「20代後半は韓国映画をむさぼるように見てました」と語る草彅剛さん
『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。

今週は最新主演映画『台風家族』が全国公開中の草彅 剛(くさなぎ・つよし)さんが幼少期から20代までに見た思い出深い映画について語ります!

■原体験は『龍の子太郎』

──この連載では、人生を変えた映画についてお聞きしているのですが......。草彅さん、どうされました?

草彅 (週プレを手に取りながら)かわいいコばかりですね~。

──あははは! まあ、そういう雑誌ですので(笑)。

草彅 持って帰ります!

──ありがとうございます(笑)。早速伺っていきますが、子供の頃に見て一番覚えている作品はなんでしょう?

草彅 『龍の子太郎』(1979年)ですねー!

──即答!

草彅 お母ちゃんが龍になって最後は死んじゃうって話なんですけど。もしかしたら今までで一番泣いて、人生が変わった映画かもしれない。

──まさにMoving Movieですね!

草彅 幼稚園の頃に父ちゃんと一緒に映画館に見に行ったんですけど、エンドロールで自然と涙が出てきて。「なんなんだろう、この涙」って不思議に思いつつ、なぜか「でも悪くないな」って子供ながらに思ったんですよね。

──ほう。

草彅 もしかしたら、今でもそういう感覚を求めて、お芝居しているのかも。

──ご自身の演技にも影響していると。

草彅 それくらい、『龍の子太郎』の体験は大きかったですね。お芝居のことで迷うと、今でもそのときに感じた気持ちを思い出すんです。

──原体験なんですね。

草彅 だからこそ、僕の作品を見てくださった観客の人にも、そういう感覚を持って帰ってもらいたいなという気持ちがすごく強くて。

──僕、まさに持って帰った側のひとりです。というのも、実は昨年末に主演された舞台『道』を個人的に拝見させていただいたんですが。

草彅 あ、ほんとですか。

──草彅さんのお芝居があまりにもすごくて......。普通の俳優さんだと「本人のまんまだった」とか「役になってた」とか感じると思うんですけど、草彅さんの場合はそういう次元を超越したところで演技をされていますよね。最新作の『台風家族』の演技も神がかっていました。

草彅 うれしいな。もっと、おだててください(笑)。

■20代後半は韓国映画をむさぼるように見てた

──この世界に入ってからハマった映画ってあります?

草彅 韓国映画ですね。最初にハマったのはハン・ソッキュさんが出ていた『接続 ザ・コンタクト』(1997年、日本未公開)。2002年頃にNHKのBSで放送されているのを見て、「韓国語ってカッコいいな!」って思ったんですよ。

それまで韓国語に触れたことはなかったんですけど、日韓共催のサッカーワールドカップがあったこともあって、韓国に注目が集まり始めている頃でした。

でも、ドラマ『冬のソナタ』(2002年)が日本ではやる前だったから、TSUTAYAに行っても韓国映画は全然置いてなくて。それで逆に燃えちゃったんですよね。

──マニアックに探しちゃうというか。

草彅 20代後半はハン・ソッキュさんが出演する映画をむさぼるように見てましたね。『グリーンフィッシュ』とか『ナンバー・スリー No.3』(共に1997年)とか。ヤクザ映画みたいなのが多かったなあ。

──どういうところにハマったんですか?

草彅 韓国の俳優さんたちがカッコよかったんですよね。黙っているだけでも味があったり、たばこを吸っているのがサマになっていたり。そうかと思えば、感情の出し方のボルテージがめちゃめちゃ高かったりね。寡黙でアウトローな人に、男として憧れていたんでしょうね。

──『銭の戦争』(2015年)や『嘘の戦争』(2017年)にも影響を与えていたり?

草彅 そうかもしれませんね。『グエムル──漢江の怪物──』(2006年)とか、パク・チャヌク監督の『復讐者に憐れみを』(2002年)とか、『オールド・ボーイ』(2003年)とかもやっぱり好きで、俳優としての核になっている部分があると思います。

■『台風家族』は冒頭から笑ってほしい

──最新作『台風家族』についても伺いたいです。市井昌秀監督とは現場でどんなお話をされたんですか?

草彅 市井監督はまじめな方で、リハーサルも前日入りでやったりしたんですけど、僕は正直、早く帰りたくて(笑)。 

──なんと(笑)。

草彅 でも、監督と接するうちに「この人はすごいな」ってどんどんリスペクトが大きくなっていって。「映画を作り上げるって、こういう情熱を持ってないといけないよな」って思ったら、監督のことがいとおしくなっちゃったんです。

──草彅さん的にはリハーサルはないほうがやりやすい?

草彅 すぐ本番がいいですね。

──それはライブをずっとやられてきたからでしょうね。

草彅 飽きちゃうんですよね......。そんなこと言っちゃいけないんですけど(笑)。

──(笑)。僕、映画館で邦画を見るときに「笑っていいのかな?」といつも思うんです。映画館って公共の場だから気を使っちゃうじゃないですか。

草彅 そうですね。確かに、日本人の方は劇場で見ると、最初のほうはあんまり声を出して笑わないですよね。

──でも、この映画は頭から笑ったほうがいいですよね?

草彅 ですね。冒頭から笑ってほしい。

──正直な話、僕も最初は笑うのを我慢して見ていたんです。「めっちゃ面白くて笑いたいんだけど、笑っていいのかな?」みたいな。

草彅 主人公の小鉄は単純に「遺産を1円でも多く分捕ってやろう」と思って、兄弟の前でいいカッコしているだけなんですけどね。仕上がったものを見たら、僕も微妙な演技をしてて、「おまえ、芝居へたなんじゃない?」って思っちゃった(笑)。

──そんなことは全然ないですよ(笑)。あと詳しくは言えないですけど、ラストも驚きました!

草彅 たくさん笑った分、最後は泣けると思うし、面白く仕上がっていると思います。

★後編⇒角田陽一郎×俳優・草彅 剛「ダメな役、誇張されている役のほうが自分の気持ちにとっかかりができる」

●草彅 剛(くさなぎ・つよし)
1974年生まれ、埼玉県春日部市出身。俳優、声優、歌手、司会、YouTuberとマルチに活動。「ユーチューバー草彅」のチャンネル登録者数は90万人超。2017年には「新人YouTuberランキングTOP10」において第1位に輝いた。『ブラタモリ』(NHK総合、毎週土曜19:30~20:15)ではナレーションを務める。公式Twitter【@ksngtysofficial】

■『台風家族』全国公開中
(c)2019「台風家族」フィルムパートナーズ

【★『角田陽一郎のMoving Movies』は毎週水曜日配信!★】

kakutasan605_90.jpg