『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ 『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ
ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では『ヒップホップ禁止騒動』について語った。

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★今週のひと言「話題のヒップホップ禁止騒動。俺は自分の子にはやらせない」

先日、都内のとある中学校でヒップホップが禁止されるという記事が出た。

体育祭でのヒップホップダンスの発表の時間が廃止され、その決定を生徒たちは涙ながらに覆そうとするも及ばず、さらにはその保護者たちが教育委員会に抗議文を提出したんだそうだ。

しかしその後すぐにその記事は一部事実と異なり、禁止はしていないという中学校側の声明が出たが(じゃあ一連の報道はなんだったんだ??)、それはさておき第1報に反応したXでの俺のポスト「そもそも学校でヒップホップやろうとしてんのが違う。こっそりやれ」などが拡散され、賛否を呼び多くのネット記事になった。

ヒップホップというものは、一部例外こそあれ、現状では基本的には非行であり、親や教師の庇護(ひご)の下、学校でやるものではないというのが俺の見解だ。

これは今回のニュースを見て言っているのではなくて、常々そう発信してきた。MVにもなった俺の楽曲『Against the World』(作詞・呂布カルマ、作曲・T-SPICE)の歌い出しでも、「偉そうな事言わねえ 俺はラッパー 早い段階で道間違えた これは非行 両親や学校に内緒の放課後の延長」と歌っている。 

今回のニュースはダンスの話であってラップではないという意見も見られたが、同じだ。ダンスだろうがラップだろうが、ヒップホップのメンタリティが非行なのだ。別に非行で構わない。非行だからこそ魅力的なのだ。いつだって若者を魅了するのはSEX、ドラッグ、バイオレンスだ。

それを実際にやるやらないは別にして、何十年も前から、今の大人が子供だった頃から同じはずだ。俺自身思春期にそれらの表現に夢中になったし、今の子供たちもそうであってほしい。

ただし、それは大人たちが用意するものではない。自分で見つけ、親や学校に隠れ、または反抗してのめり込んでいけばいいのだ。オナニーと同じだ。親や教師にオカズを用意させるか? 大人たちだって子供たちが夜な夜な何をしてるかなんて百も承知だ。自身もその道を通ってきた。知った上で見て見ぬふりをするものだ。

ヒップホップにも不良が更生したり、内向的な子供がヒップホップによって精神的に解放されることもある。

俺は高校生や未成年のMCバトルの大会の審査員を何年も務めていて、そんなストーリーを目の当たりにすることもしばしばだ。しかし、それは最悪がちょい悪になるぐらいのもんで、最初から悪くない子供がヒップホップによってさらに良くなることは残念ながらあまりない。そりゃ少しはあるかもしれないが、俺は知らない。

数年前までまだおぼこかった子供がラップをキッカケにたった1、2年ですっかりひねくれて道をそれていったり、タトゥーまみれ、少年ジャンキー、ガキビッチ、最悪逮捕、みたいなのをイヤというほど見てきた。

ヒップホップ的に若い頃多少ヤンチャして逮捕されようがなんのダメージにもならないが、学校側でその入り口を作ってやる必要はないということだ。別に俺はストリート至上主義というわけでもないが、そーゆーものは学校の外や自宅で夜な夜な育んでいけばよい。

これは子供たちを突き放しているのではなくて、より良いやり方、より楽しい方向を示してやっているのだ。

当然、俺は自分の子供にヒップホップをやらせようだなんて思わない。勝手に始めてしまったらしょうがねぇなぐらいのもんだ。

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