レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏

記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。今回は平成にブレイクしたキャラクターを、皆さんと一緒に掘り返していきます。

昭和レトロの時代からキャラものファンシーグッズは人気でしたが、平成になると「ふなっしー」や「まりもっこり」のようなシュール系やキモカワなど、少し変化球なキャラが人気を獲得し始めます。

しかし、そんな流れも基本的にはイラストやCGから生まれたキャラばかり。そこにきて突如流行した〝実写キャラ〟が「THE DOG」です。

ポストカードブックやグッズが大ヒット! 平面の写真で人気でしたが、魚眼レンズ効果を立体的に表現した3次元グッズも登場。当時主流になり始めたふたつ折りガラケー(パカパカ携帯電話)のカバーも。装着したまま通話もできる優れものですポストカードブックやグッズが大ヒット! 平面の写真で人気でしたが、魚眼レンズ効果を立体的に表現した3次元グッズも登場。当時主流になり始めたふたつ折りガラケー(パカパカ携帯電話)のカバーも。装着したまま通話もできる優れものです

THE DOGが誕生したのは2000年(平成12年)。魚眼レンズで犬の顔をどアップで撮影し、極端に大きくなった鼻が特徴の写真がブレイクしました。関連商品はポストカードブックに始まり、カレンダー、Tシャツ、マグカップ、文具、キーホルダーなどいろいろと展開され、海外でも人気となります。

その後、ぬいぐるみなどの立体物にまで展開していくわけですが、本来は普通の犬を魚眼レンズで撮影しただけのレンズマジック。これを立体物として再現するのは難しく、ただ鼻が異様に大きな犬のぬいぐるみとなってしまったのです。写真だけの表現を無理やり3次元化したという感じでしょうか......。立体化された商品はどれもファンタジーに振り切った造形だったのです。

大手企業とのコラボ案件も連発! THE DOGの人気は高まり、大手企業とのタイアップにまで発展します。ジョージアの缶コーヒーにマスコットキーチェーン、マクドナルドのハッピーセットにぬいぐるみがついてくるなど、大人から子供まで全方位がターゲットでした大手企業とのコラボ案件も連発! THE DOGの人気は高まり、大手企業とのタイアップにまで発展します。ジョージアの缶コーヒーにマスコットキーチェーン、マクドナルドのハッピーセットにぬいぐるみがついてくるなど、大人から子供まで全方位がターゲットでした

しかし、THE DOG人気はすさまじく、缶コーヒーやマクドナルドのハッピーセットのオマケになり、対象年齢を問わずさまざまな分野へと進出していきました。

そして、THE DOGが犬だけではなかったのをご存じだったでしょうか。実は猫派も安心の猫バージョン「THE CAT」シリーズもありました。ただし、猫の鼻はそんなに大きくなっていません。これはブルドッグやパグなど口吻(こうふん)の短い犬種も同様で、もともと鼻が前に出ていないのが理由でした。

実は現在も本シリーズは継続され、「THE PIG」「THE RABBIT」なども展開しています。ただ、最盛期ほど販売数が多くないので、発見したら保護することをオススメします。

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山下メロ

山下メロやました・めろ

1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。

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