「死ぬまでに見たい」といわれる絶景、私の目の前にあります! 一体どんな!?

友人たちとアイランドホッピングを堪能した私はまた一人旅に戻り、バリ島からジャワ島中部に位置するジョグジャカルタへと飛んだ。

ジョグジャカルタは世界遺産ボロブドゥール寺院遺跡群やプランバナン寺院などで有名なインドネシアの古都で、京都府と姉妹都市関係が結ばれている。

その名は「平和の町」という意味だったが、予約していた宿はダブルブッキングだったようで追い払われ、私にとってはさっそく心中平和ではない。メインストリートのマリオボロ通りを進み、別の宿へと向かった。

きれいに整備されているマリオボロ通り

路地裏にはバンクシー意識の絵にさらに味付けした感じのアート。ピカチュウいる!

急遽別の宿、「SNOOZE」へ。英語も通じるしスタッフもナイス!

無事、宿にチェックインすると、近くにジャワ島名物料理のグドゥッ屋が並ぶ通りがあると知る。その料理がどんなものか知らないが、せっかくなので挑戦してみよう。

グドゥッ屋では英語がほぼ通じなかったので、メニューで値段だけ確認して注文した。自分が何を頼んでいるのかわからなかったが、「安心してください。私、好き嫌いありませんから」。

すると出てきたのは、葉っぱに置かれた「足」だった。「爪」もある。ナニコレ、アヒルのつま先? あと米。そしてその横にオレンジ色の餡のようなものが添えられている。どうやらこれがグドゥッの正体。

グドゥッはパラミツ(ジャックフルーツ)という巨大な果物をココナッツミルクやパームシュガーなどで煮込み、鶏肉と合わせた煮物料理だそうだ。鶏の部位は選べるが、私は旅人らしく安いメニューを選んだので足が出てきたってわけ。味は日本人にはけっこう甘め。佃煮感覚で米と混ぜて食べた。

グドゥッのお店が並ぶウィジラン通りジャワ島名物料理グドゥッ。鶏の部位は選べる

店内。カレンダーの数字が縦並びなのが気になる

翌日は宿で出会った人懐こくてかわいらしいマレーシア女子とおでかけ。「私の名前はイェン。日本の円と同じよ!」覚えやすい名前だ(笑)。

私たちは水の宮殿タマンサリへ向かった。そこは1758年に建設された王室専用の庭園。スルタンに仕える女官たちの沐浴場として建てられたそうだ。

建物の3階にあるスルタンのプライベートルームの小窓からは、女官が水遊びする姿が見られるようになっていて、スルタンはこの小窓から夜を共にする女性を選んでいたんだって! そしてお気に召した女性と過ごしたというベッドもあって、なんだかエロティックな妄想が膨らむが......。

水の宮殿タマンサリの沐浴場

スルタンはこの窓から覗いてたんだね......

スルタンが瞑想をしたという神秘的な地下井戸

妄想なんかしている場合じゃない。ジョグジャカルタに来たからには、アメリカCNNの『死ぬまでに見たい27の絶景』で第1位に選ばれたというボロブドゥール遺跡のサンライズを見なければ! 

そのためには、遺跡公園内にあるマノハラホテル主催のサンライズツアーに参加する必要がある。遺跡公園に朝4時30分に集合し、開園時間の6時前にサンライズを拝むというものだ。

私は宿でツアーに申し込み、ほぼ寝ずに朝3時半頃、迎えの車に乗った。今度はマレーシアから来ていた男子ウェインと一緒だったが、眠すぎて交わした会話は少し。

「マレーシアの国教はイスラム教だよね? 仏教の遺跡にも興味があるの?」「僕は宗教はないよ。それに中国系だから、しいて言うなら仏教寄りかな。ところで今から行く寺院遺跡だけど、男性は仏像の右手薬指、女性は仏像の足の裏を触ると願いが叶うんだってよ!」

マノハラホテルに到着し受付を済ませると懐中電灯を渡された。芝生の道を照らしながら抜けていくと、暗闇には高さ33.5mの上品なボロブドゥール寺院遺跡が現れた。

作りは低層のピラミッド型といった感じで、世界最大級の仏教寺院と聞いていたのでとてつもなく巨大なものを想像していたが、静かに佇んでいる様子はカンボジアのアンコールワット遺跡群に比べると控えめに感じる。

8世紀半ばから9世紀半ばにかけて作られ、1814年に発見されるまで火山灰で埋まっていたという不思議な遺跡だ。階段を頂上まで登りつめると、霧の中にニョキニョキとした仏塔があり、その先には平原が遠くまで続いている。幻想的な仏教の世界の景色が広がった。

先の尖った72基の仏塔はまるで地中からニョキニョキと生えてきたみたいな形

遺跡の構造は仏教の三界(人間のいる欲界、神と人間が触れあう色界、神のいる無色界)を表している。上へ登るにつれ、欲望や罪悪に満ちた煩悩世界から、禅定(ぜんじょう)に達した世界へと移っていくとされ、悟りをめざす菩薩の修行を表現しているのだそうだが、「ふむ。私はとにかく今、睡眠の欲がすごいよ。サンライズまだかな。ムニャ......」。

しばらくしてやっと空が色づき始め、ついに太陽が昇るが......。「え! あれ太陽? なんて奥ゆかしい!(笑)」

その太陽の姿といったらオレンジ色の小さな点。仏塔の先からイクラがポロリと飛び出したような、そんな太陽であった。

絶景サンライズと聞いて思わず太陽をメインにイメージしてしまったが、『死ぬまでに見たい27の絶景』は直訳では「地球の素晴らしさを思い出させる27の光景」であり、朝焼けをバックにした仏教遺跡の幻想的な光景が評価されたのだろう。

こ、これが!『死ぬまでに見たい27の絶景』第1位! 太陽は私の想像よりはるかに奥ゆかしい

仏塔の先から飛び出したイクラがポロリとこぼれ落ちたのかと思ったよ!

「でも、せっかく来たのになんか物足りない。そうだ! せめて願いを叶えてもらおう!」

無色界の景色を前にしても、全く欲界から抜け出せていない私はなんとか元を取ろうと、例の願いが叶う仏像を探した。すると、その仏像はひとつだけ仏塔から顔をあらわにし、静かに遠くを見つめていた。

いざ近づくと、仏像の足元は少し仏塔によじ登らないと届かなそうな距離なうえ、この日に限ってだろうか、誰も触っている人などいない。空気を読んで、私は直接触らずに写真でエアタッチに留めた。

「しかしこの気持ちをどこに......」。まだ何か諦めのつかない私は、ツアーに含まれるホテルの朝食ブッフェを3回おかわり。食欲を満たして帰ったのだった。

煩悩だらけか!(そのあと宿の朝食も食べた)

後ろから見るとなんだか哀愁が漂う仏像

仏像の足にエアタッチ。これじゃ願いは叶わないかなー

全景。高さはもともと42mあったが、現在は破損して33.5mだそう

【This week's BLUE】
水の宮殿タマンサリの地下井戸が、妙にゲームの世界のバトルステージっぽい。自分が戦う勇者にでもなったかのような気分。みんなDQウォークしてる?

★旅人マリーシャの世界一周紀行:第241回「混沌とする首都ジャカルタ、カプセルホテルの住人たち」

●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】

★『旅人マリーシャの世界一周紀行』は毎週木曜日更新! ★

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