日本ではメガネに苦手意識を持つ人も多いけれど、本当に自分に合ったメガネに出会えば印象はグッと上がり、モテにも大影響を与えるという。
前回に引き続き、眼鏡スタイリストで『あなたの眼鏡はここが間違っている』著者の藤裕美(とう・ひろみ)さんに、より具体的なメガネの選び方から健康への影響まで伺った。
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―よく、丸顔とか面長とか、顔の形によって似合うフレームがあると聞きますが、それは本当なんでしょうか?
藤 顔の形によるセオリーはありません。かけるメガネで印象が変わるので、どうなりたいか?のメガネ選びが大事です。とはいえ、サイズ感や自分の顔の特徴を理解しているとメガネ選びの成功率は上がってきます。耳の高さ、顔の大きさ、鼻の高さ、目の位置などの顔の特徴によって、チェックすべきポイントがあります。
例えば、離れ目なのか? 寄り目なのか? 目と目の間の距離は重要です。メガネをかけた時にレンズの横幅に対して、目の位置がどこにきているのかを意識してチェックしてみてください。レンズの横幅の中心に黒目が来ているのが基本です。
また、メガネが浮いたり、奥まで入らずにこめかみで止まったりしても、フレームの幅を変えられるメガネも多いので、諦めずに店員さんに聞いてみましょう。顔が小さい人は、欧米のブランドを中心に探すとサイズが合うものが見つかりやすいです。今はキッズフレームもデザインは大人と変わらないものがたくさん発売されていますので、検討してみてもいいでしょう。
―サイズ感をクリアして、いろんなメガネをかけても決め手に欠ける場合は?
藤 店員にタイプの違うメガネを4、5本選んでもらって、かけ比べてみましょう。いいと思ったメガネはキープ。顔だけで判断するのではなく、全身を鏡に自分を映してファッションに合うかもチェック! 客観的に見るためにスマホで写真を撮ってみるのもオススメです。
―あと、大体、お値段的にはどのくらいのメガネがいいのでしょうか?
藤 フレームもレンズも、値段と品質はほぼ比例しています。個人的にはフレームのみで3万円が目安となると考えています。3万円未満のものはどうしてもトレンド感のあるデザインが多く、トレンドが過ぎ去った時に使わなくなる可能性も。3万円以上になると、品質も良くデザインの選択肢もぐんと広がり、長く愛用できる自分らしいメガネを手にできますよ。理想を言えば、レンズにもこだわり、質の良いものを25歳以上になったら持っていただきたいと思いますね。
―何年も毎日使うと考えるとコスパは悪くない? ちなみに藤さんから見て、この人はメガネ選びが上手いなーって著名人はいますか?
藤 小堺一機さん、鈴木浩介さん、ARATAさん、片桐仁さん、高橋一生さんなど。まず、フィッテングとサイズ感が合っている。目とレンズのバランスも合っているし、メガネがずり落ちていたり、こめかみに食い込んでいることもない。皆さん、タイプの違ういろんなメガネをかけていますが、メガネだけが悪目立ちすることなく、かけるメガネによって違った魅力を感じます。トレンド感も押さえつつ、トレンドど直球に見えないのもメガネ選びがうまい人の共通点です。
―なるほど。では、一般男子にとってのモテメガネとは?
藤 ズバリ、「異性から話しかけられるきっかけになるメガネ」です。メガネは初対面の人でも目につきやすいので、「そのメガネ、素敵ですね」とか、女性から話しかけられることだって十分ありえます! というか、むしろメガネはそういうことに大いに役立つんですよ。
ポイントは“さりげなく技あり”なデザインを選ぶこと。具体的には、かけた時は普通に見えるけれど、外すとちょっとした遊び心があるデザイン。あるいは、定番色ではなくグラデーションやダブルカラーなどちょっとだけ派手な色のフレームだったり、素材に木や皮などの天然素材が使われていたりすると、女性も興味を持つと思います。
かなり主張するメガネを選び、アピールしている人もいますが、女性にモテたいなら、あくまでも“さりげなく”がポイントで、自分の雰囲気に似合うか店員さんに相談してみるのも大切です。
“さりげなく技あり”なデザインを選ぼう
―メガネを変えたら彼女ができた!とか、そんな話もありそうですね。
藤 そんな話、よくありますよ。メガネを変えたら婚活に成功したとか彼女ができたとか。女性は雰囲気で男性に惹かれる人が多い。男性はメイクをするわけではないし女性と違って簡単に化けることができないので、メガネの力で印象を変えるのはとても重要ですよ。
―ちゃんとしたメガネをかけることで、目の疲れだけでなく抜け毛や肩こりも解消されるということには驚きました。
藤 目と体の不調はかなり密接です。視力の変動は加齢とともに切り離せない問題で、そもそもメガネは医療器具です。そのため、買ったらそのままかけっぱなしではなく、定期的に視力検査を行なってメンテナンスをするとベスト。自覚症状なく視力が変化し、過矯正になっていることも非常に多いです。
スマホやPCなど、現代は目を酷使する生活スタイルに変わっています。そのため、眼精疲労で血行不良が起こってドライアイ、肩こり、抜け毛のなどの不調に繋がります。
―メガネって、かけているとそれなりに疲れるものだと諦めていました。
藤 本当に合っているメガネは疲れることはありません。特に老眼の初期症状が始まる30代後半からは要注意。人生の半分は老眼です。目薬が欠かせない、やたら目が疲れるなどの自覚症状がある場合は、早めに視力検査をして、メガネの新調もしくはレンズ交換を検討してみると、格段に調子が良くなり、仕事の作業効率も上がる人が多いです。
モテメガネという観点だけでなく、医療器具としてもきちんと認識し、自分に合ったメガネをかけることで、よりよい人生が過ごせるというわけだ。記者も今までなんとなく眼鏡を選んでいたひとりですが、年相応に良いメガネ購入を検討するか、と考えた次第です!
(取材・文/河合桃子 写真/『あなたの眼鏡はここが間違っている』[藤裕美・著 講談社刊]より転載。撮影/井上孝明)
●藤裕美(とう・ひろみ) 1977年、福岡県生まれ。眼鏡スタイリスト。10年間、眼鏡店で働きながら彫金技術を学び、24歳のときに店長としてショッププロデュースを担当。07年にドイツへ渡り、眼鏡ブランド「frost」に勤務。作り手側からも眼鏡の知識を深める。帰国後、眼鏡の魅力を伝えるため、眼鏡スタイリストとして活動を開始。著書に『あなたの眼鏡はここが間違っている 人生にもビジネスにも効く眼鏡の見つけ方教えます』(講談社) 。公式HP「眼鏡予報」 http://glasses-o-o-brille.com