旅人マリーシャたびびとまりーしゃ
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。
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ベルベル語で「神の国」を意味するマラケシュはモロッコ第4の都市。ローズピンク色の城壁に囲まれた旧市街は世界遺産に登録されています。
サハラ砂漠や映画『グラディエーター』のロケ地「アイトベンハッドゥ」などの玄関口で、世界から観光客が集まります。
旅人の胃を支えるのはジャマ・エル・フナ広場、通称フナ広場。アラビア語で 「死人の集会場」を意味するかつて公開処刑場だったこの場所は、昼間はオレンジジュース屋台がズラっと並び(めちゃくちゃ美味しい!)、大道芸人や猿使いにヘビ使い、ヘナタトゥー入れのおばちゃんなどで賑わいます。
夜になると、食べ物屋台がひしめき合い白い煙をあげる。地元民と旅人が混ざり合うエネルギッシュなこの場所は、毎日がフェスのようです。
今年9月に起きた地震ではマラケシュ旧市街も損傷。100年ぶりの大地震だったそうですが、フナ広場やスーク(市場)は地震翌日から少しずつ営業し、夜の屋台も今は通常通り再開しているとのこと。観光客も戻ってきているそうで少しホッとしました。
私がモロッコを訪れたのは2016年。青の街シャウエンや迷路都市フェズへ行く途中で、イタリアでの友達の結婚式に顔を出し、またマラケシュへ戻る......という非日常な旅の暮らし。
そんな私が、モロッコで出会った屋台メシにはこんなものがありました。
マラケシュ屋台でひときわ旅人の好奇心をそそるものといったら羊の脳みそ。子供の頃に映画『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』で猿の脳みそを食べるシーンを見て、「脳みそを食べるなんて映画の中だけの話!」と思っていたけれど、世界では平気で脳みそが食べられています。
屋台のテーブルには、シワが刻まれた握りこぶしサイズの白い塊がいかにも脳みそといったルックスで、切り落とした羊の生首と一緒に置かれている。
少々グロテスクですが、スパイスなどでマリネしてボイルしたそれは白子のような味わい? まぁ我々、白子(精巣)が食べられるんなら脳みそも食べれるか。珍味にはビールが欲しいところですが、ここはモロッコ。宗教上、基本は禁酒です。
フナ広場で羊の脳みその次に旅人の目を奪うのが「カタツムリスープ」。エスカルゴって呼べばフレンチっぽい感じもありますが、屋台の雰囲気的にもここはカタツムリと呼びたい。
見た目は貝出汁スープといった感じで、胡椒やスパイスの効いたスープで煮込んだこの料理は滋養強壮に効くのだとか。
確かにスープは八角のような香りがして薬膳っぽい。肝心のカタツムリの栄養素について調べてみたところ、高たんぱく低脂肪、カルシウム、鉄、銅が豊富とのことでした。が、そう言われてもカタツムリの出汁が効いたスープを口にするのはちょっと勇気がいる......?
マラケシュの郷土料理「タンジーヤ」は、テラコッタの壺型調理器がそのまま料理名になったもので、牛や羊などのお好みの肉(モロッコは90%がイスラム教徒なので豚以外)とクミンなどのスパイスや、サフラン、オリーブオイル、レモン、バターなどを詰めて長時間ゆっくり煮込んだ料理。
調理方法はオーブンで加熱、または伝統的な方法としてハマムというサウナ的な公衆浴場の火を焚いている灰の中で4時間じっくり調理する。
日本ではサウナが大流行でサ飯(サウナ飯)なるものも話題でしたが、これこそが本物のサ飯? 口の中でほろほろとほどけるお肉はスパイスが香り、肉汁にホブスというパンを浸して食べると、ととのう~!
モロッコは日本からの直行便がないこともあり縁遠い感じがしますが、アフリカ大陸の中ではエジプトと並んで比較的旅がしやすい方だと思います。異国情緒とユニークさにあふれる、絶対行くべき国なのでぜひ足を伸ばしてみてください。
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。
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