いよいよアフリカの旅のハイライトともいえる、タンザニアのサファリ「ンゴロンゴロ保全地域」と「セレンゲティ国立公園」へ。
2泊3日でお世話になる現地のドライバー兼ガイドさんとコックさん、それからノリの良いチリ人とスペイン人のツアーメイトとともに、サファリカーに乗り込んだ。
サファリの5大動物、『ビッグ5』(ゾウ、ライオン、ヒョウ、バッファロー、サイ)に会えますように! ワクワク…。
さて、まずは「ンゴロンゴロ保全地域」に到着。
ここには火山の大噴火によってできた直径20km、深さ600mのクレーターがあり、その中には2万5千頭もの野性動物が周囲と遮断され完結した生態系を作っているんだって。
クレーターを外輪のビューポイントから見下ろすと、そこは想像を超える巨大さで、広すぎるサバンナに自分のちっぽけさを感じる。
「豆粒サイズの黒い点はヌーの群れかしら?」。早く間近で見たくてソワソワしていると、「クレーターに入るのは最終日のお楽しみ! 先を急ぐぞ!」とおあずけされた。
ちなみに「ン」から始まるしりとりに役立ちそうな「ンゴロンゴロ」という名前、これはマサイ語で「巨大な穴」って意味なんだって。なるほど。
ンゴロンゴロの地域内にはマサイ族の村もあり、ガイドさんに「寄るかい?」と聞かれたが、ツアーメイトの答えは意外にも全員一致でNO。
「今は1秒でも早くサファリの動物たちに会いたい!」。誰もがそんな思いだったのだろう(今思えば寄ればよかったとちょっと後悔。でもその時の気持ち、大事!)
そんな最中、ついに! 最初に現れたのは「麒麟です」!…じゃなくてキリンです! きゃ~ん☆ 遠くのほうで首を長~くして歩いているキリンを見つけてテンションブチアゲ! なんのためにあるのかわからない独特なツノと、茶色くいびつなドット柄に「萌え」なんですけど~♪
すかさずカメラを構えキリンを狙うと、サササーッっとどこからともなくマサイ族が現れた! そしてサファリカーの目の前にきれいに列を作って並んじゃった!
観光客の撮影チップは彼らの収入源にもなっているため、写真に撮られようと集まってきたのです。「あ…ごめん。今撮りたいのは貴方たちではなく、キリンです…」。素朴すぎる彼らがキュートに思えたが、今はちょっとキリンに集中させて(笑)。
赤ちゃんライオンに遭遇!
柄物続きでお次に現れたのはシマウマのジブラ様。クッキリ鮮やかな白黒のシマ模様とプリっと上がったおケツは美しすぎて見惚れてシマう。
キリンやシマウマはその柄の派手さからか、やはり人気で、お土産屋ではあたかもビッグ5かのようにグッズが売られていた。なので、旅人たちはたびたび「ビッグ5ってどの動物だっけ? シマウマ入ってるっけ?」という会話になる(笑)。
いきなりの大物続きで興奮冷めやらぬ中、お隣のサファリ「セレンゲティ国立公園」に到着。セレンゲティはマサイ語で「果てしなく広がる平原」という意味で、なんと四国がすっぽり入るほどの広さ。
ここからは本格的なゲームドライブ(野生動物を探しゆっくりドライブすること)が始まる。広いサバンナの中で保護色の動物を見つけるために、私たちは目を凝らし遠くを見つめ、鳥の鳴き声に耳を澄ませた。
すると、静かに現れたのはアフリカゾウの群れ! 4トンの身体のデカさを誇る彼らの悠然たる歩きはさすがの貫禄です! 車をかなり近くまで寄せ、息を潜めてジーっと見つめていると、たまにこちらをチラ見してくれるのが妙に嬉しかった。
夜はサファリの満点の星空の下、野生動物の遠吠えを聞きながらテントで1泊。私はまんまと風邪をひいてしまったが「ハクナマタタ(なんとかなるさ)」。
翌日も早朝からゲームドライブが始まると、なかなかお目にかかれないと聞いていた百獣の王ライオン、しかもチビたちを引き連れたファミリーに出会った! 子供を連れているからか母親ライオンは威嚇していたけれど、距離があり怖さはないので「心配ないさ~!(『ライオンキング』のミュージカル風に)」。
続いて、木の上にネコ科の大型動物ヒョウを発見! 夜行性のためか、真下にいるバッファローを襲うこともなくゴロゴロ居眠り。ところでバッファローはお顔がちょいおブスで(笑)、頭のツノは昭和の髪形を彷彿(ほうふつ)とさせるモッサリした形でちょいダサでした。
他にもインパラやガゼル、カバ、マングース、イノシシ、ディクディク、名前のわからない動物などたくさん出会った。
スリル満点かと思っていたサファリは意外にもほのぼのしていたが、それにしてもさすが本場。
簡単にビッグ5の内の4種(ゾウ、ライオン、ヒョウ、バッファロー)を制覇し、残すところは絶滅危惧種に指定されている貴重な動物サイだけとなった。
マサイ族がおでこに貼った白いものとは…
最終日、ンゴロンゴロのクレーターに入ると、ここもまたとにかくシマウマがあふれていて、シマシマで目がチカチカする!
ハイエナがバッファローの群れと睨み合うシーンでは、人間たちが固唾(かたず)を飲んで見守っていたが、両者は距離を測るばかりでバトルにまでは行きつかず。
それから「神は余りものでヌーをお作りになった」という言い伝えがあるヌーは、牛のような顔、馬のようなたてがみ、ヤギのようなヒゲを持ち合わせていた。
カバは自分たちの住む水の中でウンチやおしっこをするため、なかなかのにおいでしたが、その水に顔をうずめているなんて、カバのバカ! そして普段は全く興味のない鳥も、アフリカならではといった独特で派手な見た目で見応えがあった。
目まぐるしく数々の動物を観察していると、ついにサイが現れた――!
生息地の消滅や密猟のため、急速に数を減らしているサイの数はいまや約20頭しかいないそうで、遭遇できたのは超ラッキー。身体に鳥が止まっているサイは岩のように動かず、遠くに1匹だけでポツンといて、このまま絶滅してしまうのでは…と思わせる、どこか寂し気な雰囲気だった。
こうして、なんとかビッグ5を達成した私たち。初めのうちは遠くに1匹いるだけでワーキャー騒いでいたけれど、贅沢なもので、あまりに感動的な景色が続くとマヒしてしまい、終盤では目の前にいるシマウマも素通りしていた。
とうとう飽きてしまった私たち人間は、キリンとゴリラのお面をつけて自分たちが動物になりきり、逆に人間を観察することにした。
通りすがるキャンピングカーの人々に対し、突然、窓から顔を出したり、キリンがゴリラの首を絞める闘いシーンや、「ハクナマタタ~♪」と歌うプチミュージカルを披露したり。驚いたり、笑ったりしている人間たちを見て、「動物も素敵だけど、人間観察も面白いね!」と大盛り上がり。
そして気付くと、私は風邪が悪化して高熱が出ていた。
帰り道ではグッタリして車窓を眺めていると…「え! マサイ族がオデコに何か白いものを貼っている…。何アレ? 冷えピタ?」
冷えピタなら1枚分けてほしい…。ううう、苦しい、100ヵ国制覇を目前に、絶滅寸前のマリーシャなのでした。
【This week’s BLUE】 カンムリヅルの鳴き声は「オワリ!オワリ!」でした。聞いた時は日本語すぎて大爆笑。ってことで、今回はここでオワリ! オワリ! また来週~!
★旅人マリーシャの世界一周紀行:第151回「アフリカの楽園ザンジバル島の“牛”ビーチ。体調不良もブっ飛ぶマジックが?」
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。バックパックを背負 う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】