居酒屋でのファーストオーダーは、食物繊維の豊富な「野菜」「海藻」「きのこ」などをチョイス!

忘年会シーズンを迎えるたびに、財布の中身と反比例して増える体重。とはいえ、悲しいかなサラリーマンである以上、仕事の付き合いなどで断ることは難しい。この際、体重増加には目をつぶるしかないのか?

しかし、「居酒屋こそダイエット食の宝庫なんですよ!」と訴えるのは、日本メンタルダイエット協会代表で、ダイエットインストラクターの小林一行(いっこう)氏だ。

小林氏は、過去25年間でゆうに10回以上、ダイエットに失敗。痩せては太るを繰り返し、ピーク時には80kgを超えたという。しかし、その後2年間で25kgのダイエットに成功し、現在まで10年以上、その体形をキープしているのだ。

「昔はビールを飲まないダイエットをしてたんですけど、好きなビールをやめる=痩せたら飲めるっていう考えになってしまう。だから飲んだ瞬間、ダイエットが終わって、リバウンドに向かっていったんですよ」

お酒が好きで、飲み会にもよく参加していたという小林氏。そこで考えたのが飲みにいった際の、“食べ方”だ。

「いわゆる“食べる順番ダイエット”“糖質制限ダイエット”を掛け合わせたやり方ですね。制限といっても糖質を多く含んだ炭水化物も食べてましたけどね。ストイックにやっても続かないから我慢することは止めて、“ストレスゼロ”で痩せることを目指したんです」

元々スポーツをやっており、大盛りの牛丼やラーメンをかっ込むという、THE体育会系メシが好みだったそう。そんな彼にとって、米や小麦粉は心の友。主食はなくてはならない存在であり、我慢はできなかった。糖質制限とは矛盾しているように思えるが、具体的にどんな方法で制限していたのか。

「血糖値を上げないように、先に糖質の含まれていないものを食べて、満腹に近づけます。そうすることで主食の量を減らし、糖質の摂取量を“制限”していました」

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の割合のこと。血糖値が上がるとそれを抑えるためにインスリンが分泌される。しかし、このインスリンは脂肪の合成を促進させるという作用を持ってしまっているのだ。つまり、血糖値が急上昇してインスリンが大量分泌されるほど太りやすくなる。

「そこで重要になってくるのが、食物繊維です。胃腸の調子を整えるという効果以外に『血糖値の上昇を緩やかにする』作用もあるんです。だから野菜を最初に食べて、それから肉や魚などのタンパク質がメインの食事を。それでも足りなければ、揚げ物や炭水化物を食べましょう」

オススメの具体的なオーダーは?

そこで、小林氏がオススメする具体的なオーダーを紹介しよう。

■1回目のオーダー(3~5品)オニオンスライス、筑前煮、きんぴらごぼう、海藻サラダ、きのこのホイル焼き、もずく酢、サーモンのマリネ、冷奴など

ここで挙げた「野菜」「海藻」「きのこ」はそれぞれ食物繊維も豊富なもの。そして食物繊維だけでなく「酢」にも血糖値を上げにくくする効果がある。また豆腐はボリューム感があるだけでなく植物性タンパク質が摂取できる。

■2回目のオーダー(3~5品)ローストビーフ、しゃぶしゃぶ、ホルモン系の肉、出汁巻き玉子、刺身、焼き魚

基本的には肉なら赤身など脂の少ないメニューを選択するのがベスト。内臓系の肉はカロリー自体も少ない。一方、ソーセージなどは見た目以上に脂が多いので注意したい。また、焼き鳥の場合は塩とタレで、塩のほうが20kcalほど低いという。

■3回目のオーダー(1~2品)お茶漬け、おじや、盛りそば、マルゲリータピザ、ペペロンチーノ

できれば食べないほうがいいが、もし食べたいなら我慢する必要はない。食べるのであれば、水分でかさ増しされたものや、具が少ないシンプルなものがベター。また唐揚げなどの揚げ物はレモンをかけること。レモンに含まれるクエン酸に血糖値を下げる効果があるためだ。

「最初に一気に頼むとドカ食いしてしまいます。満腹中枢は食べ始めて20分後に刺激されるので、血糖値の上がりにくいものを始めにゆっくり食べて、満たしておくことで後半も食べ過ぎないで済むんです。オーダーを自分が決めるか、そういうことを周りに伝えておくといいですね」

血糖値と満腹感をコントロールすることで、太りにくい食事にするわけだ。この方法は居酒屋以外のイタリアンやエスニック系の料理店などでも応用できる。また、チゲ鍋などをメインにすると野菜の摂取だけでなく、カプサイシン(唐辛子の辛み成分)が脂肪燃焼にひと役買うのでオススメだ。

ただ、店選びで注意点もあると小林氏は指摘する。

「中華料理店は揚げ物や油物が多くダイエットするには不向きですが 餃子やシュウマイ、麺類は控えて、棒棒鶏や八宝菜、青椒肉絲、きくらげの炒め物、麻婆豆腐など、野菜中心のメニューにすれば太りにくい食べ方も可能です。それから居酒屋でも安いコースの場合、揚げ物が多く、早めに出てきてしまうのが難点。お店を決める際にその点は注意してもらいたいです」

●後編⇒『“締めのラーメン”問題も我慢せずに? 忘年会で太らないお酒の飲み方とは』

●小林一行(こばやし・いっこう)日本メンタルダイエット協会代表。1965年栃木県生まれ。エンジニアとして勤めるが、多忙でうつ病を患い過食症も併発。自ら心理学やメンタルを癒す手法 を学び、克服する。その経験から我慢しないダイエット法をあみだし、2年で25kgの減量に成功。さらにメンタル改善のメソッドや人体学、栄養学を徹底的 に応用し、飲み会の多い人や運動する時間がとれない人でも実践でき、かつリバウンドしない独自のダイエット法を新たに開発。近著に『ビールを飲んでも飲んでも腹が凹む法』 (三笠書房) 【http://kobayashiikko.jp/】

自身も25kgのダイエットに成功した小林一行氏。手に持っている写真はダイエット前の姿

(取材・文/鯨井隆正)