『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies~その映画が人生を動かす~』。
今回はNetflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』に主演する俳優・荒川良々(あらかわ・よしよし)さんが登場!
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――最初に見た映画はなんですか?
荒川 『龍の子太郎』(1979年)です。生まれ育った佐賀県には映画館があまりなかったんですけど、母親とこの作品を一緒に見に行ったのをなんとなく覚えてます。
――草彅剛さんも一番影響を受けた作品に挙げられていました。
荒川 そうなんですね。......ちょっとどう受け止めていいかわからないです(笑)。あと、作中におっぱいが出てくるんですけど、いまだに覚えてますね。
――おっぱいが原体験だったんですね(笑)。では映画を本格的に見るようになったのはいつ頃から?
荒川 上京してひとり暮らしを始めてからです。地元ではレンタルビデオ店も限られていて、自分の部屋にテレビもなかったですしね。
――大人計画に入った経緯は?
荒川 バイト先に、小劇場のお手伝いをしているサブカル好きの女のコがいて、彼女に誘われて見に行ったのが最初です。もともと『ダ・ヴィンチ』とか雑誌が好きで立ち読みしていて、そこで松尾スズキさんや別役実さん、宮沢章夫さんのことを知ったというのもあるんですけど。
――ドラマみたいですね。
荒川 だから、「役者でひと旗揚げよう」的な気持ちで上京したわけでは全然なかったです。むしろ、それまでの自分は演劇に対して、「頭でっかちな人がやっているもの」というイメージを持っていました。
でも、大人計画の『愛の罰』(1997年)を見に行ったら、主宰の松尾さんが九州出身ということもあって、北九州の言葉が使われていたんです。それを見て衝撃を受けましたね。
――ちなみに僕が最初に荒川さんの演技を見たのは『ピンポン』(2002年)でした。「なんだ、この面白い人は!」って。
荒川 当時はなんにも考えてなかったですね。20代半ばくらいで怖いものもなかったですし、あの映画は宮藤(官九郎)さんのホンだというのもあって......今思うとなめきってましたよね。「いやだったらやめりゃいいよ」くらいの気持ちで。
――荒川さんはひょうひょうとされている印象がありますもんね。
荒川 流れに身を任せるじゃないですけど、なるようにしかならないというのはずっと思ってます。だからこそ、逆に今はどんどん怖くなっていますけど。あの頃は若くて芝居の経験もなくて、同世代の人も多かったのでそんな感じでしたけど、今はそうはいきません。
――そんななかで今回、Netflixの『呪怨:呪いの家』に主演されます。めちゃくちゃ怖かったです。
荒川 コメディ要素がみじんもないので、お話をいただいたときに「僕でいいのかな?」と思いました。今までちゃんとしたホラー作品に出たこともなかったですし、しかも自分の名前が頭に来るんですから。
――どんなふうに見てほしいですか?
荒川 ホラーなので、どうしても苦手な人が多いかと思います。でも、監督が三宅唱(しょう)さんなんです。
――邦画界期待の若手監督ですね。
荒川 映画ファン的にはそれだけで見る価値がありますし、少なくともいつものホラーとは違うと思います。
★後編⇒角田陽一郎×荒川良々(俳優)「『何が起きてるかわからないから怖い』。そんなホラーが好き」
●荒川良々(あらかわ・よしよし)
1974年生まれ、佐賀県出身。1998年から松尾スズキが主宰する劇団「大人計画」に所属し、多数の舞台作品に出演。映画、ドラマ、CMと幅広く活躍する
■Netflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』
Netflixにて全世界独占配信中