山下メロやました・めろ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。今回は平成にブレイクしたキャラクターを、皆さんと一緒に掘り返していきます。
昭和レトロの時代からキャラものファンシーグッズは人気でしたが、平成になると「ふなっしー」や「まりもっこり」のようなシュール系やキモカワなど、少し変化球なキャラが人気を獲得し始めます。
しかし、そんな流れも基本的にはイラストやCGから生まれたキャラばかり。そこにきて突如流行した〝実写キャラ〟が「THE DOG」です。
THE DOGが誕生したのは2000年(平成12年)。魚眼レンズで犬の顔をどアップで撮影し、極端に大きくなった鼻が特徴の写真がブレイクしました。関連商品はポストカードブックに始まり、カレンダー、Tシャツ、マグカップ、文具、キーホルダーなどいろいろと展開され、海外でも人気となります。
その後、ぬいぐるみなどの立体物にまで展開していくわけですが、本来は普通の犬を魚眼レンズで撮影しただけのレンズマジック。これを立体物として再現するのは難しく、ただ鼻が異様に大きな犬のぬいぐるみとなってしまったのです。写真だけの表現を無理やり3次元化したという感じでしょうか......。立体化された商品はどれもファンタジーに振り切った造形だったのです。
しかし、THE DOG人気はすさまじく、缶コーヒーやマクドナルドのハッピーセットのオマケになり、対象年齢を問わずさまざまな分野へと進出していきました。
そして、THE DOGが犬だけではなかったのをご存じだったでしょうか。実は猫派も安心の猫バージョン「THE CAT」シリーズもありました。ただし、猫の鼻はそんなに大きくなっていません。これはブルドッグやパグなど口吻(こうふん)の短い犬種も同様で、もともと鼻が前に出ていないのが理由でした。
実は現在も本シリーズは継続され、「THE PIG」「THE RABBIT」なども展開しています。ただ、最盛期ほど販売数が多くないので、発見したら保護することをオススメします。
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。