昨年11月、フランスから上陸して話題の冷凍食品専門店「ピカール」。でも、日本の冷食も負けてないぞ

スーパーでの半額セールなど、味よりも安さがウリになりがちな冷凍食品。ところが、最近はより味にこだわった商品が次々に登場し、注目を浴びている。

そんな冷食業界の最新事情、そしてイチ押し商品を、冷凍食品に人生を捧げる“冷食おばさん”こと山本純子さんに聞いた!

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まさに黒船上陸だ。昨年11月、フランスの高級冷凍食品専門店「ピカール」が東京港区に日本1号店をオープンした。

店内には「カレイのムニエル」(税抜き1380円)、「エスカルゴのブルゴーニュ風」(同980円)、「冷凍フォアグラスライス」(同980円)など、いかにもフレンチ(!)な約200商品が並ぶ。

その大半が500円以上で、1000円以上なんてモノもゾロゾロ。一般的なスーパーに並ぶ国内メーカーの商品よりもかなり強気の価格設定だ。

率直に言って、週プレ的には冷凍食品なのにちょっと高すぎねえ? 売れんの?って感じだったけど、連日品薄状態が続くほどの人気となり、その影響で新店舗のオープン予定が延期になったという(その後、現在までに2号店、3号店がオープン)。

冷凍食品の情報サイト『エフエフプレス』を運営し、昨年『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演して話題となった“冷食おばさん”こと冷凍食品ジャーナリストの山本純子さんが解説する。

「ピカールはフランスでは国民的な人気を誇るブランド。同国以外にも欧州数ヵ国に店舗を展開していて、欧州以外での展開は日本が初めてとなります。実は2014年から『イオン』の一部店舗で商品は販売されており、約2年間の試験期間を経て今回の専門店の出店となりました」

外食などで気づかずに冷食を消費している

そう、今回は国内小売り最大手のイオンがフランスのピカール本社とタッグを組み、専門店をオープンしたのだ。

ピカールはお弁当向けではなく、食卓向けの商品が多いのが特徴。日本で冷食をお弁当ではなく食事に使うと“手抜き”と思われがちですが、ピカールは食卓向けのおいしい商品を次々に出し、フランスで女性サポート食品として市民権を得てきました。日本でも共働きの家庭が増え、家事に割ける時間は減りがちなので手軽な冷食需要は増えていて、イオンもここに注目したのでしょう」(山本さん)

実は、冷凍食品の国内生産額と海外輸入額を合算した消費総額(出荷ベース)は年々増加していて、15年には約1兆156億円、国民ひとり当たりの平均年間消費量は21・1kg。お弁当も作ってないし、家でも冷凍食品をそんなに食べないなんて人も多いだろうけど、山本さんいわく、「家で冷食を食べないという方も、外食などで気づかずにおいしく冷食を消費している」のだとか。

でも、いくらおいしいと言われても、ピカールの商品を普段使いするのは値段的にムリがある。じゃあ、国内メーカーの商品はといえば、スーパーでよく割引セールをやっていたり、「安いけど、味はそれなり」というイメージが強い……。

「確かに、以前は味よりも安さとバラエティをウリにしたお弁当向けの商品が多く、メーカーにとっても利益が確保しづらかった。しかし、近年はより味にこだわった食卓向けの商品も増えているんですよ」(山本さん)

“冷食おばさん”が選ぶ!マジでうまい、から揚げ

というわけで、“冷食おばさん”が選ぶ!マジでうまい冷凍食品を部門別にご紹介!

【から揚げ部門】●若鶏たれづけ唐揚げニチレイフーズ 348円甘酸っぱいたれが厚めの衣に絡み、食がススむ。「冷めてもおいしいんです」(山本さん)

若鶏たれづけ唐揚げ

●やわらか若鶏から揚げ味の素冷凍食品 328円「スパイスが効いたジューシーな肉の味わいが魅力」(山本さん)。衣は米粉配合で軽め

やわらか若鶏から揚げ

●国産若鶏の塩から揚げテーブルマーク 298円かつお&昆布だしが香るさっぱり後味。「やわらか肉と軽めの衣でつまみに◎」(山本さん)

国産若鶏の塩から揚げ

続いて、チャーハン部門のおススメは?

【チャーハン部門】●ザ★チャーハン味の素冷凍食品 398円「焦がしニンニク風味でパンチの利いた味わい。ボリュームも満点で男性向け」(山本さん)

ザ★チャーハン

●炒飯の極み[えび五目XO醤]マルハニチロ 358円「エビとタケノコの食感と香りは他社製品にはない豪華さ。私のイチ押しです」(山本さん)

炒飯の極み[えび五目XO醤]

●本格炒め炒飯ニチレイフーズ 258円「一昨年に30億円かけて新設備を導入。よりパラッとした仕上がりを実現」(山本さん)

本格炒め炒飯

★後編⇒餃子、麺類、スイーツ…“冷食おばさん”が選ぶ「マジでうまいイチ押し冷凍食品」

(取材・文/牛嶋 健[A4studio])

●山本純子(やまもと・じゅんこ)業界紙など冷凍食品の報道に携わること35年。冷凍食品解説の第一人者。テレビ、雑誌などのメディア出演のほか、自ら運営する冷凍食品情報サイト『エフエフプレス』 http://frozenfoodpress.com/で冷凍食品の最新情報を発信している