生姜以外にもごぼう、れんこん、にんじんなど根菜類は体を温める野菜。冷え対策として積極的に食べよう 生姜以外にもごぼう、れんこん、にんじんなど根菜類は体を温める野菜。冷え対策として積極的に食べよう

男性の冷えを侮(あなど)ってはいけない! 

手足が冷えるよりもわかりにくい内臓が冷える人も多いため、気付かずに放置することで仕事にも異性にも性欲を感じなくなって、モテないぼっち生活に陥ってしまう可能性が高いのだ。 

前回記事『内臓冷え冷えで性欲も減退…急増中の“冷え性”男子は女性に拒絶される!』では、具体的な検診を受け、冷え性の原因を検証した。

第2弾となる今回は、冷えのパターンを3つに分けて対策を解説していく。

■冷えることでデブな人生、まっしぐら! 体の中のどこかが冷えることで起きる「冷え症」は、3つのタイプに分けられる。

手先や指先を中心に冷えを感じる<末端型冷え症>、腰から足を中心として冷えを感じ、内臓の温度が低下して起こる<かくれ低温型冷え症>、自律神経の働きが悪くなることにより体全体に冷えを感じる<全身型冷え症>だ。

中でも怖いのが、前回の記事で伝えた内臓が冷えるタイプ。内臓の温度が低下すると恐ろしい事態を招くのだ。

●悲劇1「基礎代謝の低下」 基礎代謝とは、人間が横になって安静にした状態で必要な最低限のエネルギーのこと

「学生の頃、真剣に野球やサッカーなどやってる男性などは、体を動かすのでいくら食べても太らないでしょう。ところが、30代、40代になるとそうはいかなくなる。運動もしなくなるし、何より冷えによって代謝が落ちるから太ってしまうんです」(全国冷え症研究所・山口勝利所長)

体温が1度下がるごとに基礎代謝は約11%も落ちるという。前回、「深層部温度測定」を計測した編集・武田は平均37度より2度以上低い34.8度だった。

「通常より2割も代謝が落ちているということです。そして、基礎代謝が落ちているだけならまだしも、だるさが抜けない、寝起きが悪い、いくら寝ても寝足りない、やる気が出ないなど体調の不良も出やすくなりますよ」(山口所長)

長身で一見、細身の武田だが、「お腹はぽっこり出たままで…」と実は外見を気にしている。また、「やる気が出ない」という話にも大きくうなずいていた。よほど心あたりがあるようだ(笑)。

 「深層部温度測定」でわかった武田の体の内部(内臓)の温度は35度に満たなかった。一般男性の平均37度と比べてかなり低い 「深層部温度測定」でわかった武田の体の内部(内臓)の温度は35度に満たなかった。一般男性の平均37度と比べてかなり低い

悲劇2「免疫力の低下」

「医学的に証明されていますが、体温が1度下がると免疫力が30%下がると言われています。2度以上低いと通常の約半分ということ。免疫力の低下によってアレルギーも起こりやすくなるので花粉症、またノロなど感染症にもかかりやすくなります」(山口所長)

自律神経が生命の危機を感じる?

■内臓が冷えると全身が不調に見舞われる! 悲劇3「自律神経の乱れ」 また内臓の温度が低下することで、自律神経が生命の危機を感じてしまうという。

「異常事態を認識した自律神経は、血液の循環を悪くしたり汗をかかないようにして、外に熱を逃がさないように働きます。この状態が長く続くと、むくみやくすみ、めまいなどの症状が起きてきます」(山口所長)

なんと肌にも悪影響! 明確な痛みがある不調ではないため、“なんとな~く”ずっと調子が悪いまま過ごしてしまいがちになるのも問題だ。

放置していれば、<かくれ低温型冷え症>のみならず、自律神経の働きが悪いことで起こる<全身型冷え症>にもなりそうだ。

「冷え症研究所」によると、男性は<全身型冷え症>が多いという。これも内臓が冷えていることに気づかないため、ケアも行なわず生活習慣も改めなかった結果かもしれない。

悲劇4「内臓の働きが低下する」 内臓の温度が低いだけに、当然、悪影響は胃や腸にダイレクトに及ぶ。

「下痢しやすくなったりしますよね。そうなると、消化や吸収が悪くなるので元気もなくなります。元気のない男性は女性にモテませんよね? それに、最初は体が冷えるだけだったのに、仕事の生産性も下がって、最後は懐具合まで冷えしまうでしょうね(苦笑)」(山口所長)

 「若年層で冷え症になっている男性は、炭水化物の摂取が多いなど食事の偏りが激しい」ことが多いという。ラーメンはほどほどに…ということか 「若年層で冷え症になっている男性は、炭水化物の摂取が多いなど食事の偏りが激しい」ことが多いという。ラーメンはほどほどに…ということか

■日常のひと工夫で脱・冷え症男子

 『全国冷え症研究所』開発の対策グッズ。上「羽毛腹巻き」(8532円)、下「3足重ねばき靴下」(2592円)は5本指のシルクと綿の靴下と一番上に重ねるシルクの靴下がセットになっている 『全国冷え症研究所』開発の対策グッズ。上「羽毛腹巻き」(8532円)、下「3足重ねばき靴下」(2592円)は5本指のシルクと綿の靴下と一番上に重ねるシルクの靴下がセットになっている

改善には温めることが必要だが、やみくもに温めて重ね着をしていいものではないそうだ。内臓が冷えている場合は、血管が開いて血流量が増えることで外気に熱が奪われるのは前回学んだが…。

「そんな熱が奪われるタイプの人が過剰に暖めたら、もっと血管が開いて熱が逃げてしまいます」(山口所長)

綿の厚手の靴下なども「濡れ雑巾で足を包んでいるようなもの」と山口所長はバッサリ!

「足の指にかいた汗を外に出すことが大事。おすすめはシルクの5本指靴下です。シルクは汗を吸ったあと、吐き出す力が綿よりも強いんです」

5本指のシルク靴下と綿の靴下など重ね履きがセットになって売っていたり、冷え対策靴下もあるが、男性向けの売り場で扱っているのを見かけることは少ないので通販などを活用してもいい。

「イヤでなければ、夜に寝る時だけでも腹巻を巻くことがオススメですね。それだけで内臓が温まり、確実に下半身が強くなります」(山口所長)

食事のシメに冷え対策の食品を!

さらに、食事にもひと工夫してみよう。

「揚げ物ばかりのお弁当がやめられなければ、味噌汁にチューブなどのおろし生姜を入れてください。居酒屋のシメも味噌汁にチューブのおろし生姜。1日冷えた生活をしていても、これでリセットされます」(山口所長)

冷えに早く気づき、生活習慣の見直しをするだけで体調が改善されるそうだ。

 冷えを増長するもののひとつに静電気や電磁波があるという。そのため、電気毛布やあんかを使うよりも湯たんぽがおすすめ。電子レンジでジェルを温めるタイプ(右)もお手軽 冷えを増長するもののひとつに静電気や電磁波があるという。そのため、電気毛布やあんかを使うよりも湯たんぽがおすすめ。電子レンジでジェルを温めるタイプ(右)もお手軽

■次回は、1月13日(水)に配信予定。根本的に体の中から冷えを改善するエクササイズを紹介!

●取材協力/山口勝利先生 冷えのメカニズムを科学的に研究・解明し、治療法や自宅でのケア方法、グッズの開発などを行なっている『全国冷え症研究所』の所長。『冷えた女はブスになる』(祥伝社)などの書籍やTV出演も多数。研究所隣接の『四ツ木治療室』では予約制で検査を実地している。住所:東京都葛飾区四つ木1-34-6 検査予約・問合せ電話:03-3610-6881

(取材・文/渡邉裕美 撮影/五十嵐和博)