錦鯉の(左から)長谷川雅紀(49歳)、渡辺隆(42歳)

今ノリにノッている「おじさん芸人」のインタビュー3連弾! おいでやすこがに続く第2弾は、昨年のM-1で決勝に進出し、お茶の間に衝撃を与えた錦鯉(にしきごい)の渡辺隆長谷川雅紀。歯が8本ない長谷川さんの壮絶すぎる貧乏エピソードをどうぞ!

■M-1の階段には手すりが必要

――『M-1グランプリ』以降、何がいちばん変わりましたか?

長谷川 僕らは今までバイト中心の生活だったんですよ。今回のM-1ファイナリストの中でまだバイトしてたのは僕らだけだったと思うんです。そこから芸人のお仕事が増えて、12月の頭に2日だけ入って以降はバイトに出れてないです。

渡辺 僕もM-1の決勝が決まってからはバイトに入れない状態ですね。でも、まだ何があるかわからないので籍は置いてます。

――おじさんになって、体の衰えは感じますか?

渡辺 「階段の手すりは絶対に必要だね」ってよくふたりで話してますね。

――おふたりともまだ40代だから、ちょっと早くないですか?

渡辺 いえいえ、僕は痛風もあるんで。駅の階段とか手すりが欲しいです。

長谷川 僕も手すりのありがたみは感じてます。

渡辺 M-1って階段から下りて登場するじゃないですか。あれ、僕らはちょっと怖かったんで、リハーサルで2回ぐらい下りる練習しましたから。

――じゃあ、来年のM1は階段に手すりをつけてもらわないといけないですね(笑)。

渡辺 ほんとにそうなんですよ(笑)。

■コンビで歯が10本ない

――長谷川さんが番組で食レポしていたのを見たんですが、「バーニャカウダを知らない」と言ってたのは驚きました。

渡辺 まさのりさんはほんとにものを知らないんですよ。

長谷川 バーニャカウダは知らないですよ。

渡辺 バーニャカウダという言葉も聞いたことがなかった?

長谷川 聞いたことなかったよ。あと小籠包(ショーロンポー)を食べたことがなかったのもびっくりされましたね。

――小籠包を?

長谷川 小籠包って液体が入ってるやつですよね?

渡辺 液体って言うなよ。スープだよ(笑)。

――長谷川さんの好きな食べ物はなんですか?

長谷川 僕は歯が8本ないんで、のみ込みやすいものが好きです。

――基準がおかしいでしょ(笑)。確かに番組で馬刺しを食べたときに「のみ込みやすくておいしい」って言ってましたもんね(笑)。

長谷川 ツルッといけましたね。

――いや、うどんみたいに言わないでくださいよ(笑)。馬刺しで喉ごしを楽しんでますやん。

渡辺 まさのりさんは噛(か)まないから、弁当を食べるのもめちゃくちゃ早いんですよ。

――弁当はいろんなおかずがあるから、ものによっては大変では?

長谷川 ギョーザはダメですね。皮が喉にくっつくから、引っかかって「オェ!」ってなります。

――危ないですね。おじさん通り越して、おじいちゃんじゃないですか(笑)。

長谷川 ほんと命がけです。大きい唐揚げはのみ込みやすいように指でちぎって潰します。だから僕は指が奥歯の代わりなんですよ。

――めちゃくちゃ面白いですね(笑)。

渡辺 実は僕もまさのりさんの歯を「8本ねぇな」っていじってたら(自分も)1本抜けちゃって。歯医者に行ったら、もう1本抜かれて......。コンビで歯が10本ないんです(笑)。

■電気を止められ、信号の明かりでひげそり

――長年の貧乏生活はつらかったですか?

長谷川 僕はお金がなかったので電気を止められたりしてました。夜10時から牛丼屋のバイトに行くために、真っ暗闇のなかで顔を洗ったり、手探りで歯ブラシを探して歯を磨いたりしてたんですよ。

――真っ暗闇でよく歯ブラシを探せましたね。

長谷川 かすかな月の光でなんとか。

――月の光で? 大正時代の話ですか?

長谷川 平成の話ですよ(笑)。歯ブラシはなんとかなったんですけど、ひげをそるのはT字カミソリだったので鏡を見ないといけないし、明かりがないと危なくて。

――それはさすがに月明かりでは厳しいですね。

長谷川 「どうしよう」と思ったんですけど、アパートの部屋が2階の角部屋で窓の近くに信号機があったんですよ。それで「これだ!」と思って窓の近くに行って、信号機の明かりでそれました。

――今度は信号機の明かり(笑)。

長谷川 信号機の明かりでひげをそったことがある人はわかると思うんですけど。

――いや、ほかにそんな人いないですよ(笑)。

長谷川 なんか光の加減が赤信号だと見づらくて、青信号だと見やすいんですよ。だから赤のときに手を止めて、青のときにひげをそって。僕は家の中でも信号を守ったんです。

渡辺 なんの自慢だよ(笑)。

■後輩芸人がポストに300円をチャリン

――長谷川さんは後輩芸人からもお金を借りてるそうですね。

長谷川 はい。金欠になって、同じアパートに住んでる後輩のジャック豆山にLINEで「1000円借りれない?」と送ったら、「300円なら貸せます」と返事が来たんです。ジャック豆山からしたら、それで僕が諦めると思ったらしいんですよ。

――ジャック豆山さんもお金がないことがそれで伝わりますもんね。

長谷川 でも僕はそのときに90円しか持ってなかったので、「300円でいいから貸してくんない?」って送ったんです。それで貸してくれることになったんですが、「コロナ禍で会わないほうがいい」ってことで、豆山が僕のポストに300円をチャリンチャリンチャリンって入れて。

――ポストに300円振り込まれたんですね(笑)。

長谷川 貯金箱みたいな感覚で(笑)。そのときはおなかがすいて死にそうだったんで、すぐにカップ焼きそばの大盛りとメロン水っていう味がついてる飲み物を買ってきて。

――味がついてる飲み物?

長谷川 水道水は味がないから、とにかく味がついてる飲み物が欲しかったんですよね。

――それ、刑務所帰りの人が言うことですよ(笑)。壮絶ですね。

長谷川 貧乏芸人ナンバーワンを決める番組のオーディションがあったんですけど、そのときも僕は金欠で電車代がなくて、会場に行けなかったです。当然、番組にも出れなかったんですが、会場に行けない僕が真の貧乏芸人ナンバーワンだなと思いましたけどね。

――確かに(笑)。そんな経験を踏まえて、おふたりが今後やってみたいことは?

長谷川 役者とかもやってみたいです。

――鉄砲玉でいちばん最初に死ぬ役とかありそうですね。

長谷川 「(ビート)たけしさんの映画ですぐ死ぬ人」というのは言われたことがあります。

渡辺 僕はAVが好きなんです。

――週プレにAVの紹介コーナーがありますよ。

渡辺 それやってみたいです。よろしくお願いします(笑)。

★明日(21日)は、野田ちゃんのインタビューを掲載します

●渡辺隆(わたなべ・たかし)
1978年4月15日生まれ、東京都出身

●長谷川雅紀(はせがわ・まさのり)
1971年7月30日生まれ、北海道出身