NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』や配信ドラマ『全裸監督season2』などの話題作に多数出演する女優・恒松祐里が、6月3日より公開される映画『きさらぎ駅』で映画初主演を務める。

本作は、ネット匿名掲示板の投稿で"現代版神隠し"と言われ話題となった都市伝説をテーマに映画化。大学で民俗学を学び、「きさらぎ駅」の謎に迫る主人公・堤春奈役を演じる。映画初主演となる彼女に、初出演の思いや撮影エピソード、自身の不思議体験などを聞いた。

――昨年、週プレ本誌にご登場いただいたときに「主役も脇役もこなせる女優になりたい」と話されていました。本作で映画初主演も経験し、夢に近づいていますね。

恒松 実は、自分の中で「22歳までに映画の主演をやりたい」という密かな目標を掲げていたんです。『きさらぎ駅』のクランクインが23歳になる2日前だったので、ギリギリ22歳で主演をすることができました(笑)。ついに来た!という気持ちと、目標を達成できた気持ち、ダブルでうれしかったです!


――映画の元ネタは、インターネット上で10年以上も前から語られている都市伝説。台本を読んでどう思いましたか?

恒松 台本を読む前に、ネットで「きさらぎ駅」の都市伝説を検索して調べました。実は私、ホラーが苦手で......。台本を読むときから身構えていたんですけど、展開が二転三転するなどオリジナルのエンタメ要素もあって楽しかったです。

――途中からホラーにも関らず、ちょっと笑えるシーンもありますよね。

恒松 物語の途中から面白いシーンが展開していくんですけど、そこは私もお気に入りです。現場で永江(二朗)監督は「緊張と笑いは紙一重」と言っていて。面白くすることを意識するというより、とにかく真剣にやるという感じでした。緊張するシーンだからこそ笑えるというか、お芝居を真剣にやればやるほど面白くなっちゃって(笑)。

――まさに「緊張と笑いは紙一重」ですね。

恒松 それと、この作品はFPSという撮影技法を取り入れていて、一人称視点で楽しめるところも面白いんです。VRのゲームをやっているような感覚というか、自分もその場で体験しているような気持ちできさらぎ駅に一緒に迷い込める作品だと思います。


――ゲームでお馴染みのFPSですね。

恒松 主人公が自分で考えなきゃいけない、思い出さなきゃいけない部分も出てくるので、体験型アクションホラーだなと思っていて。ホラー好きの方は新たな面白さに気づけると思いますし、私みたいに苦手な方はテーマパークに行くような気持ちで楽しめる作品じゃないですかね。それに途中からは映画を観る方も少し余裕を持って、主人公と一緒に歩んでいけるところも魅力かなと思います。

――演じる役、堤春奈はどんなコだと思いますか?

恒松 しっかりしていて明るく社交性のある女のコですけど、民俗学や都市伝説など自分の興味あることに関しては好奇心がありすぎるが故に危険な目にあってしまう(笑)。見ている方が「自分がもしこの状況に置かれたら......」と感情移入しやすいように、どこにでもいそうな普通の女のコをフラットに演じるように心がけていました。

――ご自身だったら「きさらぎ駅」に行きますか?

恒松 絶対に行きたくないです! 私はなるべくそういう怖いことを避けて通るタイプなので、根本的に行かないですね。春奈のような勇気はありません(笑)。


――ちなみに、『きさらぎ駅』のような不思議な体験をされたことは?

恒松 怖いことを避けているせいか霊感も全くないんですよ。日常生活は安心して暮らしています(笑)。あ、でも蚊の大群事件はありました。

――蚊ですか?

恒松 小学生くらいのときに見た夢で、巨大な蚊の王様が現れて、「行けー!」っていう号令で私に大量の蚊が飛んでくるっていう(笑)。あれが一番のホラーでした!

――撮影現場で印象に残っていることはありますか?

恒松 電車の中で23歳の誕生日をお祝いしていただいたことです! 22歳ギリギリにクランクインして、誕生日当日も撮影でした。その日の撮影場所は新浜松駅がメインだったので、昼休憩前にスタッフさんがホールケーキを持ってきてくださって! 『きさらぎ駅』らしい誕生日の祝い方というか、ステキな23歳を迎えられました。

――なかなか体験できないことですよね。

恒松 すごくうれしかったです。ただ、コロナ禍なので皆さんで分けて食べることができず、ホールケーキを丸ごといただきました。休憩時間にホテルのベッドに座りながら食べようと思ったんですけど、誕生日にひとりで食べるのも虚しかったので、インスタライブしながら「ホールケーキをどこまで食べ切れるのか」ってYouTuberさんみたいなことをやってました(笑)。


――丸ごと全部食べたんですか!?

恒松 結局、配信中は4分の1くらいしか食べられなくて、残りのケーキは冷蔵庫に頑張って詰め込みました。海外ドラマってベッドの上でケーキを食べるシーンがあるじゃないですか。普段、家で生活していたら絶対できないから、そういうのに憧れていたので、一度やってみたくなった感じです(笑)。

――本作で初めての映画主演を務めて、主演をこなせる自信はつきましたか?

恒松 現場に入る前はどうしようかなと思っていましたが、気負わずにやらせてもらいました。長回しのシーンが多かったので、主演の私が頑張るというよりもみんなで作らないと完成しない作品だったんですよ。初めて主演を務めさせていただいたことが次のステップにつながればいいなと思いますし、今後もいろいろな役をこなせるように頑張っていきたいです!

(スタイリング/武久真理江 ヘアメイク/安海督曜 衣装協力/lilith art duct、chabi jewelry)

■恒松祐里(つねまつ・ゆり)
1998年10月9日生まれ 東京都出身 
身長158.5㎝ 趣味=羊毛フェルト
〇6月3日から公開される映画『きさらぎ駅』で映画初主演。7月に東京・Bunkamuraシアターコクーン、8月に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演されるシス・カンパニー公演「ザ・ウェルキン」に出演予定。
公式Twitter【@Yuri_Tsunematsu】
公式Instagram【@yuri_tune】

■映画「きさらぎ駅」
6月3日(金)より全国公開
監督/永江二朗 
出演/恒松祐里、本田望結、莉子ほか
配給:イオンエンターテイメント/ナカチカ
(C)2022「きさらぎ駅」製作委員会