今年も残すところあと3日。皆さん年越しはどう過ごしますか? 私はやっぱり年越しそば。そばは切れやすいことから「今年1年の災厄を断ち切る」として、その文化は江戸時代に定着し、今も日本の60%の人が食べているんだとか。
というわけで、今年の年越しはどん兵衛も良いけど、旅人から世界の麺料理3選を簡単レシピとともにご紹介したいと思います!
①125ヵ国旅した旅人が一番好きな麺料理「ワンタンミー」
私は麺類が大好きで世界でも色々な麺料理を食べましたが、中でもお気に入りなのがマレーシアを代表する料理「ワンタンミー」。
ワンタンミーは麺にワンタンとチャーシュー、青菜が乗ったいわゆるワンタン麺です。麺に甘め濃いめのソースを絡めたドライタイプと、麺が透き通ったスープに入ったタイプがあります。私は特にドライが好き。世界で食べた屋台飯で一番を選ぶなら、まずはペナン島で食べたこれが頭に浮かびます。
要は「ダークソイソース」。シンガポールの海南鶏飯などにもかかっているトロリと粘度のある醤油系ソースですが、これさえあればご家庭でも近い味が再現できるでしょう。
上に乗っているチャーシューは、本場ではフチが赤く色付いていますが、これは紅糟という調味料や食紅などに漬け込んでいるから。また水飴を塗っているので甘め。オーブンや炉で焼いて仕上げるので、日本でイメージする煮豚とは別物です。
<簡単レシピ>
茹でた卵麺にソース(ダークソイソース、醤油、砂糖、ごま油、香味油、塩)を和える。ワンタン、チャーシュー、青菜を乗せて出来上がり。
②シルクロードのスーパーヒーロー「ラグマン」
中央アジアのウズベキスタンやキルギス(キルギスタン)を旅していると、どこの店でも必ず見かける定番料理が「ラグマン」でした。
小麦粉で作ったうどんのような手延べ麺に、羊肉、野菜などを煮込んだトマト風味の具材をぶっかけた麺料理。シルクロードを渡る遊牧民の日常食で、移動が過酷な旅人にとっても癒しの料理でした。
そのスタイルはさまざま。スープに浸った汁だくのもの、 麺に具材をかけたもの、麺と具を炒めたものなど、店によっても個性が出るので飽きずに食べられました。
一番思い出に残っているのは、キルギスのグランドキャニオンとも呼ばれるスカスカキャニオン(フェアリーテールキャニオン)からのヒッチハイク途中で降り立った、ボコンバエバ村で食べたラグマンです。
ランチで行ったご飯屋でキッチンを覗くと、そこでは現地民ママが麺を作っていました。
小麦粉、水、油で伸ばした生地を紐状にし、渦巻状にグルグル巻いた状態でテーブルに置きます。そこから少しずつ麺を取り、手首にかけながら八の字のようにして細く仕上げていきます。出来立ての手捏ね麺で作られたラグマンはより一層美味しく感じました。
ところでキルギスで一人前の男になる条件は「ナイフ一本で羊を捌けること」ですが、ラグマンの味の決め手は羊肉。独特な獣臭はシルクロードの大地の風を感じさせてくれるでしょう。
<簡単レシピ>
羊肉、ニンニク、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、パプリカ(ピーマン)を鍋で炒める。トマト缶、醤油、塩を加え煮込み、うどん(市販のもので代用可)にかけたら出来上がり。
③"死者を蘇らせる"ペルーのラーメン「カルド・デ・ガジーナ」
私もヤンチャ時代は年末年始クラブで踊り明かしたこともありました。クラブ帰りにはやっぱりラーメンを食べるのがお決まりで、朝方に仲間たちとフラフラになりながら麺とスープをすすっていたのが懐かしいです。
そんな文化は日本だけならず。南米ペルーにも飲んだ後に食べたくなるスープ命の麺料理が存在します。それが「カルド・デ・ガジーナ(雌鳥の出汁スープ)」。(同類の料理を「ソパデポヨ(鶏のスープ)」とも言いますが、厳密にはガジーナは雌鳥であること!)
南米ペルーの国民食で、鶏出汁のスープスパゲティのようなもの。鶏肉とジャガイモとゆで卵に麺、時々ニンジンなどが入っていて、ネギやレモン、唐辛子が添えられます。スープとともに煮込まれたパスタ風の麺はブヨブヨとしていますが、その柔らかさが妙に美味しく感じるのだから不思議。消化にも良さそうです。
優しく滋味溢れる味は二日酔いの胃に染みる。現地シェフによると、風邪はもちろん、失恋にも効くんだとか!? 回復効果があることから「Levanta muertos(死者を蘇らせる)」と言われているんだそうです。
これはこれは、色々回復したい年末の一杯にピッタリです!
何を隠そう私、マチュピチュ帰りでクタクタだというのに、クラブでボブマーリーの命日イベントがあるというので参戦。ペルー定番のお酒ピスコサワー(ペルー起源のカクテル)で現地の若者と乾杯し、暗闇で光るルミカライトをふりながらレゲエミュージックを楽しみました。
クスコの街は渋谷のようにギラギラしてはいないので、深夜の帰り道はやっぱり怖くてその足で麺をすすりにとはいきませんでしたが、後日、サンペドロ市場の人気店で美味しくいただきました。
<簡単レシピ>
鶏肉を香味野菜(生姜、セロリ、ネギ、紫玉ねぎ、ニンジンなど)と鍋で1~5時間煮込み、鶏出汁を取る。スープに溶き卵を溶かし入れ、チキンブロスやコンソメキューブ、塩胡椒で味を調整。スープでパスタ麺、ジャガイモをゆでたら完成。ゆで卵を乗せて召し上がれ。
ちなみにペルーでは年末年始のご馳走として七面鳥の丸焼きや、クイと呼ばれるテンジクネズミを食べることもあります。クイ料理はインカ時代から食べられている伝統食。私も現地で試食しましたが、味は......ぐぬぬ、ノーコメント!
それでは皆さん、今年も一年ありがとうございました! 良いお年を~!
■「カルド・デ・ガジーナ」のレシピはYouTube『旅人マリーシャの世界飯 Traveler Marysha』をチェック!
●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。
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