メキシコの海に魅了された私は、カリブ海だけに飽き足らず、太平洋とコルテス海に囲まれたメキシコ西部バハ・カルフォルニア半島の「ロスカボス」にひとっ飛び!
コルテス海はカルフォルニア湾とも呼ばれ、2005年ユネスコ世界遺産に「カリフォルニア湾の島々と自然保護区」の名前で登録されています。
アメリカのカルフォルニア州から南へ伸びた半島にあり、ロサンゼルスから2時間ということもあって、西海岸側のアメリカ人に人気のビーチリゾートなんだって。
ロスカボス空港に到着すると、そこは英語の普及率が高くちょっと違和感。ここメキシコだよね?
そしていつも通り、まずは空港から宿に行くための手段を探すと、タクシー以外は乗り合いのシャトルバンしかないようで「17ドル」だという。はて? 17ドル? 17ペソじゃなくて? ここメキシコだよね? さすがリゾート地、メキシコにしては高額です。
ゴルフ場が併設されているようなオールインクルーシブ型の超高級ホテルから順に降ろされ、私は一番最後。カボサンルーカスという街の奥、暗闇にポツンと佇(たたず)む素敵な安宿に降ろされ就寝した。
翌朝、テクテク歩いて街に出ると、シーズンオフで閑散としているせいか、リゾート地というわりには洗練された要素はなく、やる気のないレストランや土産物店はなんだか寂れている。
「ちびまる子! ちょっと待って! ドン・キホーテより安い~」
日本人の観光客は見かけなかったけど、久々に日本語で客引きに声をかけられて、懐かしさとともに少しガッカリもした。ここはラグジュアリーなホテルと、マリンアクティビティーのツアーを往復するお金持ちのための場所なのかも。タコス屋台なんかは探したけれども見つからなかった。
私はとりあえず、ここでやっておくべき、有名な「エル・アルコ」というアーチ型の岩を見るボートツアーだけ参加することにした。
太平洋とコルテス海の境目は荒々しく波がふつかりあい、強い波で作られた天然のアーチ型の岩は迫力がありすっごくカッコいい。岩山の麓(ふもと)には、ポカリのCMで北野武がピアノを弾いたという砂浜がありました。
コルテス海側のラバーズビーチ(恋人ビーチ)に腰をかけ、その反対側にあるディボースビーチ(離婚ビーチ)でキスする恋人たちを見る。こうしてバックパッカーなりにロスカボスを満喫した私はダイビングの聖地、ラパスに北上します。
野性アシカの赤ちゃんと泳ぐ!
メキシコ感たっぷりなサボテンだらけの荒野を抜け、バスで約3時間、「ラパス」に着いた。ボリビアの首都と同じ名前のため混同しがちだけれど、ここもまたコスメル島同様“ダイバー憧れの地”と言われ、大物と会える確率が高い。
海沿いは観光向けのレストランがちょこちょこあり、街中には地元民がたまる屋台がチラホラ。市場だってあるし、行かないけどセニョール寿司という名の寿司店やのれんが揺れるラーメン店もあった。
そしてここでは海鮮のタコスが食べられるというので、白身魚のフライやエビ、マンタ、サメ、などのタコスにチャレンジ! わかっちゃいたけど、結局エビが一番おいしかったよ!
そしてここに来た最大の目的は、野性アシカの赤ちゃんと泳ぐこと!
これまた小型ボートに乗って2時間なんですが、ウエ~(説明不要)。メキシコ一番のコンビニOXXO(オクソ)で購入した、現地人オススメの「ドラマミン」という酔い止めを飲んで、いざ出陣!
しかし、運悪く天候は曇りで寒い。途中、まるでガラパゴスのような鳥の島に立ち寄ると…「おお! ガラパゴス島で唯一見れなかったお腹が赤い鳥じゃあないか!」。
思わぬ収穫に少しだけ喜んだ私だったが、相変わらず、鳥肌。さ、寒い…。
そして、やっとこさアシカコロニーに到着するやいなや、悪天候で黒ずんだ海に飛び込めと言うのだ。いやだ、寒いよ。
しかし躊躇(ちゅうちょ)している暇はなく、海にドボンと飛び込んでブルブルと震えながらインストラクターの後を泳いだ。
すると、ヒュルリ! ヒュルリラ! 海の中に翻(ひるがえ)る、黒くぶっとい物体が現れた!
アシカの赤ちゃんだ! いや、赤ちゃんにしては大きいぞ。子供アシカというとこだろうか、見た目はカワイイのだけれどもやんちゃで生意気な態度を見せる。
カワイイ顔で「かまって~」と一瞬近くまで寄ってきたかと思うと、ヒュルンッ!と体を翻して逃げていく。まるで、求められた握手に応えようと手を出したら、ヒョイとかわされてからかわれた時のようです。
事前情報では、アシカとハグしたりキスしたりして写真を撮れるはずだったんだけど、そんなの夢物語。弄ばれた人間たちは黒い物体をなんとか押さえるのに精いっぱいで、ハァハァ言いながら、濡れた体を震わせてボートに戻った。
ジンベイザメに飲み込まれる!?
アシカとはアミーゴにはなれなかった気がする…。
カワイかったけど、なんだか悔しかったし、これだけれは終われない!
「マンタの群れとかハンマーヘッドシャークが見たいんだけど!」と、ダイビングショップに駆け込むと「少なくなってて全然見れないんだよね。ジンベイザメ行きなよ」と、ショップのおじさんは言う。
えー! 大物見れるって聞いてたのに。ジンベイザメはカンクンで見たよ。と思ったけれど、あの時は6時間かけて探して超船酔い。口から放送禁止のキラキラを放出しながらだったから、実際あまり覚えていない。ここラパスではたった2時間くらいのツアーで見れるってんだから、簡単そうだし行ってみるか。
「僕は『チキン・リトル』に似てるって言われるんだ!」という新米っぽい若手ガイドの元、ジンベイ出発。
ボートに乗り込むと、アルゼンチン人のカップルがコンドームを開け始めたので何をする気かと思ったら、スマホにかぶせはじめた。それで防水ってこと? ありえないんだけど!
すると、前回の経験とは全く違い、楽な距離ですぐにジンベイザメが現れた! 一斉に追いかけると、ちょうど大きく開けたジンベイザメの口が目の前に!
私の小さい体など吸い込まれそうなほどの大きくポッカリ開いた口に、慌てて回避! 危うくピノキオのように飲み込まれるところでした。
その後もたまに現れるも、出現してからボートから飛び込んで追いかけるパターンでは人間はかなわない。それよりも大量のクラゲにあちこちを刺され、肌はピリピリ。
結局、初回の一度しかジンベイザメを拝めず、乗客たちはちょっとガッカリ顔。チキン・リトルも帰りの船は神妙な面持ちだったので、なんだか可哀想になってしまった。
ジンベイザメとは一瞬しか泳げなかったけど、私はチキン・リトルにチップを渡し、お礼を言った。
そして、やはりアルゼンチン人はメキシコでチップを払わず去っていった。
気になるコンドームに包まれたスマホはというと…どうやら無事だったようだ。
【This week’s BLUE】 カボサンルーカスは“カジキ釣りの聖地”でもあって、世界に誇る最大の釣り大会の賞金は過去最高で億単位! 松方のアニキも常連だとか。 ●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】