名鉄の写真を撮っていたときに、外国人の方を英語で案内しました(笑)

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。実は名古屋生まれの彼女が紹介する、ちょっとディープな名古屋とはーー?

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少し前に、私が生まれた街・名古屋のことを紹介しました。名古屋の地理的利便性や、とんちゃん、名古屋おでんなどの名古屋めしについて語ったんですが......知り合いから「情報が薄味だった」と言われてしまいました(苦笑)。そこで、今回は少しディープ(?)な名古屋を紹介したいと思います!

まず、名古屋に行ったら絶対に立ち寄ってほしいのが、名鉄(名古屋鉄道)の名古屋駅。名鉄最大のターミナル駅だけあって、一日約900本の列車が行き来する大きな駅なんですが、構内の線路は上りと下りのたった2本だけ。

ここから、岐阜方面や知立方面、中部国際空港(セントレア)方面など6方面に向けて電車が発着します。これだけでちょっと混乱しそうなんですが、すごいのはここからです。

たとえ方面が同じでも終点によって行き先が細かく分かれており、その数、なんと30種類。さらには普通・準急・急行・特急などの種別も存在するので、とんでもない種類の列車が2、3分おきに次々とやって来ることになります。

たった2本のホームに入ってくるこれらの列車に乗客はどう対応するかというと......列車ごとに乗る位置が決まっていて、それぞれ行きたい駅ごとに違う場所に並ぶんです。慣れればなんてことはなくなってしまうんですが、普段この名鉄名古屋駅を使わない人からすると相当なカオスですよね。

東京でも上野東京ラインが若干近いことになっていますが、この名鉄名古屋駅の複雑さは日本一だと思います。あまりにも情報が多すぎて、アナウンスする駅員もちょっとDJっぽくなってるくらい(笑)。

7月に大相撲名古屋場所を取材した際、用もないのに名鉄名古屋駅の中をぶらぶらして写真を撮っていると、外国人の方に声をかけられました。アメリカからやって来た観光客のようでたどたどしい日本語で、どの電車に乗ればいいか質問してきたのですが、私が英語で説明してあげるとすごく喜ばれました。

よくよく考えたら、名鉄名古屋駅を英語で完璧に案内できるアメリカ育ちのハーフって、世の中にほぼいないと思うんですよ(笑)。人生で初めて「人の役に立てた!」と思ったくらいです。いっそのこと、名鉄名古屋駅でボランティアでもやりたいですね。

このへんで、最近ハマってる名古屋めし情報もお伝えしたいと思います。私も今回の名古屋出張でハマってしまって、3日で2回行ったのが「ホルモン 焼肉 セジョン」。

市内に何店舗かある有名な「セジョン」という焼き肉屋さんが新しく出したホルモン専門店なんですが、食べ方が独特なんです。ジンギスカン鍋でホルモンを焼きながら、たっぷり油の染み込んだ周りの野菜と一緒にお肉をいただきます。タレは濃い目で深みがあり、思い出すだけでよだれが出てきそう。

また、名古屋発祥の台湾ラーメンの進化型「皿台湾」という汁なしラーメンを提供しているラーメン店が「人生餃子」。もともと店員さんの賄い飯だったそうなんですが、麺の上に大量にのせられたシャキシャキのモヤシが絶妙です。

2度3度と名古屋に行っている方は、ぜひこれらの新・名古屋めしをお試しください。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21:00~)、MBSラジオ『市川紗椰のKYOTO NOTE』(毎週日曜17:10~)などにレギュラー出演中。新幹線の座席を倒すときに声をかけるかというマナー論争は、最初から座席を倒した状態にしておけば解決すると思う

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!