バルセロネータビーチでダンスデビュー! フィニッシュのポーズ決まってる?

バルセロナにあるバルセロネータビーチ

ここは私にとって思い出の場所で、2008年、私が初めてバックパッカーでヨーロッパを周った時に、ドミトリー宿で知り合った仲間たちと行ったビーチだ。

当時、そこでは中国人らしきおばちゃんらがマッサージの勧誘にビーチを歩き回っていた。海外で何か珍しい体験がしたかった私はそれにトライ。5ユーロを支払い、砂浜に敷いたバスタオルの上にうつ伏せになると、ビキニの背中の紐を外されてマッサージされ、なんだか落ち着かなかったのをよく覚えている。

2008年にバックパッカーの旅でバルセロナに来たとき

おばちゃんにビキニの背中の紐を外されマッサージされる

その後もバルセロナに来る度にここへ海水浴に来ていたが、今回は現地在住のアナと、いつもと違う目的でやってきた。

「マリーーー、今日はビーチでダンスを踊ろう!」

アナに誘われた私はてっきり、ビーチフロントのバーみたいなところでカクテルでも飲みながら踊るのかと思っていたが、たどり着いたのは普通にビーチの一角。

ランドマークとなるレベッカ・ホーンの建築『傷付いた星』のすぐ近くのスペースで男女が手をつないで踊っていた。

ビーチに鎮座する、レベッカ・ホーン作『傷ついた星』

それは、カタルーニャ州全体にダンスを促進する非営利団体BCNSwing協会が行なっているイベントで、社交ダンスをする人々の集まりだった。

「マリ、今日のダンスはブルースよ。踊ったことある?」

「え?? ブルースって踊りあるの? サルサとかじゃなくて?」

私は子供の頃からクラシックバレエやジャズダンス、ストリートダンスにフラやタヒチアンまでやってはいたものの、社交ダンスに手をつけたことはなかったし、まさかブルースのダンスがあるとは知らなかった。

調べてみると、ブルースは最も簡単に踊ることのできる社交ダンスのひとつらしいが、パーティーダンスであり、競技ダンスではないので普及してないそう。

ビーチの一角では男女が手つないで踊っている

というわけで全く初心者の私は、アナに簡単なステップを教えてもらう。

ゆったりとしたリズムで腰を落としてワン、ツー、ワン、ツーと左右にステップ。

そしてステップを踏みながら3パターンくらいの決まった動きやターンの仕方を教えてもらったが、これがなかなか相手の足を踏みそうで思わず足元を見てしまうし、なんだかへっぴり腰になり、もちろんカッコつかない。

でも、大丈夫。

ここにはレベルの高い人もいれば、初心者から老若男女までみんながダンスを楽しんでいる。踊れない人でも臆することなく参加できるのだ。

アナは自分よりダンスが上手い人からは学び、初心者には教えてあげていた。そして近くにいた初心者男性にステップを教え終わると、「はい、それでは初心者同士で組んで踊ってみましょう!」

アナの勧めで、知らない男性と手をつなぎブルースを踊ることになった。

私は海外に住んでいたことや旅も長いので、挨拶で外国の人とのハグには慣れていたり、抵抗はない。しかしダンスはわりと体が接近するし、男性の手が背中に回ったり、腰を撫でるように身体を誘導することもある。

さらにそれが長時間続くので、ほんの少しだけれど緊張するし、ずっと相手と見つめ合うなんてことはできず、やっぱり足を踏まないか気になって下を向いてしまう。

華麗なるターンをするところ

さて、お互い初心者なこともあって動きはギクシャクとしていたが、ふたりとも知っている動きはアナに教わった3つなので、それをひたすら繰り返す。前や後ろに前後に進んだり、男性のリードで右へ回転したり、左へ回転したり。

なんとか1曲踊りあげた私たちは、ハイタッチをしてお互いにお礼を告げた。

ふぅ、妙に汗かいた(笑)。

ダンスのお相手ありがとう!

その後アナがダンスの上手い男性にリードされて踊っているところを見たが、さすがスペイン女性というべきか、とても情熱的なダンスに見えた。

相手の目をじっと見つめ挑発的な表情をしたり、無邪気に笑ったりと、表情にも変化があったり、腰をくねらせてセクシーに、そして楽しそうに踊っていた。

他のジャンルのダンスだってそうだけれども、ダンスはやっぱりただステップを踏むだけではなく、感情を込めることが大事。彼女のダンスは素敵だった。

外国ではよくこういったダンスのシーンを見かけるが、コミニュケーションのひとつだと思うし、なんなら言語不要で楽しめるし、踊れることはやっぱり良いなぁと感じる。またこういったカルチャーイベントが、参加費などなく無料で楽しめるというのも最高。日本でもその辺で普通にあればいいのに。

ちなみに、こんな楽しい場所でお酒がないわけない......と言いたいところですが、スペインは外でお酒を飲むことは違法(こっそり飲んでる人もいたけど)。私たちは踊り尽くした後、近くのバルへ移動した。

いい汗をかいた後はビールで乾杯だ。

「いい? 乾杯する時は相手の目を見るのよ。リスペクトを込めて。そしてもし男性との乾杯なら、グラスを机の上でクルクル回したらダメよ。今夜OKってサインになっちゃうから。だから、乾杯の後は、コンってグラスを置くの。ナシってこと(笑)!」

「そうなんだ! じゃあワインの時はどうするの? ワインってグラス回すじゃん!」

「それはまた意味が違うから!(笑)」

なるほど。ダンスを踊った後にイイ気分でビールグラスをクルクルしないように気をつけないと。

女子の皆さんは覚えておいてくださいねー! や、男子の皆さん、サインを見逃さないよーに!?(笑)

なんかいつの間にか仲間が増えた! みんなご機嫌!

チピロンという小さなイカのフライをつまみに。居酒屋の軟骨揚げを思い出した

★旅人マリーシャの世界一周紀行:第249回「チリからやってきた男がバルセロナで買った唯一のもの」

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。コラム連載は5年間半を超える。Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】
女子2人組ユニット「地球ワクワク探検隊」としても活動。Youtube配信や国内外各地のPR活動、旅先のお酒やお話を提供するイベント「旅するスナック」を月2回、東京・虎ノ門で開催。
【https://www.youtube.com/channel/UCJnaZGs8hyfttN9Q2HtVJdg】

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