『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。
今週は「ものまね四天王」のひとりであり、「ルパン三世」の声優としてもおなじみの栗田貫一(くりた・かんいち)さんにお話を伺います!
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──クリカンさんの声だと、『ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト』(2002年)がすっごい好きで。ちょうど僕がTBSのチーフディレクターとして『金スマ』の立ち上げに携わっていた頃の作品なんですけど、そこでご一緒させていただいていた次元大介役の小林清志さんが「今度のやつ見ろよ」と仰っていたんです。
栗田 言ってくださったんですね。
──なんでそんなに言うのかなって思ったら、あのTVスペシャル、次元がすごくかっこいいんですよね。
栗田 ああ、なるほどね(笑)。
──この連載ではいろんな方々に映画体験を振り返っていただいているんですが、栗田さんは子供の頃に見た映画やドラマで、印象に残っているものはありますか?
栗田 『あしたのジョー』(1970年~71年)に『巨人の星』(1968年~71年)、ほかには『柔道一直線』(1969年~71年)とか、『われら青春!』(1974年)とかかな。僕らはそういうのを小学生、中学生の頃に見て、根性とか男の生きざまみたいなものを覚えたんです。
──その頃からモノマネはされていたんですか? 星飛雄馬とか。
栗田 あ、全然ない。中学生の頃は、ただ好きで見ているだけで。変な意味じゃなく、少年院に憧れたりして。
──はい、わかります(笑)。
栗田 「男の戦いの場として、薄暗くてかっこいいなあ」ってね。
──でも、学生時代にモノマネをよくされてたわけじゃなかったとは意外でした。モノマネを始めるきっかけってなんだったんですか?
栗田 20歳を過ぎて、カラオケで『噂の女』(内山田洋とクールファイブ)を歌った時に、「声が郷ひろみさんに似てる」って言われたんですよ。もともと中学生の時、僕が好きだった女の子が郷さんのファンだったんですけど、坊主頭のニキビ面で野球漬けだった当時の僕には響かなくて。
でも、声が似てると言われた頃には、郷さんが「オトナの男の郷ひろみ」になっていく頃だったんです。アメリカ行くようになったりしてね。それでかっこいいなあって思って、そっからですね。だから、デビュー前は郷ひろみさん一本でしたよ。
──クリカンさんと言えば、玉手箱のようにいろんなモノマネが出てくるイメージでした。
栗田 それは後からで、郷さんがやることを常に真似していたような時期もあったね。その後、矢吹丈とか、ルパンとか、鬼太郎のオヤジとか、一反木綿とか、タイムボカンとかを真似るようになりましたね。
──タツノコプロの。
栗田 ボヤッキー役の八奈見乗児(やなみ・じょうじ)さんの「ハァ~イ、全国の女子高校生のみなしゃ~ん」とか、滝口順平さんの「おしおきだべえ~」とか。やっていくうちに「あ、これもこの人なんだ」って気付くようになって。
──『巨人の星』の伴宙太を、『ヤッターマン』のボヤッキーの人が演じているとは思わないですもんね。
栗田 でも、言われてみれば「ほしー投げるかー」っていうあれ、ボヤッキー的にやると「ほっし~」じゃない? それを普通にやると伴宙太なんだなって。
──アハハハ! 洋画で好きなものはあります?
栗田 僕はね、『リオ・ブラボー』(1959年)という映画が好きだったのね。ジョン・ウェインとディーン・マーティンと、保安官事務所のじいさんが好きでね。役者さんの味がとにかく出ているんだ。
──もともと俳優の方に目が行きますか?
栗田 いや、ストーリーも見ますよ。あと好きなのは『インディペンデンス・デイ』(1996年)と、最近はデンゼル・ワシントン主演の『イコライザー』(2014年)にハマってる。あれをね、録画してね、もう20回くらいは見たかな。
テレビでおもしろい番組がない日は『イコライザー』だね。あとは、勝新太郎さんの『座頭市』(1962年)。いじめられた人が最後にべべべってやるというのが好きで。スカッとするじゃない?
──ヒーローが好きなんですね、つまり。今の話って全部、ルパン三世に通ずる部分がありますよね。
栗田 かなあ?
──だって、ルパンってそうじゃないですか。ルパンだけじゃなく、次元や五ェ門もそうですが。
栗田 そういうのが根っこにあるのかもしれないですね。
★後編⇒角田陽一郎×『ルパン三世』声優・栗田貫一「"銭形"のひと言で『ルパン三世』が自分の作品になった」
●栗田貫一(くりた・かんいち)
1958年生まれ、東京都出身。タレント・声優。95年公開の映画『ルパン三世くたばれ!ノストラダムス』よりルパン三世役を引き継ぎ、以後演じ続けている。小池健監督シリーズでは、トーンを抑えたハードボイルドなルパン三世を現出させた
■『LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘』
5月31日(金)より新宿バルト9ほか限定劇場公開
共同配給:ティ・ジョイ、トムス・エンタテインメント
原作:モンキー・パンチ ©TMS