ワッサ!(What’s up!)
アメリカの秘境「ザ・ウェーブ」に一発当選という奇跡を起こした私は、予定よりも早くメインイベントが終わってしまうという嬉しい誤算に次の行先を迷っていた。
すると、同じ宿に泊まるアメリカ人のマルコが「ブライスキャニオン国立公園がナイスだよ! ユー・シュドゥ・ゴー!」と言うので、ちょっと寄ってみることに。
ブライスキャニオン国立公園は米国ユタ州南部に位置し、他の国立公園に比べてちょっと辺ぴな場所にあるため訪問者が少なく穴場的な場所だとか。
しかしちょうどウェーブの拠点となる町カナブからは車で1時間半ほどと近く、ウェーブの抽選にハズれた人などが抽選待ちの間に訪れる有名スポットでもある。
入場料は車一台につき30ドルで7日間有効。年間パスだと他の国立公園にも入ることができて80ドルととってもお得だけど、買ったら長期アメリカ国立公園巡りの旅が始まってしまいそうなのでやめておいた。
敷地内は車移動ができて「冒険疲れ」してる旅人にはありがたい。
早速、ビジターセンターからすぐの最初の見所「サンライズポイント」へ行くと、5分も歩かずにパノラマビューの雄大な大絶景がドーン!
「ウェーブ後だし、それより感動するスゴイものなんて見れないだろう」と完全に侮っていたけれど、予期せぬ奇岩群の迫力に完全にド肝抜かれました!
ブライスキャニオンは「土柱」と呼ばれる独特な奇岩が特徴。
グランドサークルの中でも最も標高が高いこの地は、雨風などの自然の浸食や隆起によって作られた「フィン(一枚岩の断崖)」や「フードゥー(尖塔)」で埋め尽くされていた。
谷底から空に向かって突き刺すようにビッシリと並ぶ無数もの土柱。その姿を例えるなら…超巨大な剣山(笑)?
う~ん、私の表現力だと色気がないけど、「巨大な自然の円形劇場(アンフィシアター)」なんて呼ばれてるんだって。カッコいい…!
アメリカの絶景は死と隣り合わせ
すっかりブライス・キャニオンのトリコとなった私。地図片手に冒険するのも良いけれど、ウェーブで遭難しかけた私としては、気軽に見れちゃう絶景も正直大好きです(笑)。寄り道なんかじゃ足りなかったので、すみません! 延長お願いします!
とゆうわけで、続いて「サンセットポイント」に向かうと、その景色はさらに面白味を増していった。
「どっひゃー! 何アレ!」
ブライスキャニオンのシンボル「トールハンマー(雷神の鎚)」と呼ばれる土柱は、飛び出した尖塔のてっぺんに大きな岩が乗っかり不思議な形をしている。それを囲むようにすり鉢状になった谷底へは「ナバホループトレイル」という道を降りるようにトレッキングすることができるんだけど、コースの横は崖。
足場は雪が凍っていたり雪解けの泥道でグズグズで、もし滑って道を外したりしたら死に直結。
日本だったら全体的に柵があったり、トレッキング禁止になってそうなもんだけど、看板には「険しい道や落石に注意」とか「ブーツ推奨」と書いてあるだけ。
アメリカの絶景って、死んでも自己責任みたいなとこが本当多くて、というか壮大すぎて管理に手が負えないのか、そんな絶景ばっかりなのだ。アメリカ的自己責任ってやつですかね。
私、スニーカーしかないけど…これで行くっきゃない。危険なのはわかっちゃいるけど、それでもやっぱり突塔群の迫力と神秘を間近で見たいのだ。
宿敵、再び現る!
アメリカの「国立公園」は本当にスケールが大きく、他では味わうことのできない感動を得られることができる魅力的な場所。1916年に創設された国立公園制度は「アメリカが生んだ最高のアイディア」と言われ、昨年2016年には100周年を迎えた。
オバマ元大統領が「この絶景はiPadやTVはもちろん、油絵でさえ捉えることができない。ここに来て、直接感じ取るしかないのだ」と言ったそうだけど、本当その通り。私も同じ気持ちだよ、オバマさーん!
結局、スニーカーがドロドロになっただけで、私は無事に絶景を「肌で感じる」ことができた。
しかし、忘れてはいけない。国立公園では平均で年間約160人の死者が出ているということを。
主な死因の1位は溺死で、2位が車やバイクの事故、次いでハイキングでの落下や滑り。2016年11月にはイエローストーン国立公園の酸性の熱水泉に転落し溶けて亡くなった人もいる。さらに洪水・落雷・雪崩などの自然環境、薬物やアルコール、そしてワイルドライフも。
野生動物との遭遇は国立公園の魅力のひとつだけれど、山ヤギ、蛇、グリズリー熊などの攻撃で命を奪われることもある。
幸い(?)私の前には鹿しか現れず、襲われることもなかったけれど、いざという時のために死んだふりくらいは練習しておきたいと思った。
期待以上で大満足のブライスキャニオンを終え、宿に帰った私はベッドの上でゴロゴロ~。
すると、視界に何か動くものを発見。
「こ、これは…!? あのにっくき南京虫ではないか!! ぎゃあああああ」
今の私には野生動物の攻撃よりも、南京虫の攻撃のほうが恐怖! ちなみに死んだふりは効かないので、部屋を替えてもらいましたよ。
【This week’s BLUE】 ナバホトレイル。突き抜けるような青空とオレンジ岩のコラボが最高。
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】