レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏 レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏

記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。今回のテーマはガラケー。それも携帯電話のカスタムについて振り返ります。

ポケベルが主役だった平成初期の移動体通信は、90年代末期にはPHSから携帯電話に移行し始めました。常に持ち歩き、通話やメール入力中に衆目にさらされる機会の多い携帯電話は、いわばアクセサリーにも近い存在。その外装をカスタムし、自分らしい見た目に変えたいと思うのは当然のことでした。

黒くて武骨なデザインが多かった携帯電話。やっと丸みを帯びたデザインも採用され、白やシルバー系のカラーバリエーションが増えてきたものの、まだまだ画一的で個性を演出しづらいものでした。カスタムの定番はストラップの交換でしたが、それで満足できない人たちは本体を大胆に改造していったのです。

当時、携帯電話の改造方法はいろいろとあり、雑誌などに掲載されていました。よくあったのは液晶画面の反転、スケルトンの外装に交換して内部を丸見えにする、本体背面の彫刻、またはデザインシートを背面に圧着するなどなど。

しかし、これらのカスタマイズは本体の分解が必要となることも多く、携帯電話改造の専門ショップも存在したほどです。

これはゲーミング仕様の原点だったかも!? 光るアンテナはどんな光り方をするかが伝わりづらいため、パッケージの写真やイラストで発光時の雰囲気を伝えようとしていました。ショップには、実際に現物に通電して発光させる店頭ディスプレーも設置されました これはゲーミング仕様の原点だったかも!? 光るアンテナはどんな光り方をするかが伝わりづらいため、パッケージの写真やイラストで発光時の雰囲気を伝えようとしていました。ショップには、実際に現物に通電して発光させる店頭ディスプレーも設置されました

そんなショップで販売されていたものに交換アンテナパーツがありました。これらは工具が付属しており、ユーザーが簡単に交換できるため、家電量販店にも専用コーナーが設置されるほど一般化していったのです。

多くのアンテナ製品は〝光るギミック〟が搭載され、電波の送受信時や通話中にアンテナの先端が点滅します。しかも電池を必要とせず、電波の一部を利用して発光させる機能でした。

今より電波が弱い時代に、さらに電波を犠牲にして光らせていたわけですから、それでも目立ちたい人にとっては重要なカスタムだったのです。それゆえ需要も多く、実は多彩な商品群があり、奥深い世界でした。

今回はその一部製品を紹介しましたが、これからも筆者が追いかけ続けている〝光る携帯電話アンテナ〟の知られざる進化をお伝えしていきたいと思います。

ロッドアンテナで常時バリ3を実現!? ロッドアンテナと呼ばれる、いわゆる警棒のように伸縮するアンテナもありました。こちらは本体に収納できないため、普段は縮めて曲げておくというのが定番です。全長1m近くの魔改造ロッドアンテナを製作する猛者も...... ロッドアンテナで常時バリ3を実現!? ロッドアンテナと呼ばれる、いわゆる警棒のように伸縮するアンテナもありました。こちらは本体に収納できないため、普段は縮めて曲げておくというのが定番です。全長1m近くの魔改造ロッドアンテナを製作する猛者も......

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山下メロ

山下メロやました・めろ

1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。

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