カタルーニャ地方出身の芸術家サルバドール・ダリの贈品「時計の貴族」は街のシンボル
スペインとフランスに挟まれたミニ国家・アンドラ公国

ピレネー山脈にある首都のアンドラ・ラ・ベリャは山々に囲まれた小さな街で、2時間もあれば周りきれそうなサイズであったが、予想外にもだいぶ都会的だった。

日本人にはあまり知られていない国だと思うが、実は経済の中心は観光業!

2011年までタックス・ヘイヴンの国で、現在は4.5%の付加価値税(消費税)がかかるようになったけれど、それでも近隣のヨーロッパ諸国から買い物をしに観光客が集まるショッピング天国なんです。

ちなみに、EUには加盟していないものの通貨はユーロなので両替は必要なし!

ピレネー山脈を背景に近代的なショッピングモール

メインの通りには映画館などが入った近代的なショッピングモールや、ファッション、キッチン用品やサバイバルナイフ、お酒のお店などが目立つ。

私もついついウイスキーなどを物色し、興味をそそられるものがたくさん売っていたが、バックパッカー的旅人にとっては今後のお荷物になるので、ウィンドウショッピングに留めるしかなく......。

それに私の体感では、物価けっこう高い(もしくはフツーだ)けどな。

みんなタックス・ヘイブンだった頃のイメージで「買い物しに行くならアンドラだよね」ってノリの旅先になってる感じなのかな。免税店が多いからという理由もあるみたいだけど、とにかく私は買うものないし、街の端っこまで散歩するか。

買い物客を意識してなのか観光地感のあるかわいらしい街中

とんがっている建物は総合スパ施設「カルデア」

観光スポットといえば、12世紀に建造された中世ロマネスク様式の「サン・エステバ教会」や、16世紀に建造された「カサ・デ・ラ・バル」。国会や裁判所として使用されていたそうで、世界最古にして最小の国会だとか。

それから街のシンボルとなっている、サルバドール・ダリからの贈品「時計の貴族」ね。

12世紀に建造された中世ロマネスク様式の「サン・エステバ教会」

16世紀に建造された「カサ・デ・ラ・バル」は世界最古にして最小の国会だとか

サルバドール・ダリからの贈品「時計の貴族」

まぁそんな感じなので、つまりこれといって何もない(笑)。強いていえば、山の景色と標高1000mの澄んだ空気が美味しいくらいか。

しかし何もない旅先にも私は慣れている。

トレッキングという手もあったが、私は岩の上でただゆっくりと風や匂いや太陽の光を感じることにした。普段忙しく旅をしてそんなにのんびりはしないから、「何もない」はそれはそれで良。「一人旅」だからこそ誰にも気を使わずに自分だけの贅沢な時間を全身で感じるのだ。

私はイタリアのミニ国家サンマリノでひとり、静寂を楽しんだのを思い出した。

小高い岩に登ってひとりの時間。アンドラの風が気持ちいい!

お腹が減り食材探しにスーパーへ行ったが、そこでも別に物価が安いようには感じない。

バゲットとそれに挟むチーズとハムを買い、アンドラらしいものといえばご当地ビール「&(アンド)」が売られていたが、宿に栓抜きがあったか定かじゃないので購入は諦めて宿へ帰った。

アンドラのご当地ビールは「アンド」ら。(ダジャレ?)

宿の共同キッチンではルーマニア人の溶接士レオン(27歳)が挽肉を溶接していた。

ハンバーグだ。

「食べるかい? 米もあるよ」

彼はアンドラで仕事をしているそうだが、ここでアンドラ人に会ったことはないそうで、ほとんどスペイン人とかフランス人なんだとか。

旅人の夕飯。レオンがくれたハンバーグと米。パンとチーズは私物です

そこに白ワインのボトルを持った、ロシア人のリナード(21歳)が現れた。彼は私に白ワインを分けてくれて、そのかわりに私は彼のおしゃべり相手となった。

彼はバスケU18のヨーロッパコンペティションの仕事で来ていた。仕事で色々な国を周っているらしく、中国では英語が通じなくて苦労したと話す。

自国の政治について、「権力を見せたいだけさ。年配者は支持者が多いけど、若者は北朝鮮やトルクメニスタンみたく独裁になるのが怖いって言ってるよ。反政府デモをしたら100人逮捕されたし......」と語る彼。

さらに「僕の町の平均サラリーはユーロで言ったら350ユーロかな。でも普通に暮らそうとしたら家賃は300ユーロ。モスクワなら600ユーロかな。住めないよ(笑)」と、どこの国も都会で暮らすのは大変なんだなあ、と私は東京の暮らしを思い出した。

「それから、日本はすごい長寿だろ? なんで? 本当にビックリだよ。ロシアの平均寿命は70歳くらいだよ? 男なんて平均60歳代で、つまり50歳代で死んだって珍しくない」

(それは、ウォッカの飲みすぎじゃ......?)そうね、確かに日本は長寿国で、この先なんて100歳時代になるって言われてるくらいだけど、でもさ、それが良いかはわからないけどね。

それこそ私、おばあちゃんになっても東京で家賃払っていけるか心配ですけど?

と、アンドラにいながらそんな話をした後、私たち3人は宿のすぐ外のバリラ川へ散歩に出かけ、川の流れを静かに眺めた。

宿へ帰り、「さて、それぞれの部屋へ帰って寝ましょうか」と階段を登り、部屋の前に着くとリナードが言った。

「キスしてイイ?」

だめです!(どんな流れだよ!)

市内を走るバリラ川。なんか温泉街っぽくて良い雰囲気だよね

70℃のお湯が沸いている「Font del Roc del Metge」

★旅人マリーシャの世界一周紀行:第255回「多国籍カウチサーフィン仲間の家飲みの実態!」

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。コラム連載は5年間半を超える。Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】
女子2人組ユニット「地球ワクワク探検隊」としても活動。Youtube配信や国内外各地のPR活動、旅先のお酒やお話を提供するイベント「旅するスナック」を月2回、東京・虎ノ門で開催。
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