旅人マリーシャたびびとまりーしゃ
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。
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今の時代を「ブーカ時代(VUCA時代)」って言うそうですが、ウルトラマンに出てくる怪獣のことでもグラビア雑誌のことでもなく、ブーカ時代とはビジネス用語で"変化が激しく将来の予測が困難で不安定な世の中"のこと。
経済大国で90年代こそバブリーだったニッポンもついにボンビーになってしまいましたが、そんな時代ならばいっそのことニッポンを飛び出して海外へ出稼ぎに行ってみるのも人生面白いかも? その世界を旅人目線でちょっと覗いてみました。
「ミャンマーで一緒にイモ虫を食べた以来だっけ?」
そんな挨拶で再会したのはモコという女一人旅をしていた旅友。チリのイースター島で初めて会ってからの付き合いで、もうすぐ海外移住するというので旅立ち前に私のウチで会うことに。
「イモ虫案外美味しいわー」
とワイルドでぶっ飛んでいた彼女だったが、しばらく日本のコールセンターで働くようになると、職業病からかしゃべり方も丁寧ですっかり大人な常識人。ああ、ほら旅人はみんな帰国すると普通の人に戻るんだ......と思ったのも束の間。
私が旅人へのおもてなしに出したのはハラルマーケットで買ったドルマ。お気に入りの世界飯だが缶詰タイプだったせいか本場の味とは全く異なり、微妙な味。
「慣れたら意外とイケるよ。あとウガンダのお酒あるんだっけ? 飲んでみたい!」
彼女には私よりもよっぽど旅人の血が流れていた。「ペルーの名物クイ(テンジクネズミ)も、エチオピアのインジェラ(見た目は雑巾、味はゲ◯と言われている)も美味しいよね」と世界飯にポジティブな彼女は、ドルマを完食しウガンダのウォッカをチビチビと舐めた。
この好奇心こそが旅人であり、世界のどこでも生きていけるという強さを感じる。
そんな彼女が海外移住先に選んだ国はマレーシア。人気の移住先として14年連続1位の記録を持つ国であるが(ロングステイ財団調査より)、きっかけは特になく自分が生きるのに条件が良く国内転居の延長線の感覚で決めたそう。
「私の英語でも就労ビザ出たし、お試し移住でとりあえず2年かな」
2年はもはやお試しではない気もするが(そこもまた旅人っぽい)、元々英語ができなかった彼女は旅で培った英語でカスタマーサービス(コールセンター)の仕事の面接にもパスしビザをゲットした。
(マレーシアでのリアルな就活レポは「MOCO TRIP&STAY」にて! https://www.mocotrip.com/ )
賃金に関しては日本で働くのと大きく変わらないそうだけど、屋台飯など物価の安さで東京より生活費が抑えられるか。マレーシアを選んだ大きな理由は3つ。
「空気がきれい、英語圏、家族に何かあった時すぐ帰って来れる近さ」
マレーシアに空気がきれいなイメージはあまりなかったけれど、移住人気国2位のタイに比べるときれいらしい。
「インドを旅してた時に喘息が出た経験もあって、空気がきれいなところがいいなって」
なるほど、移住の優先順位的には盲点でしたが長く住むとなると最重要なこと。マレーシアにはスギやヒノキがなく花粉症がないことでも知られている。私は近年これに悩まされているので、これはかなり惹かれる理由だなと思った。てゆうかすごくイイ。
また日本の家族に何かあった時に"当日に"地元に帰れる距離というのが一番大事だと言う。他にも気候と治安と給料面とが他の国より安定してるなど、全てのバランスがちょうど良いのが決め手だとか。
「あとね、ちょうど友達も移住するんだ!」
日本人に人気の移住先だけあって、元々の知り合いがいたり現地での友達作りも安心で寂しくない。旅とは違って生活するとなると近くに仲間がいることは精神安定剤になるでしょう。
モコの友人Madonnaさん(30代・旅人)もまた移住の理由は同様で、会社がビザを支給してくれて、日本に近く居心地が良さそうなのが大きな理由。
「タイも日本人求人が多く迷いましたが、物価の高騰に対して給料がイマイチ。マレーシアの方が英語環境があり多国籍。
南国で落ち着いた生活をしながら他国へも旅行に行きやすいし、給料もそこそこ良いと思って決めました。素敵なコンドミニアムに安く住めるし、日系企業やレストランがあってストレスなく移住できる国だと思います。
今まで出会ったマレーシア人は優しい人ばかりだったし、ずっと興味のある国でした。自己分析をしながらいろんな国に住み、人生をかけてやりたいことを探し中です!」
これまでにマルタにも住んだことがあるけれど「長期滞在には都会もあったほうが良い」と言う彼女。
ちなみにマレーシアの首都クアラルンプールは超高層のビジネスタワーが立ち並び夜景のきれいなバーで仕事後の一杯を楽しむこともできる。
宗教は国教のイスラム教が61%、仏教20%、ヒンズー教6%で、酒や豚をタブーとする人が大半で酒税も高いですが、多民族であり都会ではほとんどの場所でお酒を飲める。英語のブラッシュアップも兼ねて現地の人たちとの乾杯も移住生活ならでは?
仕事するなら都会のクアラルンプールでの滞在が都合が良いだろうけれど、個人的には「美食の島」と言われるペナン島もお勧めです。
世界遺産の街ジョージタウンはイギリス統治時代の面影が残り、コロニアル建築や寺院、モスクなど見どころ豊富。街のあちこちにアイアンアートが飾られ、人力車が走り、雰囲気があって魅力的。屋台街には行列のできる鴨粥粿汁や叉焼の店なんかも。
クアラルンプールから飛行機で1時間、バスで5時間程なので、日帰りでショートトリップしてみるのも楽しそう。
様々な魅力にあふれたマレーシア。移住はブーカ時代を楽しく生き抜くカギとなるかも?
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。
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