初めてのカウチサーフィン経験はアタリでした!
ついに重い腰をあげ、私は2週間弱お世話になったバルセロナのアナの家から旅立った。そして今回の旅の目的である北スペインへ行く前に、マドリードに寄り道(道草ばかり。旅も人生と一緒か......)。

マドリードはスペインの首都で、プラド美術館やマドリード王宮、マヨール広場などの見所がある人気の街。

実はこれまでに何回か来たことがあるので、今回は地元の人と触れ合ってみようと、私はアナにすすめられていたカウチサーフィンのアプリ(無償で宿泊場所を提供しあう人たちがつながるサービス)を使って、現地の人間に会ってみることにした。

人生4度目くらいのマドリード! メインストリートにある「メトロポリスビル」から、勝利の女神ニケの像が街を見下ろしている

アナの家では多くのカウチサーファーに会ったが、自分でこのアプリを使うのは初めて。

若干緊張しながら、今回は「宿泊提供」が目的ではなく「ハングアウト」という"ちょっと会うだけ"の機能を使って、お茶飲み友達を探してみることにした。

すると自分のいる場所から3km圏内くらいのふたりの男性とつながった。

「男性か......。ま、お茶だけだし」

画像を見る限りでは、ひとりはメガネをかけた真面目そうな男性トム。もうひとりは筋肉ムキムキのマッチョ男性アントワーヌという、対象的なふたりであった。

プロフィールや評価などを確認して特に問題なさそうだったので、連絡が取りやすいように「WhatsApp」(LINEのようなメッセンジャーアプリ)に切り替え会話を始めた。

アントワーヌとのやりとりはこうだった。

「ようこそマドリードへ。何時まで平気? 今まだ仕事で撮影してて押してるんだよね」

スポーツジムで女性が四つんばいになって運動をしているような撮影シーンの画像が送られてきた。

「もし撮影を見に来たかったらおいでよ」

おお、海外での撮影現場なんて、なんだか面白そうなものが見れるチャンス? 私は思わず食いついたのだが、すると、

アダルトビデオの撮影だけどね。チェックさせて」

「!?!?!? (チェックって何を!?)」

こりゃいかん、撤退だ。

「行かない!」と力強く言うと、「ははは! OK!」だって。

たまたまそういう撮影だったのか下手なギャグなのかわからないけど、私はCSビギナーだし女子ひとりなので、危ない橋を渡るのはやめておこう。

そして同時進行していたトムからは、近くの駅の良さげなカフェを提案されていたので、私はそこへ向かうことにした。しかし、お店は閉まっていて、そこにトムが現れた。肌が白く痩せ型で、想像よりももっと真面目で優しそうな男性だった。

「ようこそマドリードへ。ああ、準備中か、残念。別のカフェでもいいかい? それより、君の荷物は重そうだ。持ってあげるよ」

さっきのこともあるので少し警戒していた私だったが、人相を見て彼がこの小汚いバックパックを持って走って逃げるような雰囲気でもないと判断し、甘えることにした。

トムと会うためにやってきたNoviciad駅

トムと待ち合わせしたカフェ「angelica」

カフェに向かう途中に「五月二日広場」を通る。

「ここは、1808年にナポレオン率いるフランス軍の侵略に対し、市民が一斉蜂起した日を記念した広場で、真ん中にある像は蜂起した英雄たちだよ」

トムは歴史の説明もしてくれて、まるでローカルガイドのよう。

五月二日広場。警察が見張っているので安心? 真ん中に英雄の像がある

誰かが捨てたソファでおしゃべりを楽しむ人たち

また、このエリアはマラサーニャ地区といい、スペインで活躍するアーティストたちのギャラリーや雑貨屋、おしゃれな洋服屋や古着屋など、若者の流行や個性と出合えるエリア。

この日はあいにく閉まっている店ばかりだったけれど、穴場を教えてもらえたのはありがたい。

知っていると街歩きが楽しくなるマラサーニャ地区

そして辿り着いたのは、女子が好きそうなファンシーなキラキラカフェ。

メニューを見ると、一番最初に書かれていたのはキラキラ......ではなく「PICAPICA(ピカピカ)」という文字。これは鳥のように啄(つい)ばむという意味で、おつまみのことを表しているらしい。なるほど、スペイン語っぽい!

おしゃれカフェ「federal」

マドリードのおしゃれカフェ女子たち

マドリードのおしゃれカフェ男子たちメニューの一番上にある「PICAPICA」(おつまみ)の表示

私たちはまずラテを頼み、

「僕は昔、日本に行ったことがあるよ! 日本人と渋谷のハツヒコで待ち合わせしたんだ!」

「ハツヒコ? ああ、ハチ公ね(笑)」

というアイスブレイクに始まり、お互いのことを話し始めた。

彼は車関係の会社に勤め、ロシアや中国などに住みながら激しく働きすぎた毎日に疑問を抱き、41歳でリタイヤ。今はロングバケーション中で、木や石などを売ったりしてゆっくり過ごしているという。

「僕の人生が言ったんだ。働きすぎて死ぬ気かい?って」

「あーワカル。人生色々考えるよね。私の周りも最近、"いつ死ぬかわからないから"って言う人すごく多くて、働き方や生き方に悩んでいたり、大きくチェンジしてる人とかいるいる。

でも私みたく先に自由を選んでしまったタイプは逆の不安で、そろそろバリバリ働かないと、とかって思ってるんだよ。結婚もしてないから周りに年齢のこととか言われるし......」

「まさかだけど、日本もそんなこと言ってるの? 30すぎたら賞味期限切れのケーキだって? これは驚いた! 中国と一緒なんだね。スペインでそんなこと言ってるヤツはいないよ。ここにおいでよ。誰も年齢のことなんか気にしないさ......!

天国かよ!

このままスペインで生きていきたいのは山々であったが、とりあえずラテも飲み終わったことだしもう一軒。これまたファンシーなカフェでビール1杯とナッツをピカピカして解散した。

トムのおかげで楽しいCS初体験となりました! グラシアス!

初めてのCS経験は、一瞬危なっかしい2択だったが、無事に天国コースを選ぶことができた。

トムはこうやっていろんな国の人とカフェでおしゃべりを楽しむためにCSを利用しているそうだが、かわいいカフェをチョイスしてくれた女子力高めの彼のおかげで私も楽しかった。

これはクセになりそうだ。

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。コラム連載は5年間半を超える。Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】
女子2人組ユニット「地球ワクワク探検隊」としても活動。Youtube配信や国内外各地のPR活動、旅先のお酒やお話を提供するイベント「旅するスナック」を月2回、東京・虎ノ門で開催。
【https://www.youtube.com/channel/UCJnaZGs8hyfttN9Q2HtVJdg】

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