バルセロナで数日間、彼女の部屋のソファで寝かせてもらいます! 

バルセロナは過去に何度も旅をしているので「またか」と思われるかもしれないが、玄関口だから仕方がない。今回の私の目的はスペイン北部サンセバスチャンなのだ。

スペインの中でもサンセバスチャンは世界屈指の美食の街として名高く、皆が口を揃えて絶賛する。「旅人として行ったことがないなんて、あるまじき行為!」と思っていたからね!

さらに、今回スペインに来た理由はそれだけではなく、きっかけになったのはチリ人男子の旅友ゴンジーからの誘いだった。

「俺はスペインに行く! おまえも来いよ! サファリで一緒だったアナに会いに行こう!」

ゴンジーと出会ったのは2年前のタンザニア。私が2泊3日のサファリツアーに参加する際に、現地ツアー会社で働くオボニョ君が「チリ人とスペイン人は日本人と相性良いから」とマッチングしてくれたのが彼だった。

ゴンジーとタンザニアのサファリにて。右はキリンのお面でやる気満々な私

アナは同じくサファリツアーで出会ったスペイン人女子で、現在バルセロナ在住。元々バレーボール選手だった高身長の美人で、私はサファリの後もザンジバル島で再会したり、誕生日にはビデオレターを送りあったりと、SNSでのキーピンタッチ(Keep in touch)は続いていた。

同じくサファリで出会った長身美人のアナと

ゴンジーからの突然の誘いに、私は「調整します」と、普段東京で会食に誘われた時と同じようなフットワークの軽さで答え、その後しばらく放置していたが、時期が近づくと当たり前のように飛行機のチケットを探していた。

実はゴンジーからは前年も連絡があり、「日本行くから家に泊めてね!」と言われていた。「OK! 必ず、調整します!」と、私はもちろん日本にくる彼をウェルカムする気満々だったのだけれど、しかし、彼が日本へ来る直前のことだった。

私は、予想だにしなかった、突然の大失恋という人生に置ける最大のアクシデントに遭遇したために、誰かをケアしている余裕なんかなく、もうすでにアジア圏にいる彼をドタキャン。そのせいで彼は日本に来なかったのである。

だから、私は彼になんとなく罪悪感があって、今年こそは会わないと......と思ったのだ。

エスパーニャ広場にあるラス・アレナス ショッピングモールは元闘牛場

そんなこんなで、スペインのバルセロナに到着。私はゴンジーの旅程にスケジュールを合わせていたけれど、彼は南米人らしく(?)、直前に日程変更で来ることになったので、先にアナの元へ。

空港でSIMカードを購入し、エアポートバスに乗ってエスパーニャ広場で降りると彼女の家はそこから歩15分と好立地であった。

彼女の家に向かう途中のピザ屋と通りすがりのおじさんが絵になる

「うわぁぁぁ! マリーーー! ウェルカム! 元気だった?」

彼女は久々に会う私を、ものすごいテンションとハグで迎えてくれた。

「アナ! 会いたかった! けど今ハグはダメ! カタールで40度の炎天下を歩いて汗びっしょりのままフライトだったの。とりあえずシャワー貸して(笑)」

東京の家を出発してから45時間以上か。やっと、落ち着ける。

アナの部屋、オシャレ! まずは到着ビールで旅本番のスタートに祝杯をあげる

彼女は久々の私にすんなり合鍵を預け、愛犬のアイカにキスをすると仕事へ出かけた。私は今日からこの部屋で数日間、彼女のソファで寝かさせてもらうのだが、

「何ここ......天国?」

部屋のリビングは十分に広く、私のサイズなら5人くらい寝れそうな大きいソファともうひとつ小さいソファとコーヒーテーブル。

ダイニングテーブルにはパソコンが置かれ、ワークデスクと兼用。そして広いL字のキッチン。大きな本棚と、観葉植物、旅先の写真や置物、絵などが飾られていてお洒落だし、ベッドルームは別にある。

スペインの太陽がさんさんと降り注ぐテラスにもまた、ソファと木製テーブルと椅子があり、ゆっくり落ち着けるチルスペースとなっている。

ああ、私の日本のワンルームでのひとり暮らしとは大違い......。理想の暮らしがそこにあった。

テラスにさんさんと降り注ぐスペインの日差しが気持ちよすぎる

しかし、実はこの部屋は彼女の部屋ではなく、友人が現在コスタリカに旅をしている間、間借りしているそうだ。気になる家賃は厳密には聞いていないが、バルセロナの物価はスペインの中でも高く、ひとり暮らしの家賃相場というものは700~1000ユーロ(約8万5千~12万円)というところ。この部屋は立派なのでもう少しするのではないかと思う。

さて、州政府で仕事をしているアナが夕方頃帰宅すると、近所のスーパーでアイスやおすすめのチョコレートドリンクとガスパチョを購入し、テラスでひと休み。まだスペインの空は昼のように明るく、本当にスペインは太陽の国だと思った。気持ちがイイ。

彼女がオススメするブランドのガスパチョはエスタムイリコ!(美味しい!)

それから私たちはアナのバイクに2ケツして、ムンジュイックの丘へ出かけた。

オリンピックスタジアムやムンジュイック城の前を歩きながら、女子ふたりの近況報告はもちろん恋愛の話。女子だけの会話は遠慮がいらない。私たちは昔の男のグチを話しながら歩いた。ところで足の長い彼女の歩幅と比べて、私は倍は歩いているだろうから、息が切れた。ハアハア。

ムンジュイック城には目もくれず恋愛トークに白熱

そして夜はアナの友達と合流すると、それはカウチサーフィンでコンタクトを取っていたというドイツ人の男女ふたり組だった。

カウチサーフィンは元々は旅人が無料で寝床を提供してもらうためのマッチングサービスであったが、最近はハングアウトするだけ(ちょい飲みしたり、ただ会って遊ぶだけ)というのもだいぶ主流の使い方となっていて、旅先では地元の人に、街案内をしてもらうのも当たり前。つまりアナと彼らは初対面だった。

彼女はこうやって自分が旅をしていない時は、逆にスペインに旅をしにくる人のケアをしながら、いろいろな国の新しい友人との遊びを楽しんでいた。

彼氏がいなくても、素敵なひとり暮らしと世界からやってくる旅人たちとスペインの太陽があれば、毎日が目まぐるしく楽しいだろう。

まだここに着いて1日目だが、旅の直前に東京でくすぶってた私にとって、スペインの芝生は青くまぶしく、アナの暮らしに憧れた。

なんだか私は住みたい場所を見つけてしまったかもしれない。

カタルーニャ美術館前の大きな噴水。一番左がアナ

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。コラム連載は5年間半を超える。Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】
女子2人組ユニット「地球ワクワク探検隊」としても活動。Youtube配信や国内外各地のPR活動、旅先のお酒やお話を提供するイベント「旅するスナック」を月2回、東京・虎ノ門で開催。
【https://www.youtube.com/channel/UCJnaZGs8hyfttN9Q2HtVJdg】

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