ブラジル料理シュハスコの定番お肉といえばピッカーニャ! 牛のお尻の部分です!

ボンヂーア! 旅をおあずけされた旅人マリーシャです。わん。

先日、コストコへ行くチャンスがあったので、大はしゃぎしながらスーパービッグなお肉をゲットしてきました。

というわけで、今回の「旅人でも簡単に作れるおうちで世界飯」第18回はブラジル料理「シュハスコ(シュラスコ)」に挑戦です!

ブラジルはコルコバードの丘から「はい! 肉ざんまい!」

シュハスコは南米諸国を代表する肉料理で、サーベル(串)に刺して岩塩で味付けした肉を炭火で豪快に焼くブラジル版バーベキューのこと。ガウショと呼ばれるカウボーイたちが、サーベルに刺した肉を焚火で焼いて食べたのが起源だとか。

ブラジルではシュハスコを扱ったレストランは「シュハスカリア」と呼ばれ人々に親しまれています。日本にもいくつか有名なシュハスコレストランがありますが、串刺しのお肉が目の前で削ぎ切りされるスタイルが圧巻です。

そしてシュハスコを代表する肉といえば「ピッカーニャ」。日本で言うイチボやランプのことで、牛のお尻の部分です。

私は2014年、ブラジルW杯の時期にブラジルを旅していた時、ボサノバ曲『イパネマの娘』の発祥地という老舗レストランでピッカーニャを食べました。

串刺しではなく鉄板でやってきたのでシュハスコスタイルではありませんでしたが、ワイルドな赤身肉でブラジルの肉文化をしっかりと味わいました。

「セラロンの階段」の前でW杯についてインタビューをしている様子

ブラジルで食べた人気のお肉ピッカーニャ

老舗レストラン「Garota de Ipanema」

また路上で網の上で肉を焼いている地元民を発見。こちらは見た目、普通のバーベキューでしたが「これが庶民のシュハスコよ!」と言って肉をひと口分けてくれました。

これが本当のシュハスコです!

煙がモクモク上がるので日本の一般家庭で調理するにはなかなかハードルが高いですが、大丈夫。フライパンで頑張りましょう(笑)!

「お肉を焼くだけでしょ? 朝飯前よ!」

と言いたいところですが、おうちシュハスコに緊張のあまり、実は1度目のトライでは大失敗!

「消し炭のような肉ができた......。カッチカチやぞ......!」

焼き過ぎてカッチカチのお肉

原因は単純に火加減が強かったのと焼き時間が長過ぎたせい。さらに蓋をして蒸し焼きにチャレンジしたのも良くなかったです。

2度目のトライでは美味しく焼けたので、レシピはそちらをご案内します。サーベルは持ってないので、適当な金串に刺して作るよ! それではレッツクック!

材料は肉と塩! お盆に乗っているのは添え付けソースの材料でピーマン、トマト、玉ねぎとオリーブオイルにホワイトビネガー(画像にないけど塩胡椒も!)

ポイント食材はもちろんイチボくんです! 使うのは半分以下!

<材料> 2~4人分

 ・牛イチボ(牛モモブロックなどでもOK)...400~500g(串に塊2個のイメージ)

 ・粗塩 or 岩塩...肉全体にまぶすくらいの量

*添え付けソース(モーリョソース)

 ・ピーマン...1個 

 ・トマト...1/2個 

 ・玉ねぎ...1/4個

 ・ホワイトビネガー...大さじ3 

 ・オリーブオイル...大さじ1

 ・塩胡椒...適量

<ワンポイントメモ>

・焼き時間は、以下のレシピは参考程度に、お肉の声を聞く! 低温でじっくりと、焼き過ぎないこと!

・お肉は焼く時に常温であること。下準備中に自然に常温に戻ります。

<手順>

肉の下準備(工程1~)→ソース作り(工程8~)→肉を焼く(工程11~)→焼き方アレンジ(工程15~)→サーブ(工程17)

<調理>

*下準備
1.肉からドリップした血をキッチンペーパーなどで拭き取る。

2.肉の筋を切り取る。

3.肉の脂部分を削ぎ、脂の厚みを均等にする。(大体でOK)

4.串に刺す肉をイメージしてお肉を切る。(お肉を串に刺す時はギュっと丸めた感じの形にします)

5.今回は約1kgのお肉の端っこを切り落とし、シュラスコに使う部分を4切れに切り分けました。ここから2切れ使います。

6.バットなどの上で肉に塩をまぶす。(塩は焼く直前にまぶしてもOK)

7.肉をサーベル(串)に刺して置いておき、常温に戻す。

*ソース作り
8.お肉を常温に戻している間に、モーリョソースを作る。ピーマン、トマト、玉ねぎをみじん切り。

9.みじん切りした野菜に、ホワイトビネガー、オリーブオイルを加えて混ぜる。

10.お好みで塩胡椒で味を整えたら出来上がり。

*肉を焼く
11.熱したフライパンに油をひき、串に刺さった肉を中弱火でじっくり焼きます。串が邪魔で肉が少しくらい浮いても鍋肌で焼いて熱を伝えればいいのでビビらない。

12.まず裏表の表面に焼き色が付くくらい焼く。お肉がぷっくり膨らんできます。

13.続いて表裏交互にクルクルひっくり返しながら15~20分くらい焼く。鍋肌を使って肉のサイドなども焼きます。

14.表面が茶色く色づき、肉の弾力が親指の付け根くらいになったらできあがり!(もし削いだ時に中が生だったら、また焼けばいいのさ!)

*アレンジ調理
15.網がある場合は表面を網焼きにするとより香ばしくなります。(家の中がモクモクになります! 警報機が鳴らないように気をつけて!)

16.フライパンにあふれ出た肉汁にバターを溶かしてアロゼする(汁や脂を調理中の素材にかけながら焼くこと)と、パサパサ感がカバーされてジューシーでリッチな味わいに! これは本場のシュハスコとは遠ざかりますし、邪道でズルいですが。(でも美味しい!)

*サーブ
17.肉が刺さった串を立てて、ナイフで削ぎ切り! モーリョソースを付けて召し上がれ!

★YouTubeで実際の料理シーンも見てみてね!

<実食>

はぁ、はぁ。

ただ肉を焼くだけかと思ったけど、今までの中で一番レベルが高かったかも! そもそも家で炭火焼きなんかできないし、サーベルだって持ってない。あるものだけでブラジルの料理に近付けるのはハードルが高い! さすが地球の裏側の食べ物(!?)。

ごちゃごちゃ言ってないで、いただきましょう。

ワイルドに削がれたお肉は赤身がさっぱりしていて肉肉しい。和牛とは全く異なった良さがあり、体の筋肉が喜んでいるのを感じます。またしっかりと塩をまぶしてあるので、シンプルながらも肉に塩味がしみ込んでビールのお供にもピッタリ! こうなったらもうあのセリフを叫びたい!

「ブラジルの人聞こえますかー! デリシオーゾ!(美味しい!)」

そして脇役ながら大活躍したのがモーリョソースでした。切って混ぜるだけの簡単なサルサ(ソース)にも関わらず、ホワイトビネガーの酸味がキュッとお肉を引き締め、ジューシーさを引き出してくれます(焼き過ぎて消し炭となったお肉さえも、まるで失敗ではなかったかのようにしてくれる魔法のソースでした)。

モリョソースは簡単なのに万能すぎる!

ところで1回目に失敗したもうひとつの原因は、焼く時に串が邪魔で肉がフライパンから浮いてしまったため串を外してしまったこと。焼いた後にまた刺そうとしましたが、焼かれた肉は広がりきって再び折り曲げるのは不可能。このせいで、見た目のシュハスコ感ゼロ。なんとか串に通したものの、

「でかい肉の蒲焼かよ」

でした。

今回の学びは、お肉は目を離さずに中弱火でじっくり焼く。あとは自分の感覚を信じるのが一番だということ。ブラジルの路上のBBQだって、私たちがやるBBQだってお肉はそうやって焼くでしょ? 

家庭によって火力も違けりゃ、肉の厚さも違う。その時自分の目の前にある肉の焼けていく姿と会話しながら焼くのが正解でした。

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。Twitter【marysha98】 Instagram【marysha9898】 YouTube【https://www.youtube.com/channel/UCe2ihHJ1MXHEZgpdmglzWew

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