(たけまた・べに)に続き、今回、紹介するのは囲碁界から期待の新人、木本有香(23)。爽やかな笑顔が魅力の癒し系プロ棋士だ。
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―最初に囲碁に興味を持ったのは、何がきっかけだったんですか?
木本 小学2年生の時、TVでアニメ『ヒカルの碁』を見たのがきっかけです。母が少しできたのでルールを教えてもらって、自分でもやるようになりました。学校には打つ人がいなかったんですけど、囲碁教室に行ったら、同じような小学生が大勢いて。自分もその熱に巻き込まれて夢中になっていきましたね。
―プロになろうと思ったのは?
木本 囲碁教室にいる人たちを相手に勝つ機会が増えて。次第に目指すようになりました。小学6年の時、日本棋院の院生(プロ棋士の養成機関)に入ったんですけど、年齢制限である17歳までになれなくて。心が折れかかったりもしたんですけど、その後、年齢制限が26歳までの関西棋院の院生に入って、昨年ようやく初段に昇段してプロになれました。
―プロを目指す上で励みになったのは?
木本 大学1年の時、学生囲碁の女子学生日本一を決める大会で優勝できたことです。もっと自分は力が出せるはずだって思ったし、あと周囲の期待を強く感じて。もうこれは絶対にプロにならなきゃって。
―この1年間でもっとも印象に残っている対局は?
木本 最初に勝った時ですね。プロ入り後、3連敗して自信を失いかけていたんです。やはり自分には無理だったんじゃないか、もう勝てないんじゃないかって。そんな中での勝ちで、しかも相手は山崎吉廣先生という九段の方で、ものすごく嬉しかったです。これからもっと勝っていくぞって前向きな気持ちになりました。
―木本さんの棋風は?
木本 こちらから積極的には攻めず、根気強く相手のミスを誘うスタイルです。囲碁はミスしたほうが負けのゲーム。心を乱すことなく、自分のペースで打ち続けることを第一にしています。周りからは「ぬるい」「もっと攻めろ」なんて言われることもありますけどね(笑)。
―囲碁の楽しさはどこにあると思います?
木本 白と黒の碁石を好きな場所に置くだけのシンプルなゲームなのに奥深いドラマがあることです。マス目も広く、のびのびやれるのも楽しいですね。
周りからは「ぬるい」「もっと攻めろ」なんて…
―プライベートも少しお聞きできればと。普段の趣味は?
木本 ピアノです。小さい頃から大学1年までやってたんですけど、最近はまたやっています。
―好きな男性のタイプは?
木本 え? いやー難しいですね。引っ張ってくれる人がいいですね。自分は優柔不断で、決めるのが苦手なんです。えーと、これくらいでいいですか(笑)。
―では最後に、今後の目標をお願いします。
木本 プロ棋士としては、タイトル戦(棋聖・名人・本因坊・王座・天元・碁聖・十段)で女流として本戦入りすること。あと普段は碁会所で働いてるんですけど、子供向けの囲碁教室を満員にしたいです。
囲碁って難しいと思う子供や親御さんもいるけど、知れば知るほど夢中になるはず。『ヒカルの碁』をやっていた時のように子供達で賑わったら最高ですよね。
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(取材・文/大野智己 撮影/荻原大志)
●木本有香(きもと・ゆか) 愛知県出身 関西棋院所属のプロ棋士 ○2017年プロデビュー。2013年「第49回全日本女子学生 本因坊決定戦」で優勝。現在、名古屋の囲碁教室、碁会所の「中村本因坊」に勤める。