「食べる輸血」はいかが?

ドーブルィデーニ! こんにちは、旅人マリーシャです。

ウクライナはこれまで旅した中でも良い思い出が多く大好きな国。連日報道されるウクライナ情勢のニュースに心が痛みます。一日も早く平和が訪れることを願い、今回の「旅人でも簡単に作れるおうちで世界飯」第29回は、ウクライナ料理「ボルシチ」に挑戦したいと思います!

オシャレ人口の高い首都キエフ。お揃いの服での双子コーデも流行っていました

私がウクライナを旅したのは2018年。首都キエフの目抜き通りには、オシャレなカフェやアパレルが並び都会的。人々は洗練されたファッションに身を包み、優雅に買物を楽しんでいるように見えました。

その一方で、街中を歩く迷彩服の若者も印象的。同国は2013年に徴兵制が廃止されたものの、翌年2014年には復活していました。

首都キエフの街中を歩く迷彩服の男女

私はキエフに着いた時ほぼ文無しでした。というのも、1週間前にアルメニアのバスでスリに遭い、その後はお腹に隠していた現金US500ドルのみで旅を継続。イスラエルからヨルダンへの国境越えをして、やっとウクライナにたどり着いたからです。

「この国で日本からの送金を受け取るの。宿泊費、すぐ用意するから待っててね!」

安宿の受付にそう伝えバックパックを投げ捨てると、現金調達にダッシュ。旅人がいざという時に使う海外送金システム「ユニオンスクエア」を利用し、無事に日本から5万円分の送金をゲット。

平均月収3万円程度のこの国で、5万円はまあまあの大金でした。

当時、1フリブニャは4円程度。宿は1泊130フリブニャ(約500円)、コーヒースタンドのコーヒーが15ブリニャ(約60円)、オシャレなレストランでワインとステーキに舌鼓を打って250ブリニャ(約千円)。ついでにプチプラの服と雑貨に隠れ家バーでカクテル......。調子に乗って久々のプチ豪遊です。

「ウクライナ物価安いニャ。そして、美人も多い二ャ......」

独立広場のアイラブキエフ!

そう、ウクライナは世界一美人が多いと名高い国。街中では度々美人を見かけ、目を奪われました。欧州東部の地域に暮らすスラブ系民族は、混血が多いなどの理由から美しい人が本当にたくさんいます。イスラエルなどの濃いめ美人と比較すると、男子ウケの良いふんわり柔らかめの美人が多いかなという印象。

リヴィウのカフェで働く美人さん(写真提供/hossakuraworld)

さすが世界一美人の多い国ウクライナ(写真提供/hossakuraworld)

その後も日々、美人に囲まれ国内周遊。キエフではチェルノブイリ博物館へ行ったり、クレヴァンでは「愛のトンネル」で蚊に刺されまくったり、街が世界文化遺産であるリヴィウではマゾの発祥にまつわるマゾカフェに行ったり、ウクライナ名物の脂肪の塊サーロを食べたり......、とにかく思い出がいっぱいです。

ウクライナの田舎町クレバンにある恋人たちの聖地「愛のトンネル」

マゾカフェで手錠をはめて楽しむ旅人

そんなウクライナの代表料理といえば「ボルシチ」

ボルシチは「奇跡の野菜」「食べる輸血」とも言われる栄養素の高い野菜「ビーツ」を使いお肉と煮込んだ赤いスープ。

東スラブ系民族の伝統料理で、ロシア料理として紹介されることも多いのですが、発祥はウクライナとされています。

昨年、ウクライナ外務省が「ボルシチ」をウクライナ料理としてユネスコ無形文化遺に登録申請をしたことに対し、ロシアは不快感を示したとか。食文化の上でも両国間に漂う空気は不穏。たかが料理では済まされないようです。

大陸国はつながっていますしお隣の国ですから、郷土料理が共通なのは珍しいことではありません。歴史やいろいろな背景、思い入れがあるとは思いますが、美味しい料理はみんなで仲良く食べたいですね!

それではボルシチのレシピを紹介したいと思いますが、毎度のとおり「レシピは家庭の数だけバラエティあり」。牛すじ肉や骨付き肉などをじっくり煮込んでダシから作るのが本格的ですが、今回はお鍋ひとつでできる簡単レシピで作りたいと思います! それではレッツクック!

材料:牛肉、ビーツ、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、キャベツ、にんにく、オリーブオイル、バター、ローリエ、コンソメ、砂糖、塩、胡椒、水、サワークリーム、ディル(他ハーブで代用)

<材料> 2人分

 ・牛肉(豚・鶏でもOK)...160~200g

 ・缶詰ビーツ...1缶(生ビーツでもOK)

 ・玉ねぎ...1/2個

 ・にんじん...1/2本

 ・じゃがいも...1個

 ・キャベツ...1/8

 ・にんにく...1片

 ・オリーブオイル...大さじ1

 ・バター...10g

 ・ローリエ...1枚

 ・コンソメキューブ...1個

 ・砂糖...小さじ2程度

 ・塩...小さじ1程度

 ・胡椒...適量

 ・水...600~800ml(具がヒタヒタになるくらい)

*トッピング

 ・サワークリーム...適量

 ・ディル(他ハーブで代用可)...適量

<ワンポイント>

・お肉は牛・豚・鶏なんでもOK! オススメは切り落とし!

・野菜の切り方もなんでもOK! オススメは細切り!

・あればトマトペーストやトマト缶を150ml程度入れるとうまみアップ!

<調理>

1.にんにくをみじん切りにし、野菜類を細切りなどお好みの形にカット

2.鍋にオリーブオイルを入れ、肉を軽く炒めたら取り出しておく

3.鍋にバターとにんにくを入れ、玉ねぎを飴色になるまで炒めたら、にんじん、じゃがいも、キャベツの順に加え炒めていく(生のビーツの場合はここで追加)

4.肉を戻し、水、コンソメ、ローリエを入れ一煮立ちさせ、アクを取り除く

5.ビーツと缶に残った汁も全部を加えて5~15分ほど煮込む

6.塩、胡椒、砂糖で味を整えできあがり! サワークリームとディルを添えて召し上がれ!

★YouTubeで実際の料理シーンも見てみてね! (今回はウクライナ旅の映像も入ってます)

<実食>

ズズズ......とスープをすすると、優しく甘いスープのお味にビーツの独特の味。ビーツはほうれん草の根っこのような土臭さがあり苦手な人もいますが、私は大好き。

世界ではビーツを日常的に食べる国も多く、サラダやスムージーなどでも食べることができます。アンチエイジングや腸内環境にも良いので、これからも積極的に食べたい野菜です。

サワークリームは酸味が爽やかで味に奥行きが出て、ロシアや東欧の料理には欠かせません。赤と混ざってパステルピンクに変化したスープもまた見た目が美しく華やか。

ウクライナの家庭の味でもあるボルシチ、皆さんも食べてみてください。

ウクライナの家庭に、1日も早く平和な食卓が戻りますように。

PRAY FOR PEACE!

リヴィウで見つけた街中のカラフルな傘の景色。PRAY FOR PEACE!

●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。Twitter【marysha98】 Instagram【marysha9898】 YouTube【https://www.youtube.com/channel/UCe2ihHJ1MXHEZgpdmglzWew

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