片桐仁さん清野とおるさんに続き、パンサー・菅良太郎さんが選ぶ、今年絶対に読みたい漫画5選!

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■『図書館の大魔術師』泉 光(講談社)

5巻までしか出ていないけど、めちゃくちゃ読み応えがあるのでオススメの作品です。その昔、書物は金と同様の価値を持っていたという設定で始まる物語。貧しい暮らしをしていたシオは本の都"アフツァック"に憧れを抱いていましたが、ある日、偶然出会った一人の司書の、「物語の主人公はいつだって他の人とは違う」のひとことで運命が大きく動き出します。

ファンタジーものだけどその世界観は圧倒的で、僕はこういう作品が大好き。書き込みもものすごく細かく繊細で、思わず読む手が止まってしまうほど。凝った演出も鳥肌もので、気がついたらどっぷりハマっていることでしょう。

■『岳』石塚真一(小学館)

『ブルージャイアント』でお馴染み、石塚真一先生の山マンガでございます。フリーの山岳救助隊?的ポジションにある主人公の周りで起きる様々なエピソードが描かれます。

遭難者救助や隊員たちの人間模様も見所ですが、最大の注目は主人公・三歩のキャラクター。とにかくめちゃくちゃいい人で、見ているだけで心が洗われます。いい人すぎてたまに心配になりますが、元気がない時に読みたくなります。山の恐ろしさと素晴らしさを教えてくれる漫画ですが、僕はインドア派なのでこれを読んで登山した気持ちになっています。

■『スキエンティア』戸田誠二(小学館)

個性的な作品で知られる戸田誠二先生の短編集。「スキエンティア」とは知識や科学の女神という意味らしいのですが、最先端技術を詰め込んだスキエンティアビルを中心に物語は展開します。たとえば、近未来的技術を使って、自分の体を脳性麻痺の人に貸し出したり、寿命を短くしてまで自分の中に眠る才能を覚醒させたり。テーマはSFですが、これがまた怖い話とかでも全然なく、むしろ感動して心温まるんです。リアルよりも、架空の設定だからこそ響くことがあるのかもしれません。正月の炬燵の中で読んでください。

■『伊藤淳二の猫日記 よん&むー』伊藤淳二(講談社)

もうタイトルの通りの漫画なのですが、「ホラー界の巨匠が猫を描くだけでこんなに面白くなるなんて!」と目から鱗が飛び出した作品です。ひとことで言えば猫エッセイなのですが、伊藤先生らしくホラータッチで描かれていて、それなのに何故かとんでもなく可愛いのです。

こういう作者とテーマの意外な組み合わせって新鮮だし記憶に残ります。猫とホラーって相性がいいんでしょうか。笑って癒されるオススメ動物漫画でございます。疲れている時にどうぞ。

■『ゴルゴ13』さいとうたかお(リイド社)

正月休みって意外と長いですよね。どこにも行かず暇を持て余しているなら、この機会に全巻いってしまいましょう。

いまさら説明なんていらないくらい有名な作品ではありますが、「全巻読破した」という人は意外と僕の周りにはおらず。なぜでしょう。

何話にもわたって展開するストーリーは綿密に作り込まれており読み応えたっぷりです。世界史に残る大事件に実はゴルゴが関わっていたり、昔はよくわからなかったストーリーでも改めて読み直すと新しい発見があったり。新年、歴史の勉強がてら読み直してみるのもオススメです!