『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ
ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では『キャバクラ』について語った。
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★今週のひと言「お水系新番組がスタート。キャバクラに行かない理由」
この4月にスタートしたTOKYO MXの新番組『ケンドーコバヤシのキャベリバ内閣』にて、官房長官役(?)を仰せつかった記念ということで、このコラムに書いていく。
ちなみにケンドーコバヤシさんは総理、フリーアナウンサーの馬場ももこさんが議長兼進行、そしてキャス党員として全国のキャバクラのトップキャストが複数人招集され、キャバクラ界の悲喜こもごもについて議論するという立てつけだ。
しかし困ったことに俺はキャバクラ遊びをほとんどしない。40代、同年代で普通に会社勤めしている友達なんかと比べても圧倒的に少ない。ごくたまに、本当に年に1、2度仕事の付き合いで連れていってもらう程度である。
おごっていただく手前、連れていって"もらう"と書いたが、実際は文字どおり付き合わされているに等しく、楽しみ方がわからない。
そんな人ばかりではないが、さっきまで腰が低く丁寧だった仕事相手が俺を引き連れなじみのキャバクラへ入った途端、別人かっていうぐらい下品な人間に変貌するサマをさかなに、入れ代わり立ち代わり隣に座る識別および直視し難い美人キャストとなんの実もない話をするだけだ。そんな調子なので、もちろん自腹で遊びに行ったこともない。
というのも、20代始めから音楽をやるためとはいえ一年中クラブにいたので、酒を飲みたければクラブに行くし、女のコと遊びたくてもクラブに行けばいい。
20代でまだまだフリーターをしながらラップしている身分であっても、そこではそれなりに顔と名が通った立場である。わざわざ大金を払って誰も自分を知らないキャバクラへ遊びに行く理由がなかったのだ。そしてそのままオッサンになった。
そんな状態で若干の不安を抱えつつも、総理であるケンコバさん、毎回"一般客"としてひとり来てくれるゲストの芸人さん(初回はFUJIWARAの藤本敏史さんだった)たちがその手の遊びには慣れているだろうと思いきや、おふたりともキャバクラ遊びはほとんどしないという。
というか、キャバクラ遊びをする芸人さんは少ないのだと。聞いてみると、なるほど、俺たちラッパーがキャバクラへ行かない理由と変わらない。自分が主役になれる場所がある人はわざわざ大金を払ってチヤホヤしてもらいに行かないのだ。
同じように誰かに連れていってもらい、居心地の悪い思いをしているのだろう。
そんなわけで、ほぼ未知の世界である"キャバクラ界のオールジャパン"といってもよさそうな全国の売れっ子さんたちから聞かされる金銭感覚のぶっ飛びまくったエピソードの数々は、日々メディアから刷り込まれる不況にあえぐ日本の姿とはあまりにもかけ離れている。
彼女らの成功譚(たん)は夢があるといえば夢があるが、同時にそのウラ側というか、目に見えない部分を想像すると恐ろしさも感じる。
何せそんなにうまい話はないのだから。
テレビ収録なので酒も飲まず照明で煌々(こうこう)としたスタジオで垣間見るキャバクラの世界は改めて異様であり、だからこそ面白い。
本来の官房長官の役割も理解しないままに、俺はあの異様な空間でどんな働きができるのかいまだ難しくはあるが、仕事として知らない世界に触れられるのは幸運なことだ。
そして何より、TOKYO MXの番組で、地元・名古屋では放送されておらず、家族の目に触れないというのもありがたい。