「チキンライス」
と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
日本人ならまずはトマトケチャップで赤く染まった鶏肉入りごはん、それから槇原敬之氏の曲でしょうか。
東南アジア諸国にはチキンライス的料理がいくつか存在しますが、その中でも日本人によく知られているのはシンガポールの「海南鶏飯(ハイナンジーファン)」とタイの「カオマンガイ」。ほぼ同じ料理といって良いかと思いますが、そこには"一応"定義の違いがありました!
そこで、今回の「旅人でも簡単に作れるおうちで世界飯」第40品目は、「海南鶏飯」と「カオマンガイ」の違いも意識しつつ「東南アジアのチキンライス」を作りたいと思います。
シンガポールに初めて行ったのは2012年。当時はまだ旅人になる前で、高級リゾートのマリーナベイ・サンズに泊まりインフィニティ・プールやカジノで優雅に過ごしたのが懐かしい。
2014年以降、旅人になってからはリュックを担いで二度訪れましたが、豪華な旅でもバックパッカーの旅でも、シンガポールでは海南鶏飯を食べました。
東南アジアのチキンライスは、茹でた鶏肉とその茹で汁で炊いたご飯にお好みのソースをかけて食べる料理で、中国海南島出身者が東南アジア各地に広めたと言われています。
シンガポールの「海南鶏飯」は最も原型に近いとされ、ソースには主にトロッとした甘いダークソイソース、ショウガソース、チリソースの3種類のタレが添えられます。(が、その限りではありません)
タイの「カオマンガイ」は、タオチオソース(大豆の発酵調味料)という味噌のようなものにタイ醤油、砂糖、酢、ニンニク、ショウガ、唐辛子などを加えた甘辛味噌のタレが添えられます。(が、その限りではありません)
一般的に認識される定義上は「海南鶏飯」と「カオマンガイ」の違いは"タレ"と言われています。しかし、実際に旅先で食べてみると、お店によって自家製だったり内容が異なることもあり、結局「が、その限りではありません」となり、本体のチキンライスとしてはやはりほぼ同じ(笑)。
他の東南アジア諸国にも、マレーシアの「ナシアヤム」、インドネシアの「ナシアヤム」、ベトナムの「コムガー」、カンボジアの「バーイサイッモアン」など、直訳では「米」「鶏」という意味の料理がありますが、調理法や調味料は実にさまざま。
ちなみに日本にも鹿児島と沖縄の郷土料理「鶏飯(けいはん)」が存在します。私は奄美大島にクジラと泳ぐために行った旅で知ったのですが、ご飯に鶏肉や錦糸卵などの具材を乗せて出汁を注いで食べる、ひつまぶしのような食べ物でした。(また、日本各地の郷土料理にも「とりめし」が多数ありますよね!)
奥が深い「世界のチキンライス」ですが、さっそく調理に取りかかりたいと思います。本格的に作るのであれば沸騰直前の温度で茹でることで鶏肉がしっとりとした食感に仕上がるそうなのですが、当コラムではやはり「旅人でも簡単に作れる」ことも大事。炊飯器(鍋)だけで作れちゃう超簡単レシピでレッツクックです!
<材料> 約1~2人分
・鶏もも...280g
・すりおろしショウガ...小さじ1/2
・すりおろしニンニク...小さじ1/2
・塩...小さじ1/2
・鶏がらスープのもと...大さじ1
・ネギの緑の部分...適量
・パクチーの根(省略可)...適量
・米...1合半
・水...280~300ml(米に対して炊飯に適量か少し少なめ)
*トッピング...パクチー、お好みお野菜など
*ソース...海南鶏飯は3種類のソースダレ。カオマンガイは甘辛味噌ダレ。
<ワンポイントメモ>
*あればジャスミンライスを使うとよりアジア感!
<調理>
1.炊飯器(鍋)に、洗った米、水、調味料類、ネギ、鶏肉(皮目を上)の順で入れ、普段の炊飯と同様に炊く。
2.米が炊けたらできあがり。皿にドーム型に盛り、一口サイズにカットした鶏もも、お好みのトッピングとソースを添えて完成!
★Youtubeで、本場チキンライスのレシピをチェック!
<実食>
調理が簡単すぎてびっくりしました。鶏肉はしっとりしていて、切り口からキラキラと輝く鶏の油が流れ出します。お米は鶏の出汁が染み込んでおり、ショウガの香りがアクセントに。この時点ですでに激ウマです。
そしてまず、タレはシンガポールバージョンで3種を用意。市販のダークソイソースと葱生姜のタレ、それからたまたま冷蔵庫に入っていたチリソースです。
推しはダークソイソース。私は「鶏飯老抽」をこよなく愛し常備していますが、海南鶏飯はこれがあってこそ完成します。原材料は醤油、砂糖、カラメル、調味料(アミノ酸)などで、粘度のある甘いソースがご飯にもお肉にもピッタリ。原産国もシンガポールですし、ローマ字でも堂々「Chiken Rice Dark Soya Sauce」と書かれ、チキンライスのためにありますと言わんばかりです。
タイの甘味噌ダレも味わいたいと思ったのですが、タオチオソースが手に入らず。日本の味噌でも代用できるということなので、味噌、ナンプラー、日本醤油、砂糖、酢、ニンニク、ショウガ、パクチー、唐辛子などを調合してみました。
本場の味にはなりませんが、それなりに甘味噌ダレ感。シンガポールの3種のタレとはまた違うコクのある味が楽しめます。冷やしキュウリを付けてかじりついても美味しそうです。本場の調味料や唐辛子(プリッキーヌ)などが揃えば最高なのに!
結局どちらのソースも甲乙つけ難い美味しさでしたが、どんなソースも受け止めてしまうチキンライスのポテンシャルに感動です。ぜひ皆さんも作ってみてください!
●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。
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