皆さん、フーデンダッハ!(オランダ語でこんにちわ)。
オランダのアムステルダムに着くと、ふんわりと香るのはチューリップの甘い香り…ではなく、あの独特な煙の匂い。クサ…。
そう、草です。ご存知の人も多いかと思いますが、アムステルダムでは大麻=マリファナの使用がOKなのである。
私は、すれ違う人や街から漂う煙の匂いを掻き分けながら、ロマンチックな中央駅のライトアップを横目に宿へと急いだ。
宿の周りはコーヒーショップがズラリ。カプチーノでもすすろうかしら…なんて、ここはスタバじゃない。オランダのコーヒーショップといえば、合法的に煙を吸って楽しむ場所だ。
店内が気になるものの、ドアマンの存在に若干ひるみ、見過ごした。通りには同性婚がいち早く認められた国らしく、「レインボーフラッグ」がたなびき、売春も合法のこの場所では下着姿のセクシー女性が並ぶ「飾り窓」が存在する。
しかし、街が美しいせいか、不思議と治安の悪さや下品な雰囲気は感じない。ただ異次元の「自由の国」に迷い込んだような気分だった。
ちなみにオランダでは、安楽死も認められてたりする。日本とは異なった価値観に生きてるのね。
さて、「合法」と言ってしまうと語弊があるが、大麻が「非犯罪化」とされている国はオランダやジャマイカに限ったことではない。(参照:「旅人マリーシャの世界一周紀行:第64回」)
ベルギー、ポルトガル、スペイン、チェコ、ドイツ、スイス、ウルグアイなど制限付きの合法やガン治療などの医療合法も含めるとさらに増え、様々な国で使用されているのだ。
そしてアメリカは、コロラド、ワシントン、オレゴン、アラスカなどの州で非犯罪化が認められていて、HIPHOP界の大御所ラッパー、スヌープドッグも大麻ブランド“リーフ・バイ・スヌープ”を立ち上げているし、2016年に向けて歌姫リアーナも“マリアーナ”という大麻ブランド設立に動いているのは最旬ニュース。
私も“マリーシャ”ブランド立ち上げてみたいな~。大麻ブランドじゃないよ! 旅グッズとか、もちろん合法のやーつ!
毎日必ず男たちがジョイント
宿の客は、ほとんどが煙を楽しんでる様子だった。というか、それが目的で来ている人が多いのかな。
共同リビングでは、私が朝食をとっている横で毎日必ず男たちがジョイントと呼ばれる紙巻タバコを作っていた。丸いシャーレのようなケースで細かく砕いた葉っぱを薄紙で包む。器用にクルクルっと巻くと一丁上がりっ!
思わずカメラを向けると「オイ、おまえ、撮られてるぜ!」と男の友人が告げ口したので、「か、顔は撮ってません! 手元だけ! いい?」と、なんとなくビビる私。
そこに煙の香る、また別の少年が「キミは明日どこに行くの?」と話しかけてきた。
私「私はゴッホ美術館に行きたいと思ってるよ」
少年「ゴッホ? 知らないなぁ。僕はベンガルミュージアムに行きたいと思っている」
私「え、ゴッホ知らないの? ゴッホだよ! Gから始まる、ゴ・ッ・ホ! ベンガルって何よ。たけし軍団?」
この人、ゴッホも知らないなんて大丈夫かしら? クサのやりすぎなんじゃないの? …と思っていたら、ゴッホはバンゴッホというのが正式名称。彼の正しい英語発音がベンガッフという音だったので、私の日本人耳にベンガルと聞こえただけだった。ただの発音問題。
ベンガルさんはたけし軍団ではないし、これも私の勘違い。マリーシャ、バカヤロウ!
夜中の2時くらいには「中に入・れ・ろ~! しばくぞっ!」と宿の扉をガンガン叩く宿泊客が現れた。
客のアウトレイジな態度に宿側の男が「なんだ、バカヤロウ! やんのか、コノヤロウ!」となったので、ケンカになるのではとヒヤヒヤして息を潜めていると、「ソーリーソーリー! オレはとーっても吸いすぎちゃってるんだよ。ドアの開け方忘れちゃってたりなんかしてね。これはイヤですねぇ。ガハハハハ」
と、ワケのわからないことを言い、男は笑い始めた。すると、宿側の男たちも「ガハハハハ。それはハッピーだね。どんだけ吸ったの?」と解決。日常茶飯事ってことかい。ビビって損した。「ジャップにはわからないよ、コノヤロウ」ーー。
禁断のアレを体験!?
しかし、日本では違法とされている世界、せっかくアムステルダムに来たんだから少しくらい見学したい。ついに勇気を出して、近所のコーヒーショップに出向くと、一応18禁のサインはあるものの、いたって普通のカフェ。
「初めてきました! どうすれば良いですか?」と聞くと、「もう閉店だよ。明日おいで。あとパスポートね」だって。閉店に内心ホッとしつつ、「あ、もちろん写真なんか撮ったらダメですよね?」。ダメもとで聞くと、全然OKだったので難なく撮影。
日本人の私からすると、どうしても後ろめたさがチラつきますが、この国の住人はそんなこと思っていない。そりゃそうだ。アジアでは死刑の国もあるというのに世の中のルールというのは本当にバラバラである。
結局、コーヒーショップ体験とは無縁に終わった私…。
しかし、なんだかみんなの自由っぷりを見ていたら、私もたまらず、ガマンしていたアレについ手を出してしまいました…! 旅人にとって禁断の…「贅沢飯」!
バックパッカーとは正反対の優雅な旅行で来ていたモデルのお友達、彼女オススメの美味しいレストランの誘惑に私も欲を止められなかったのです。
コースのお料理は、繊細で美しい盛り付けに絶妙な味付け、パンのバターですら旅人の体は敏感に反応。美味ぃ~! そして、ソムリエがワインのお供に進めてきたチーズの山から、気になるカビチーズや熟成されたハードチーズをいただいた。濃厚ぅ~!
最後にデザートと、さらにはチョコレートとカプチーノで、ご満悦~ぅ☆
お会計を見ると、どうやらチーズはコースに含まれてなく、食後のコーヒーも別途だった。いつもの旅人飯の10倍、いや、アジアでの食事に比べたら100倍の値段。
「ちょっと! 誰か、お会計してぇ~」
財布のダメージにオネエギャグをかましたが、ユーロは煙のように消えてしまいましたとさ。めでたくない!
【This week’s BLUE】 街にはたくさんのアートが。これ気に入ったけど荷物になるから買ってないよ!
●旅人マリーシャ 平 川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、Sサイズモデルとしてテレビやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】