家から微妙に離れている。仕事帰りにはもう閉まってる。コンビニより安いと知っていても、なかなか足が向かないスーパーマーケット。

だがちょっと調べると、夜遅くまで営業、惣菜や弁当の種類が豊富で、夜は値引きもあるなど、立ち寄る価値のある店は多い。そこで、関東エリアで展開するスーパーを"男目線"で大調査。ベスト10に選ばれたのは?

■全国展開のスーパーが少ないワケは?

基本的にスーパーマーケットは、あまり料理を作らない人にとっては魅力を感じにくい店だ。野菜や肉の特売日を大々的にアピールされても特に惹(ひ)かれない。それに、全国展開するコンビニと比べて各店の品ぞろえがイメージしづらい。大量の買い物をする人も多いので、レジで長時間待つ可能性もある。

だが実際に行ってみれば、店内には激安のビールやチューハイ、値引きシールが貼られた弁当と、自炊をしない人間にとっても魅力的な商品があふれている。そこで、面倒くさがりな男性でも思わずグッとくる、主婦目線とはひと味違った視点で関東地方のスーパーを採点した。

採点項目の作成には、試食販売員として17年間、各地を回り、スーパーの表も裏も知る上野千賀子氏に協力をいただいた。長年の経験から店内を15分回っただけで店の特徴がつかめる特技を手に入れた上野氏に、男性がよく購入している商品を聞き込んでみた。

「男性は握りずしが好きですね。早いお店だと18時前におすしに値引きシールを貼り始めますが、夕方になると会社帰りの人が買っていく姿をよく見ます。あと冷凍食品で男性が買うのは圧倒的にチャーハンで、大盛りのカップ麺を買う方もけっこういます。また、ご飯と一緒に缶チューハイを買っている人も多いですね」

こうした情報をベースに週プレ独自に10の評価項目を選出。実際に調査をしたのは、関東地方で30店舗以上を展開する40のスーパーマーケットチェーン。

コンビニは大手が全国を席巻しているのに対してスーパーは群雄割拠という様相で、全国展開するのは、イオンや西友、業務スーパーなどごくわずか。

なぜこのような状況になるのか。業界事情に詳しい『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集長、阿部幸治氏に聞いた。

「コンビニの店舗にある商品は3000点ほどなのに対し、スーパーで扱うのは通常8000点程度あります。コンビニぐらいの品数であれば全国的に売れている定番のものだけを集めて販売すればいいので、画一的なお店がつくりやすく店舗数を拡大しやすい。

ところがスーパーは生鮮食品が多い上、地元で愛されている商品も多数販売する。そのため東京23区には1店もないのに、東京都の西部地域だけに20店あるといったような、狭いエリアで集中的に展開するという出店パターンが多いのです」

確かに茨城県のスーパーには、納豆と切り干し大根を漬け込んだ「そぼろ納豆」、栃木県のスーパーにはレモン牛乳など、他県の人にはなじみの薄い商品が並ぶ。これらの商品を扱いつつ全国展開を進めるのは難しそうだ。

「ですが、地元の食材をはじめ、豊富な商品があれば大丈夫、とはいかないのがスーパー。価格に敏感な主婦がメインのユーザーなので、常に安さを求められる。そこで仕入れコストの低減などを図るため経営統合することもあります。

ただ、スーパーの場合は店の名前が地元にとってはすでに大きなブランドなので、吸収合併ではなく、同じ持ち株会社の傘下だけど店名はそのままとするところが多いです」(阿部氏)

家電量販店のビックカメラがソフマップを傘下にする際、秋葉原で確固たる地位を築いていたソフマップは店名を変えなかった。同様のことがスーパーマーケット業界でも起こっているのだろう。

■主婦的には上位に来る店も......

そんな地元で愛される店や全国展開のスーパーを、男性利用者目線の10の調査項目でとことん調査。30点満点で21点以上を獲得したスーパーがベスト10に入った。

主婦ライターとしてスーパーやドラッグストアの記事を執筆し、『ラヴィット!』(TBS系)などへの出演歴もある齋藤めぐみ氏にランクインしたお店について聞いた。

「1位の西友は24時間営業の店が多い。ドリンク類も安く、プライベートブランド(PB)のラインナップも多彩なので家の近くにあったらとても便利です。2位のタイヨーは魚を使った惣菜が多いのが特徴ですね。

6位のオーケーは主婦の視点から順位をつけると間違いなくもっと上位に入る、安さが売りのスーパーですが、閉店時間が早いのでこの順位となったのでしょう」

ただ、閉店時間が早いことでメリットも生まれるという。

「早く閉まる店は弁当や惣菜の値引きシールが貼られる時間も当然早い。18時過ぎに行けば値引きされた商品がけっこう並んでいますよ」

評価項目の作成にご協力いただいた上野氏にも聞いた。

「ベスト10の中で一番個性的だったのはオーケー。税抜き300円以下の弁当のラインナップが豊富。惣菜だとチキンカツが2枚で299円(税抜き)。関西に進出してきたら主婦が殺到しそうなスーパーです。ベイシアは冷凍食品が安く、休みの日にまとめ買いで行くのにピッタリですね」

ちょっとしたサービスがうれしいというのがベルクだ。

「レジ袋無料はいいですね。それと、仕入れ用の大きな台車にカップ麺などを入れて販売するカゴ台車特売の商品が安いです!」

【1位】西友(東京都・埼玉県ほか)



<調査項目の採点>

●閉店時間...3点 ●お茶...2点 ●水...3点 ●チューハイ...3点 ●冷凍炒飯...3点 ●惣菜...2点 ●カツ重...2点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...3点 ●PB...3点  計27点

■北海道から九州まで全国展開。ほとんどの店は深夜まで営業
今回調査したお店の多くは、営業時間が長い店ほど人件費もかかるため商品が割高になる傾向だったが、西友は24時間営業の店舗が多いにもかかわらず安い商品が多かった。さらにPB商品も超充実。緑茶やお菓子類といった定番商品のほか、無糖アップルティーのような個性的な商品もラインナップ。ATM設置の店も多くて便利。

【2位】タイヨー(茨城県・千葉県ほか)

<調査項目の採点>
●閉店時間...2点 ●お茶...3点 ●水...3点 ●チューハイ...3点 ●冷凍炒飯...2点 ●惣菜...2点 ●カツ重...3点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...2点 ●PB...3点  計26点

■焼き魚や煮魚が豊富。地元の食材が店内にあふれる
銚子漁港のある銚子市の隣、茨城県神栖(かみす)市に本社があるスーパー。店内で販売している焼き魚弁当に使われているのはサケやサバだけでなく、カレイ、タラ、ブリ、カジキなど多彩。「カット済みの肉や野菜、調味料がセットになったレバニラ炒めセットや肉野菜炒めセットはフライパンで焼くだけで手軽に調理できてオススメ」(上野氏)。

【3位】イオン(全国)

<調査項目の採点>
●閉店時間...3点 ●お茶...2点 ●水...2点 ●チューハイ...3点 ●冷凍炒飯...3点 ●惣菜...3点 ●カツ重...1点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...2点 ●PB...3点  計25点

■知らない人はいない日本一の大型スーパー
郊外型の大型ショッピングモールを中心に全国展開。PB「トップバリュ」の中でも特に価格にこだわった「トップバリュベストプライス」のブランドで販売される商品は激安で、給料日前にはとてもありがたい。毎週火曜日の「火曜市」には多くの買い物客が訪れる。

【3位】ベイシア(群馬県・埼玉県ほか)

<調査項目の採点>
●閉店時間...1点 ●お茶...2点 ●水...3点 ●チューハイ...3点 ●冷凍炒飯...1点 ●惣菜...3点 ●カツ重...3点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...3点 ●PB...3点  計25点

■服も家電もワンフロアに凝縮。クルマで行くと便利な店
自家用車を持つ人が多い群馬県を中心に展開。店内は広大で、食料品や日用品以外の商品も充実。ほとんどの店が21時までに閉店するので、握りずしの値引きシールが17時前に貼られることも。同じ群馬県に本社があるよしみか、カップ焼きそばでおなじみ、ペヤングの商品も多く扱う。

【3位】アコレ(東京都・埼玉県・千葉県)

<調査項目の採点>
●閉店時間...3点 ●お茶...2点 ●水...3点 ●チューハイ...3点 ●冷凍炒飯...3点 ●惣菜...1点 ●カツ重...3点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...1点 ●PB...3点  計25点

■激安PB商品が充実!近くにあればぜひ使いたい
PB「トップバリュ ベストプライス」など価格勝負の商品が多く並ぶ、イオングループのディスカウントスーパー。惣菜や弁当はコンビニよりも若干少なめだが深夜まで営業し、酒や飲み物が安い。一方でPB以外の商品には若干高めのものも。イオン銀行ATMがある店舗も。

【6位】オーケー(東京都・神奈川県ほか)

<調査項目の採点>
●閉店時間...1点 ●お茶...3点 ●水...3点 ●チューハイ...3点 ●冷凍炒飯...3点 ●惣菜...2点 ●カツ重...3点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...2点 ●PB...1点  計24点

■主婦たちからは絶大な支持創立
PB商品はほとんどないが、代わりにメーカー品がPB並みに激安。19時過ぎに店へ行くと、300円以下の弁当に半額のシールが貼られていることもあり驚愕。

【6位】とりせん(群馬県・栃木県ほか)

<調査項目の採点>
●閉店時間...2点 ●お茶...2点 ●水...2点 ●チューハイ...3点 ●冷凍炒飯...2点 ●惣菜...3点 ●カツ重...1点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...3点 ●PB...3点  計24点

■創立73周年。地元で愛される老舗
「惣菜のレベルの高さに驚きました。天ぷらがきれいな色に揚がっているのは、油を頻繁に交換しているからでしょう」と、惣菜のクオリティに上野氏も高評価。

【8位】ベルク(埼玉県ほか)

<調査項目の採点>
●閉店時間...3点 ●お茶...2点 ●水...1点 ●チューハイ...2点 ●冷凍炒飯...3点 ●惣菜...2点 ●カツ重...2点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...2点 ●PB...3点  計23点

■2種類のPB商品を展開
イオンなどで販売する「トップバリュ」と、独自に開発した「くらしにベルク」のふたつのPBを取り扱う。PBのゆでうどんは1袋19円と常軌を逸した安さ。

【9位】イトーヨーカドー(東京都・神奈川県ほか)

<調査項目の採点>
●閉店時間...2点 ●お茶...2点 ●水...2点 ●チューハイ...3点 ●冷凍炒飯...1点 ●惣菜...3点 ●カツ重...1点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...1点 ●PB...3点  計21点

■セブン&アイグループの大型店
セブン-イレブンにもあるPB、セブンプレミアムの商品が豊富。人気の「金のハンバーグ」のような高級志向のものや、コンビニでは目にしたことがないPBも。

【9位】サミット(東京都ほか)

<調査項目の採点>
●閉店時間...3点 ●お茶...1点 ●水...2点 ●チューハイ...2点 ●冷凍炒飯...2点 ●惣菜...3点 ●カツ重...1点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...1点 ●PB...3点  計21点

■普通に見えて、ちょっぴり豪華
「住友商事グループのためか、商品の『仕入れ力』がすごい。ほかのスーパーに並ばないようなものが置いてある」と上野氏。惣菜は小分けにした商品が充実。

【9位】フレッセイ(群馬県ほか)

<調査項目の採点>
●閉店時間...2点 ●お茶...2点 ●水...1点 ●チューハイ...3点 ●冷凍炒飯...2点 ●惣菜...1点 ●カツ重...2点 ●すし値引き...3点 ●カップ麵...2点 ●PB...3点  計21点

■移動販売サービスも好評
CGCブランドのPB商品が多数並ぶ。本社のある群馬県内では専用トラックが介護施設やスーパーのない地区を巡回して移動販売も行なっている。

■雨の日は値引きシールのチャンス

最後に、男でも役に立つ、スーパーのさらなる活用法を上野氏に教えていただいた。

「雨の日はお客さんが減るので、値引きシールが貼られる時間が早くなったり、値引き率が大きくなるチャンスです。

朝から雨が降っていたり、前日から『この時間帯に雨が降ります』と予報が出ていたら、弁当や惣菜を作る数を減らして調整できますが、午後2時から4時の、夕飯の食材を買い求める人が多い時間帯に突然降ったりすると売れ残りが多くなりがち。ゲリラ豪雨など、昼間に突発的に雨が降った日の夜は、スーパーをのぞくといいことがたくさんありますよ」

スーパーマーケットをうまく活用したら、財布にも優しく豊かな食生活を送れるはず! 近くにどんなスーパーがあるのか、あらためてチェックしてみてはどうだろう。

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