人の死は不意に訪れる。年老いた両親ならなおさらだ。その死を悲しむ間もなく直面するのが、相続問題だ。

直接的に金銭が絡むため、泥沼化することも。‟リアルガチ"な相続トラブルを専門家の解説と共に見ていこう。

【トラブルケース】遺言書があっても安心はできない!

親の遺言はあったが、生前に結婚や住宅購入などで援助を受けていた長男にはわずかな現金を、弟には自宅を残すという内容。葬儀後にそれを知った兄は納得せず相続争いに発展。

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「まず、相続と聞くと相続税を心配する人が多いですが、ほとんどの人には関係ない」と話すのは『トラブル事例で学ぶ 失敗しない相続対策』(近代セールス社)の著者・吉澤諭氏だ。

「相続税の課税対象割合は、わずか8.8%。むしろ、相続資産が分割しづらい家屋だけという一般家庭のほうが、トラブルになりやすいんです」


そして、「遺言があっても相続内容に不満が出るケースは多い」と吉澤氏は続ける。

「遺言に納得せず、その場で『キィー』と叫んで遺言書を食べた人もいましたね(笑)。マイホーム資金や教育資金の有無など、兄弟間で公平なことはむしろ少ない。この事例のように、親からの〝待遇格差〟が露見してもめるんです。

特に、親が独断で決めてしまうのは大問題。地域や世代によっては、実家は長男が継ぐものだと思い込んでいる人もまだいます。遺言があればもめないと勘違いしてはいけません」

★他にもこんなトラブルケースが
・"親の資産"知らずに損する相続問題 泣く泣く土地を手放すケースも
・隠し子や結婚を伝えず泥沼化も。〝リアルガチ〟な相続トラブル