あけましておめでとうございます! みなさん2023年はどんなスタートでしたか?
私は2020年にオープンした、食通の間で話題のムスリム(イスラム教徒)御用達のハラルフードスーパーマーケット「ボンゴバザール」へ初買いに行ってきました!
「ハラルフードって何?」って方も多いかと思いますが、世界人口の4分の1を占めるムスリムの食文化、グローバル時代を生きる私たちは知っておく必要があるかと!
■「ハラルフード」って何?
「ハラルフード」とは、イスラム教で食べることが許されている食材や調理法で作られた料理のことで、主に豚肉やアルコールは禁じられています。
豚に関しては特に厳しく、豚から派生したものや接触したもの全て、豚を運んだトラックや冷蔵庫、豚配合の餌を食べた家畜や、豚由来の成分が入った調味料やソース、医薬品や化粧品など全てNG。その他のお肉に関しても、イスラム教の教えに則った方法で屠畜・加工されたものでなければいけません。
アルコールは飲料としてはもちろんタブー、厳格具合にもよりますが料理でも基本的にはNGです。また少数派ですが、アルコール除菌もNGとする人もいるのだとか......。
「ハラル(ハラール)」は、アラビア語で「許されている」、その反対語となる「ハラム(ハラーム)」は「禁じられている」という意味。食事に限らず、物や行動においても適用される言葉です。どちらかわからないものは「シュブハ(疑わしきもの)」として避けるべきとされています。
各国を旅する中で、私がハラルを意識し始めたのはトルコが最初だったでしょうか。女性が顔と手足以外を隠せるブルキニという水着に驚きました。モロッコでは、外国人が隠れてお酒が飲める店を探し、ビールを飲んだ思い出も。中東の旅を続けながら、次第に体感し、理解していった感じです。
現在、日本に居住するムスリム人口は約20万人。まだまだなじみの薄い存在ではありますが、彼らの胃を支えるボンゴバザールとは、いったいどんな場所なのでしょうか?
■いざ、「ボンゴバザール」へ入店!
というわけで、さっそく埼玉県三郷市にあるボンゴバザールへ! 三郷市は「住み心地の良い街」として注目されているエリアで「新三郷駅」を降りるとららぽーと、コストコ、イケアなどに迎えられます。そして大規模な「みさと団地」を抜けて15分歩くとボンゴバザールに到着です。
「ついに、きたー!」
一見イタリアンレストランかのような赤・緑・白のロゴ。店内は陽気な音楽が流れ、商品棚のPOPには「食の旅へ出発だよ!ボンゴバザールで世界旅行気分!」「カメラ撮影OK!」と明確に書かれていてありがたい。そして最初に目に入ったのは、
「えっ! ドリアーン!」
ドドンと置かれた巨大サイズのドリアンと、隣には見たこともないバナナの花と、料理用に使われる青バナナでした。バナナの花は食べるのは中心の芯の部分で、甘さはなく繊維質、シャリシャリとした食感でサラダにすると美味しいのだとか。
ちなみに野菜や果物は基本的に全てがハラルです。つまりベジタリアン食もハラルということになります。
青果コーナーには、丸ごとココナッツ、酵素の王様・青パパイヤ、メキシコライム、根っこのしっかりとした立派なパクチー、太くて力強いレモングラス、タイ料理に欠かせない紫小玉ねぎホムデン(和名:赤わけぎ)など、私が世界の料理を作る時にいつも入手に苦労している食材が揃っています。しかも安い! 興奮しながら思わず青パパイヤを鷲づかみです。
「これ買う! そしてこのスーパー近所に欲しいんですけど......!」
鼻息荒く次のコーナーへ進むと、世にも珍しい銀色のドレッシングが! ここのスーパーでは珍しくヨーロッパの商品で、中身の正体はイタリア産のバルサミコソース。ギラギラと煌びやかな彩りがとってもユニークです。
そして一番お客さんが集まっていたのは肉売り場。ハラルフードの本領発揮か、オーストラリア産のラム肉、他にも鴨やアヒル、鹿や山羊などの冷凍肉がズラリ。黒々と輝く烏骨鶏(うこっけい)には驚きました!
また牛肉もありましたが、やはり豚肉はない。ヒジャブを巻いた女性たちが、今夜の夕飯は何にしようかしらとお肉を選んでいる姿が印象的でした。
■ムスリムの安心安全マーク「ハラル認証」って?
ハラルフードといえば、欠かせないのが「ハラル認証」。正式な機関によって「イスラム法の定める適正な方法で処理、加工された食品である」と証明された製品に表示されています。
よく見ると、ほとんどの商品にはハラル認証マークが付いていて、店内にも「ハラル証明書」が提示してありました。これにより、ムスリムは安心して買い物をすることができます。
ハラル認証機関は世界に300以上あると言われ、世界的な統一基準がないという問題もあるそうですが、まずは深く考えずに商品を手に取ってみると、世界のハラル認証マークがバラエティ豊かなこと。まるで世界の国旗のようです。
実は日本の商品にもハラル認証のものは増加しています。ナッツや菓子、豆腐や味噌、マヨネーズや酢、沖縄生まれの紅芋タルト、無印良品のレトルトカレーなどにもハラル認証マークがついているものがあります。
世界で急成長しているハラルビジネスですが、日本企業のハラル調味料の開発も目覚ましく、和食のハラル対応も身近になってきました。
店内には、ハラルフードとともに日本食材もたくさん売られています。店長の三ノ輪さんにお話を伺うと、
「いろいろな国籍の人たちが安心して買物ができる、そんな店舗を目指しています。周辺に暮らす日本人の方には普通のスーパーとしても来てもらえるように日本のものも置いているんです。
会社は30年前からハラル食品の流通をやっていて、2020年にこのスーパーができました。オーナーがバングラディッシュ人なこともあり、バングラデシュのお客様は多いです。
ハラルフードはお客様の要望に合わせたり、また仕入れ先からのオススメで初めて見る商品も多いです。見知らぬものがあっという間に売り切れて驚かされることもあります(笑)」
オーナーのチャクラダール・バダルさんも登場! 電話などで忙しそうだったのであまり引き止めるのも......と思いつつ、
「素晴らしいスーパーですね! 世界を旅して、旅行記を書いたり最近では世界の料理を作っているので、ずっとこちらに来たいと思っていました。もちろんバングラデシュにも行って、カレーを片手で食べたり......」
と前のめりで話をすると喜んでくれました。旅をしていて良かったと思う瞬間です。
都内にもいくつかハラルマーケットがありますが、ボンゴバザールは大規模でかつ、さまざまな国籍の人や日本人も楽しめる工夫があり、とても楽しいスーパーマーケットでした。
そして、まだまだ紹介しきれない商品がたくさん! 次回、後編はついに爆買い! 125ヵ国訪れた旅人が日本の「ハラルマーケット」で買ったものとは?
■YouTube『旅人まりーしゃの世界飯 Traveler Marysha』でボンゴバザール訪問をゆるっとトーク!
【https://youtu.be/8SJ6Q94MF60】
●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。
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