毎年、彗星(すいせい)のごとく現れる一発屋芸人。流行語大賞にノミネートされたりコスプレ衣装が爆売れしたり、一世風靡(ふうび)したかと思えば、これまた彗星のごとく消えていくべき存在なのか......?
否! 今、世間から「一発屋」の箱に入れられた男たちが、ブレイク当時とはまた違うベクトルで光明を見いだし、平成の次の時代での再ブレイクを虎視眈々(こしたんたん)と狙っているのだ! 新時代を迎える2019年に再ブレイクの兆しがビンビンする男たちに迫った!
■「芸人なのに」なんて言ってる場合やない
第1回目の山田ルイ53世(髭男爵)さんに続き、今回は2005年にハードゲイキャラでブレイクしたレイザーラモンHGさん。
HG 映画と同じで、1作目を超えるのは難しい。二発目を当てようとして悩んで、和風男性愛好家キャラとかハードレズビアンキャラとか、いろいろ試してみましたけど......。そんなキャラで二発目当たるわけないやろって、今は冷静に思いますけどね。
──お笑いの道で二発目を狙っていたものの、2013年、代官山のセレクトショップで個展を開き、独学ながら画力の高さを披露しました。
HG 実は、もともと僕が仲良くさせてもらっていたセレクトショップにお願いして、お店の一部のスペースを借りて開催しただけなんです。要するに自分から仕掛けて話題を作るっていう、プロレス的手法だったんですよね。
──それがネットニュースで話題になったこともあり、その後、絵の仕事がいくつも舞い込むように。お笑い以外で話題を作ることに抵抗は?
HG もうその時期には(こだわりは)なくなってました。笑いの才能が突出しているわけではない自分が、もう一度なんとか存在をアピールするためには、持ってるもの全部使っていかないと......って。芸人が何してんねんっていう、そういう自分の小さなプライドにこだわってる場合ではないなと。
──吹っ切れたことで仕事の幅が広がったんですね。
HG 一発屋がプライドを捨てて現実を受け入れるまでの時間を、「一発屋という罪から逃げてる」っていう意味で、僕は「逃亡期間」って呼んでるんです(笑)。僕もムーディ(勝山)もそれが何年かあった。
でも、自首して(自らを一発屋と受け入れ)肩の荷を下ろして、そこからようやく前向きに歩いていけるんです。「逃亡期間」って言葉の響きはネガティブですけど、ワインの熟成期間みたいなものだとも思っていて、その時間があるから芸人として味わいの深みが出るのかなって。
──確かに言葉に深みが! その一方で、同じ2013年には、レイザーラモンRGさんとのコンビで「THE MANZAI」決勝進出という快挙を成し遂げています。ビシッとスーツを着た正統派漫才師スタイルで登場し、視聴者を驚かせました。
HG 漫才をきちんと始めたのは2012年頃から。最初のうちは僕らがスーツで舞台に出ていくだけでザワザワして、漫才の前半はちゃんと聞いてもらえないっていう状態が続いてたんです。
けど、「THE MANZAI」の決勝まで行ったりして認知度も高まっていって、地に足を着けて漫才ができるようになってきた。今は「上方漫才大賞」を本気で狙ってます。
──最後に、一発屋芸人たちをひと言で表現するなら?
HG 「お笑い界のアベンジャーズ」ですね。「一発会」(一発屋芸人たち)はみんな衣装が派手だし、特殊能力もあるし、集まると華があるんで。
──「お笑い界のアベンジャーズ」、映画化してほしい!
★第3回⇒【一発屋芸人"復活メソッド"】ムーディ勝山「『紅白』の大舞台を経験してから数年後、50人キャパの舞台に立つ覚悟ができた」