本日5月20日(土)にグランプリファイナルが開催される漫才の賞レース『THE SECOND』。ベテランたちがしのぎを削るこの大会の『M-1』とは違った楽しみ方を解説してもらった!
■新お笑い賞レースを存分に楽しもう
結成16年以上の新お笑い賞レース『THE SECOND』のファイナルが20日に開催される。初めての試みも多いこの大会の面白がり方を解説してくれたのは、ハリガネロックとして『M-1』2001年、2002年と2年連続決勝進出し、最高2位。現在はお笑い講師としても活躍するユウキロック氏。
①『M-1』とは違った本大会の見どころとは?
「『THE SECOND』のコンセプトとしては、実力や才能があっても賞レースがないからブレイクのきっかけが見いだせないベテランたちにセカンドチャンスをつかんでほしいというもの。そうした側面もありますが、見ていただいたらわかるように、名の知れた人たちもたくさん出ています。
『M-1』が"夢をつかむ"とか"成り上がりストーリー"なら、本大会は"芸人たちのプライドの戦い"じゃないかなと思います。どれだけ知名度があってもネタが面白いと思われたい。そのプライドは芸人なら誰でも持っているはず。そこをベテランたちが勝ち取りにいくというアツい大会です」
②ネタ時間は6分と賞レースにしては長いように思えますが、芸人はやりにくい?
「『M-1』世代の若いコンビは、6分のネタを飽きさせずに見せるっていうのは難しいと思いますが、ベテランは6分くらいのネタで勝負するのがちょうどいい。例えば、2分でちょっと自己紹介したり様子を見て、4分をネタに使ったりできます。
『M-1』の4分の構成だと、おのおのそんなに大きくは変わらないと思うんですけど、6分の使い方は8組でまったく変わってくると思うので、そこも見どころ。
ちなみに、優勝するコンビは3本ネタをやるわけですから、18分も人となりを見てもらえます。その分、イジりやすくもなりますし、大会後にはテレビに引っ張りだこになると予想されます」
③今回トーナメント方式であり、ノックアウトステージでの審査はネタが1本披露されるごとに100人の観客が3点満点で審査。これについては?
「タイマン勝負に対して、比較でなくネタ単体での絶対評価を審査慣れしていないお客さんに3点という幅でお願いしたことはなかなか酷だったかな?と思いました。審査員は2点か3点を入れる傾向が強くなります。
1点は最低評価なので入れづらいですよね。5点満点くらい幅を持たせれば『面白い』の幅も変わったと思います。あとは、戦いですからわかりやすくマストシステム、どちらかに優劣をつける形でもよかったと思います。
『どちらが面白かったか?』という考えだけではなく『どちらのネタをもう一度見たいか?』という考えがあれば両方面白かったとしても優劣はつけられるはず。たとえ99対1という結果でも大会のシステム自体に疑問を投げかける芸人はいなくなると思います。ただ、審査員の文句は言い続けると思いますけど(笑)。
あと、注目しているのは東野幸治さんの司会。今田耕司さんは『M-1』というサクセス感の強い歴史ある大会っていうのを意識してビシッと締めている。けど、今大会が夢をつかめなかった芸人たちのリベンジマッチであるならば、東野さんはもっと出場芸人をイジってもいいのかなと。
そういうノリも含めて、その日の波を一番つくったコンビが客票で優勝するというストーリーもありでしょう」
■出場8組の魅力を解説!
大会としての見どころを理解したところで、続いては出場8組の各対戦の見どころを聞いていこう。
●第1試合 金属バットvsマシンガンズ
「昨年の『M-1』ラストイヤーの勢いそのままに乗り込んできた金属バットが、ランジャタイを打ち負かして勢いに乗るマシンガンズと激突。失礼な言い方になりますが、ほかの出場者に比べて今までなかなかチャンスをつかめなかったふた組。
大会コンセプトの"ブレイクのきっかけが見いだせない漫才師たちにセカンドチャンスをつかんでほしい"を一番体現できる戦いが決定しました。マシンガンズは、この大会で化けると思うし、たとえ優勝しなかったとしても大会の影響で売れるんじゃないかなと思います」
●第2試合 スピードワゴンvs三四郎
「グランプリファイナル出場8組の中で知名度では群を抜くふた組が1回戦で潰し合う。大会コンセプトからすると出場しなくてもよかったのですが、どれだけ知名度があろうともネタは芸人にとってのプライドの部分。『俺たちのネタは面白い』。このプライドをかけてふた組の漫才が激突します。
ちなみに三四郎は『M-1』では審査員評価が悪くなりそうだからやらないようなネタをやってきました。なりふり構わず、目の前の客を一番笑かしたら勝ちみたいな感じ。そうした戦い方がどう評価されるか注目しています」
●第3試合 ギャロップvsテンダラー
「大阪組のギャロップとテンダラーが初戦で潰し合うことに。関西のファンは残念に思っているかもしれませんが、どちらかが必ずベスト4に残るわけなので、初代王者のタイトルを関西に持ち帰るという意味では良かったと思いたいところ。
ギャロップはコテコテの大阪っぽい感じのネタで、今一番大阪を感じられるコンビといえるのではないでしょうか。テンダラーはリズム、テンポ、ボケの数、わかりやすさ、すべて含めて、目の前のお客さんを一番笑わせる力があると思います」
●第4試合 超新塾vs囲碁将棋
「この戦いが非常に興味深い。革ジャンを身にまとった5人組の超新塾と一見地味なコンビの囲碁将棋。見た目は超新塾のほうが奇抜で、囲碁将棋のほうが漫才師然としているが、ネタは真逆で超新塾のほうがわかりやすく、囲碁将棋のほうが奇抜。究極の真逆対決が1回戦で実現です」
さて、以上の8組がトーナメント形式で準決勝、決勝と戦っていくわけだが、ズバリ優勝候補は?
「三四郎に期待。昨年の『M-1』でウエストランドが優勝しましたが、ウエストランドと三四郎は盟友で、売れない頃からしのぎを削ってきた。ネットニュースなどで話題になったのが、ウエストランドの優勝が決まった瞬間、三四郎の小宮君が号泣したというエピソード。
今回の三四郎はウエストランドに背中を押されたのか、俺たちのやりたいネタをやるという意気込みが感じられます」
大会は20日(土)夜7時からフジテレビ系で4時間生放送。誰が初代王者の座を勝ち取るのか。要注目だ。