「つまらなくなったSODを3年以内に潰せ!」。今年9月、SOD社主・高橋がなり氏は、野本ダイトリ新社長にそう告げた。
この言葉が意味するもの、それは“見たことがない新しいAV”を作れというむちゃぶりであった。
当初は途方に暮れた野本氏。しかし、今はある希望を見出している。それは、アマチュアならではの“型破りな発想”だ!
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35歳にして、国内屈指のAVメーカーの代表取締役社長に就任した野本ダイトリ氏。もともとAV監督だった彼が、どのような経緯で社長に?
野本 2013年に高橋(がなり)が、フラッと会社に戻ってきたんですよ。AVを引退してずっと農業をやっていたんですけど、復帰後に言ったのが「こんなSODはいらない!」と。そして今年の春、役員・部長職を全員クビにしたんです。
―ジョブズを超える強権っぷり! その“粛清”の原因は、業績の悪化ですか?
野本 いいえ。高橋が復帰した当時も今も、業績はアップし続けています。
―なのに、役員の全員がクビとか、さすがにやりすぎかと!
野本 高橋からは「売り上げじゃねぇーんだよ! おまえら“新しいモノ”を一コも作ってないだろ!!」と叱責されまして…。もう彼は会社の経営とか考えてなかったですね。とにかく誰も見たことがない“新しいモノ”を作って、お客さんに喜んでもらえと。
―では、どうして野本さんが社長に?
野本 「あいつバカだから社長でいいや」と、高橋に指名されました。
―は?
野本 僕は経営のことがまったくわからないから、ちょうど良かったんじゃないでしょうか。ものすごく前向きに解釈すると、AVの制作現場の出身だから、なんかむちゃなことをやってくれるという期待があったのでは、と思っています。
アマチュアには勝てない!
―で、3年以内に新しいモノを作らないと、がなりさんが自らの手で会社を畳むと。
野本 彼は本気ですよ。できなければ、SODは終了でしょうね。
―そんななか、総工費1億円の新型マジックミラー号の開発や、世界初のドローンで撮影するAVなど、早速、新しい企画に挑戦していますね。
野本 やっぱり会社を潰したくないんですよ! とりあえず既存のコンテンツをアップデートしつつ、新プロジェクトのスタートを考えています。ただ最近、実感しているのは、アマチュアには勝てない! ということですね。
―何か実例でも?
野本 弊社には「こんなAVを作ってほしいです!」というユーザーからのリクエストがいっぱい来るんです。そこには、【〇〇幼稚園の××先生がAVに出たがってるので、お願いします!】とか【中野区〇〇にあるコンビニバイトの××さんを撮ってくだい! 本人も絶対に喜びます!】とか書いてある。なかには便箋10枚や長文メールで細かい撮り方まで説明してあるヤツも!
―それ、実行したらあかんヤツじゃないですか!
野本 でも、アマチュアならではの“突破力”を感じちゃうんですよね…。こういう人たちをたくさん集めれば、高橋のむちゃぶりもクリアできるかも、と。
―法に触れるようなことをやりかねませんよ!?
野本 もちろん、法的にNGなことはやらせません。
でも、プロが失ってしまったエロへの情熱をアマチュアの方たちは持っているような気がするんですよ。
★後編⇒『「つまらなくなったSODを3年以内に潰せ!」…高橋がなりがマジックミラー号も売り払う!?』
●野本ダイトリ 1981年生まれ、埼玉県出身。2004年、ソフト・オン・デマンドに入社。以後、AV監督として活躍する。原紗央莉のAVデビュー作を手がけるなど実績を残した。入社13年目の今年、代表取締役に抜擢された
■『週刊プレイボーイ』49号、「一億総『アマチュアAV』時代がやってきたぞー!!!」より
(取材・文/直井裕太 撮影/関 純一)