猫じゃらしに全く反応しない猫たちにとまどう私 猫じゃらしに全く反応しない猫たちにとまどう私
ロシアといえば猫。

かの有名な世界三大美術館エルミタージュには70匹の猫が住み、警備員として美術品をネズミから守っているというのは本当の話。その中でも耳の聞こえない白猫「アキレス君」は、昨年のロシアW杯で勝敗を予言する猫として話題となった。

そんな話に象徴されるように、ロシア人の猫愛は世界でもトップクラス。独ダリア・リサーチ社によると、世界で一番猫好きの国はロシアで、家でネコを飼っている割合が人口の59%にも達したんだとか(ちなみに日本は48位)。

2013年には日本の秋田県庁にプーチン大統領からシベリア猫が送られた。ロシア語で平和という意味の「ミール君」という名で、日本とロシアをつなぐ架け橋として人々に愛されている。

そんな何かと猫の話題が豊富なロシアであるが、サンクトペテルブルクにはエルミタージュ美術館でお勤めを終え引退した猫たちが集まる場所があると知り、行ってきた。

街中に突然あらわれた猫の銅像 街中に突然あらわれた猫の銅像 猫の銅像やイラストの描かれた猫カフェ外観 猫の銅像やイラストの描かれた猫カフェ外観

そこは「The Republic of Cats Cultural and Museum Complex(猫共和国文化博物館)」という場所で、つまり猫カフェだ。

ドアを開けると初めに受付で「入国手続き」。パスポートなるショップスタンプカードに名前や年齢などの個人情報を書かされた。

「年齢は7で割った、猫年齢を記入してくださいね!」

隠しているわけではないのだが、なんとなく年齢非公開の私。子供の頃、雑誌『りぼん』で連載されていた『ねこ・ねこ・幻想曲(ファンタジア)』という少女漫画に夢中だったと言ったら、世代がバレるだろうか。

猫年齢は適当に5歳と記入した。

猫共和国パスポートとコペイカ硬貨 猫共和国パスポートとコペイカ硬貨

「猫共和国のVISA代は400ルーブル(約700円)です!」

会計を済ますと、「コペイカ」という硬貨を一枚渡された。カプチーノならぬキャットゥチーノなどのドリンク1杯か、猫のイラストが描かれたスーベニアに交換できるそうだ。

疑似通貨かと思ったら本物のお金で、1コペイカ=0.02円弱と価値が低く、日常ではほぼ利用されないロシアの最小単位の通貨だった。

キャットゥチーノやキャテラテなど、猫っぽい名前にしたコーヒー キャットゥチーノやキャテラテなど、猫っぽい名前にしたコーヒー

それから靴にシャワーキャップのようなビニールカバーを付け、手を消毒したら、二重扉の中へ。

「3つ数えたらミャオミャオミャオと唱えてくださいね!」

壁には世界の猫の鳴き声を描いたイラストが飾られていたが、多少スペルは違えど「ミャオ」と表現する国は多く、日本の「ニャー」はどうやら珍しいようだ。

世界の猫の鳴き声。日本の「ニャー」は珍しいかも? 世界の猫の鳴き声。日本の「ニャー」は珍しいかも?

ウェルカム、猫共和国へ! ウェルカム、猫共和国へ!

「ミャオミャオミャオ!」

ギィィ~。

扉が開くとモダンなインテリア家具の置かれたオシャレ空間に大量の猫! 20匹以上いるだろうか、ネコカフェ初体験の私は、まずはその数とただ単純に猫のかわいさに興奮!

「きゃ~ん! カワイイにゃ~!」

私は犬や猫などの動物は好きであり、友人宅のペットなどにもなつかれるほうだ(と思っている)。なので、自身満々に猫に近づき、普段のようにじゃれてもらおうと思ったのだが......。

そんな私のテンションとは裏腹に、妙に沈黙を保つ猫たち。そっと手を伸ばすと、嫌がる様子を見せずに触らせてくれるが無反応。もともと猫というものはそっけないが、この猫カフェの猫はことさら塩対応に感じた。

猫たちは遠くを見つめ、顔を近付けて視界に入ろうとしても、焦点を外している。

「まさか猫までがロシアの"笑わない文化"を慣習としているのだろうか」なんて思ったけれど、「猫が目をそらすのは敵意のない証拠」なんだそうだ。それにしてもねこじゃらしを振っても全く相手にしてもらえないのはちょっぴり切ない。

猫のポーズで絡んでみるが逃げられた 猫のポーズで絡んでみるが逃げられた 遠い目をして焦点を外す猫 遠い目をして焦点を外す猫

私の他には母娘のお客さんだけであったが、みんな猫たちにストレスを与えないよう絡みをなるべく最小限にとどめ、そーっと、猫共和国を楽しんでいる。

その中で特に目をひいたのは、日本ではあまりお見かけすることのない珍しい猫たち。

ミール君と一緒の種類であろう、シベリア猫(正式名称サイベリアンフォレストキャット)は、首元の長い毛がまるで貴族が付けているジャボというヒラヒラ襟のよう。

多分これがシベリア猫。正式名称は「サイベリアンフォレストキャット」。「サイベリアン」とも呼ばれる 多分これがシベリア猫。正式名称は「サイベリアンフォレストキャット」。「サイベリアン」とも呼ばれる

そして、耳が短く鼻ペチャで顔が埋もれてしまっているようなブサカワな猫はエキゾチックショートヘアかしら。

漫画『ドラゴンボール』のビルス様のモデルになったというコーニッシュレックスは耳が大きくスレンダーな体に縮れ毛の突然変異種。

無毛でグレーの肌をしたスフィンクスはSF感が強く、まるで宇宙人みたい。するどい目つきはなんだかちょっと、おそロシア......!(コレ言ってみたかった)

顔が埋もれているブスカワ猫はエキゾチックショートヘアかしら 顔が埋もれているブスカワ猫はエキゾチックショートヘアかしら

この子コーニッシュレックスだと思うんだけど、違ったらゴメンナサイ この子コーニッシュレックスだと思うんだけど、違ったらゴメンナサイ

SF感の強いスフィンクス SF感の強いスフィンクス

ところで、ロシア人の猫好きになったきっかけのひとつに、第2次世界大戦があるという。当時、食糧不足に陥ったロシアの人々は猫まで食べたというが、その結果ネズミが増え伝染病が蔓延した。その後、国外からやってきた5千匹の猫が、ネズミ退治をして人々を救って以来、猫が英雄として扱われるようになったというが......。

スフィンクスに見下ろされた時、その表情が怖すぎて、今度は人間が食われる番かもなんて思ったりした。

「人間め! おまえをエサにしてやろうか!?」

「人間め! おまえをエサにしてやろうか!」と言わんばかりの顔 「人間め! おまえをエサにしてやろうか!」と言わんばかりの顔

【This week's BLUE】
黒目のまわりのブルーが美しい猫

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●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】

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