『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』
今週は最新主演映画『最初の晩餐』が公開中の俳優・染谷将太(そめたに・しょうた)さんをお招きします!
* * *
――人生を動かされた映画は?
染谷 ジャッキー・チェンの作品ですね。初めて見たのは『ラッシュアワー』(1998年)で、衝撃を受けました。映画好きの父親から『酔拳 DRUNKEN MASTER』(78年)や『プロジェクトA』(84年)を教えてもらって、そこから映画そのものが好きになりました。
――子供の頃に映画に衝撃を受けた場合、「作りたい」か「出たい」かに分かれると思うんですが、染谷さんはどちらでした?
染谷 当時は「作る」と「出る」の境目がよくわかんなかったと思います。あんまりにも幼すぎて、役者という言葉もよく知らなかったですし。ただ、当時からメイキング映像を見るのは好きで、特にジャッキー作品のNG集は大好物でしたね。
――あれ本当に面白いですよね!
染谷 あと、『マトリックス』(99年)も印象に残っています。DVDでメイキングも見たんですが、「映画ってこうやって作ってるんだ」と引きつけられました。「映画を作る人になりたい」と思うようになったのもその頃ですね。
――『マトリックス』の話が出ましたけど、そちらもカンフーですね。
染谷 ああ、そうですね。僕、本当にアクション映画が大好きで、ジャッキーの後はジェームズ・ボンドにハマりました。
――いいですね~。『007』シリーズだと何が好きですか?
染谷 やっぱりショーン・コネリーが好きですね。『ダイヤモンドは永遠に』(71年)が特に好きで。世代的にはピアース・ブロスナンで、『ゴールデンアイ』(95年)とかももちろん見てますけど。
――大人になるにつれてアクション以外も見るように?
染谷 そうですね。自分は子役からやっているんですけど、役者を始めると、自分が普段見ないようなジャンルの映画に出ることも多いので。
――学者のフィールドワークみたいですね。役者として活動し始めてから好きになった作品はあります?
染谷 中学から高校にかけて、ジム・ジャームッシュとかアキ・カウリスマキが好きになって。それまではアクション映画のように「動」が強めな映画をずっと見てきたので、淡々と進む彼らの「静」の作品を見たときに「なんだ、これは!?」「これはこれですごく面白いぞ」って。
――そういう作品を見ることになった出演作があるということ?
染谷 はい。中学校2年生のときに出演させてもらった『14歳』(2006年)という映画です。「ぴあフィルムフェスティバル」のスカラシップ作品で、あそこまで静かな作品に出るのは初めてでした。
でも、単純に静かなだけじゃなくて、急にカッターで切りつけられるとか、自転車で走ってるシーンを映していると思ったら急にバットで殴られるみたいなシーンもあって、すごくヒリヒリする作品なんですよね。
撮影が進むうちに、「ある意味、これも相当なアクション映画なんじゃないか?」って思い始めたんです。ささいなしぐさや目線の動きで表現していたのに、急にショッキングなことが起こるので。それってある意味、究極のアクション映画なのかなって。
★後編⇒角田陽一郎×俳優・染谷将太「最新作は『邪魔をしない』演技に注目してほしい」
●染谷将太(そめたに・しょうた)
1992年生まれ、東京都出身。9歳で映画デビューを果たし、日本アカデミー賞新人俳優賞、エランドール賞新人賞など受賞歴多数
■『最初の晩餐』新宿ピカデリーほか全国で公開中